ビクターの新レーベル「CONNECTONE」は音楽業界をどう変える?

ビクターエンタテインメントが新たな音楽集団を目指し新レーベルを設立した。つなげる・つながる音楽をコンセプトに新たなビジネススキームを備えたレーベル。その名をCONNECTONE(コネクトーン)とし2015年4月より活動を開始している。 多くのキャリアを持つレーベルヘッド ローリング・ストーンズやスマッシング・パンプキンズなど数多くの海外アーティストを手掛け、ユニバーサルミュージックでの執行役員やグループ会社社長などを兼務する高木亮氏。その巨塔が最前線で手腕を発揮することとなった。 高木氏が提唱する思いとは、音楽業界のリセット。当たり前に音源を買ってもらえる時代は終わった。グラミー賞の年間最優秀アルバムのような懐深い文化、価値は日本やその他の国では偏ったものになっている。ビジネスとスピリットの両面がギリギリでせめぎ合う形を復活させることが成功の鍵だという。 圧倒的オリジナリティの追求 通り過ぎず足跡を残す。音楽家としてのアティチュードを伝えることが出来るアーティストを中心に扱い、メジャーなアーティストにまで刺激を与える集団を目指していく。夢の追及や一発の飛距離ではなく、打率を追及するのが狙いだ。 業界モデルからの脱却 当レーベルのプレゼンにて掲げたのが業界の0.27%というモデルを脱却することだ。これは2013年に邦・洋楽合わせたアルバム1万3012枚のうちデビュー3年以内の新人が5万枚以上のセールスをあげた枚数が35枚(0.27%)しかなかったという実績数値を示している。 2013年ジャンル別新譜数(日本レコード発表資料より) 0.27%という実績ではレコード会社のコストもペイ出来る確率が非常に低い。そして何よりアーティストも2年程度で契約が切れて存続する確率が非常に低い状態となる。万馬券狙いでは10年後にレコード会社も存続出来なくなるという想定だ。 世界音楽売上金額の推移(日本レコード発表資料より) CONNECTONEの新たな「ビジネススキーム」 契約によりジョイントベンチャー型、権利収益乗り入れ型、レーベル・事務所兼任型の3タイプでシステムを構築していく。これはライヴ・グッズ・著作権など全てにおける経費や損益を当分する共有スタイルにより、不毛な小競り合いも無く共闘するのが狙いとなっている。夫々が何らかの形で関わり合うことで完成度も高まるという。 注目を集めるアーティスト陣 海外を含めた多くのレーベルから注目を集めているAwesome City Club(オーサムシティークラブ)のデビューがレーベル第一弾のアーティストとなる。続けてRHYMESTERも移籍が決定し移籍第一弾アルバムを発表。その他にも3組の新人が契約決定している。 【動画】Awesome City Club-1st Album ”Awesome City Tracks” Trailer 【動画】RHYMESTER-人間交差点 新しいフェイズと展望 スポーツ選手が海外で当たり前に活動するように、日本の音楽シーンもやっとそのフェイズに追いついてきた。気負って目指していくのではなく、ごく自然なこととして海外へのつながりを広げて活動していく。キャリアを持つ高木氏の経験からすればごく当たり前の展望と言える。すでにレーベルが主催するイベントも開催が予定されているとのこと。圧倒的オリジナリティの発信と歴史を知る敏腕ヘッドの化学反応は業界をどのように改革していくのか。今後注目のレーベルとなるのは間違いないだろう。