2015
09.21
シロナガスクジラ アイキャッチ

海野幹雄×新垣隆 今、全てを差し置いても観たい日本映画

MOVIE, NEWS

シロナガス二人画像

“表現”とは、決して諭すものでも訴えるものでもなく“そこに在るもの”なのだろう。震災を題材にした映画や音楽は数知れず生まれてきたが、果たしてあなたは“震災”をテーマにした芸術に何を求めるだろうか。いわゆる“震災”を扱ったこの映画ではポップな感動の調味料は一切感じることなく、静寂の中に1本のロープで繋がった少女達のドラマが映し出されていた。

映画『おくりびと』での音楽で知られるチェリストの海野幹雄氏と今最も有名な天才作曲家である新垣隆氏の静かな“音の絡まり”が二人の息遣いや時間を綴っている。それはまるでゴドーを待つウラジミールとエストラゴンのように、空虚な日常は失われた“其処”と変わりなく“愛の居た場所”は虚構と想い出を行き来する。魂が生死を通り過ぎゆく限り、それは永遠に消えることがないのだろう。

シロナガス森の中

この映画のタイトルは『シロナガスクジラに捧げるバレエ』。「撮りたい映画しか撮らないのでお金がありません」とクラウドファンディングで資金を募り完成した本作は『夏の祈り』や『抱擁』の監督でもある坂口香津美氏がメガホンを取った名作だ。

「この映画の魂をできる限り濁らせることなく伝えたい」。その一心で今回、総合プロデューサーの落合篤子氏からこの作品にまつわるメッセージをいただくことにした。

シロナガス全員

坂口香津美監督とともに、プロデューサーとして二人三脚で15年間で6本の映画を作ってきました。坂口監督はテレビのドキュメンタリー出身、同時代の様々な逆境を乗り越えて生きる人々の姿を撮り続けてきました。人間の生き様、心を描くこと、映画においてもそれが一貫したテーマであり、いずれも深い祈りがこめられています。

2011年3月11日に東日本大震災が発生してほどなく、テレビの報道番組に、瓦礫のなかの一人少女が映し出されたのを監督は見ていました。津波に流された母親の手を捉まえていたが、力つきて放してしまったとカメラに向かって話し、「でも、私は母の分まで生きていきます」と自分に言い聞かせるように気丈につぶやく少女の姿が脳裏から離れず、そこからこの映画は誕生しました。

本作はサイレント映画であり、音楽映画でもあります。海野幹雄さんのチェロ、新垣隆さんのピアノ、盟友である二人が織りなす美しく深い精神性を持つ音楽が、力強く、時に優しく、時に痛みをともなって、全編に響き渡ります。海辺の村と東京で円環のように旅をする姉妹とともに、心を全開にして、73分間の映像世界を堪能していただけたらと思います。

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[画像左:落合篤子氏 右:坂口香津美氏]

 

 

この映画は9月19日より東京渋谷にて限定上映されている。「震災は◯◯だ」の領域を遥かに超越したリアリティと芸術の結晶を是非あなたにもこの目で味わってほしい。

 

…あなたは、笑顔でこんなにも苦しくなることがありますか?

 

 

 

【上映情報】

DATE:

 Saterday 9/19/2015 ~ 9/25/2015 (3週間限定)

PLACE:

渋谷 “ユーロスペース”

TICKETS:

当日一般/¥1,800  大学・専門学生/¥1,400  会員・シニア /¥1,200 高校生/¥800  中学生以下/¥500

シロナガス全体二人

※トークショー等最新情報随時更新中!

シロナガスクジラに捧げるバレエ Official Web

http://www.kujirafilm.com/