2015
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【INTERVIEW】ボンジュール鈴木の特異なサウンドの正体

INTERVIEW

水曜日のカンパネラやカネコアヤノ、きゃりーぱみゅぱみゅ等、クリエイディヴィティな女性ピン作品が目立つ昨今だが、中でも異彩を放っているのがスーパー宅録女子・ボンジュール鈴木の存在だ。まず、その“日本における唯一の存在”を証明するためにも強くお勧めしたいのは、ボンジュール鈴木の最新作Lollipopシンドローム』を是非ヘッドフォンでお楽しみいただきたい。

それまでなんとなく聴き流していたと思われる“キュートで幻想的なサウンド”の戦略が、実はウィスパーヴォイスとリバーヴ、ディレイ、ガーリーなリリックだけで構成されていないことがはっきりと確認できるだろう。ならそれは一体何なのか。

それは例えばかつてのミュージックコンクレート的実験にも捉えることができるだろうし、もしかしたら、オリヴィエ・メシアンへのロマンを抱く人もいるかもしれない。音楽にまつわる音響や音韻の可能性へ現代の“乙女な音楽家”が一心不乱に追求した結晶、それが“ボンジュール鈴木のオト”だということが、最後にこのインタビューを読んで納得いただけるだろう。

天才はグラミー受賞式会場だけにいることもない。この“天才”は今日も自宅に引きこもって音楽と格闘している。

 

(Photo / Mami Otsuki)

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リリースおめでとうございます!

 

ボンジュール ありがとうございます。あまり記憶がなくて…「ああ…できた…。」っていう感じで。自分のオリジナル以外にも作品を同時進行で作っているので、作り続けてないといけないので、記憶がないです…。

 

来年のアニメ作品も手掛けられるんですよね?

 

ボンジュール はい。“石膏ボーイズ”の作詞など楽しくやらせていただきました。

 

実際はどれくらいで作品を作ったのですか?

 

ボンジュール 今回のEPは1ヶ月くらいでほぼ作りました。ほとんど寝る時間がなくて、食事もバナナとリンゴで…後はソフトクリームとか。夏はどこにも遊びに行きませんでした。

 

前回のアルバムとまた差別化されているような気がしまして。狙ったんですか?

 

ボンジュール はい。EPなので結構ポップなのを作りたくて、女の子感を前面にして、ドリームポップ感を意識して作りました。

 

それでジャケットも…。

 

ボンジュール はい!イラストレーターの今井キラさんの作品を使用させていただきました!

 

今井キラさんとのコラボレーションはボンジュールさん発信ですか?

 

ボンジュール はい!今井キラさんが大好きで、よく作品も拝見していてすごい大ファンで!幾原監督と今井キラさんは私の中ではインスピレーションを与えて下さる雲の上の“神”なんです。

 

ボンジュールセカンド

 

確かにボンジュール(ボンジュール鈴木)さんの曲の中に登場する女の子は、実在する女の子だというイメージが薄いですよね。声やドリーミーなポップサウンドも相まってだと思うのですが、作詞は“絵”からインスピレーションを沸かせて書いているんですか?

 

ボンジュール 絵本とか読んだり、今井キラさんの絵を見たり、あとは好きなアニメを見たりして例えば「こういう世界観は淡いピンクだな…。」と思ったら、もうそれでトラックメイクや編曲を始めて、後からメロディをつける感じが多いと思います。

 

曲先ですか?

 

ボンジュール そうですね。ワリと曲が先に出来て、最後に歌詞が多いですね。でも“ユリ熊(ユリ熊嵐)”の曲に関してはすっごく早くて、15分くらいですぐにできました(笑)。

 

溜まった思いを吐き出した感じですかね?

 

ボンジュール そうですね。愛をぶつける!って感じでしたね(笑)。「あの森を待ってる」っていう曲なんですけど、あれは神がかり的にすぐに出来ましたね。普段はあまり早く書けないので…“少女の毒”女の子のイヂワルな面ってすごく魅力的だなあって思っていて、カワイイだけじゃないっていう部分の方が沢山描きたいって思っています。

 

 

 

そう。それが、今回は特に音からダイレクトで感じられるというか。重めのサウンドがポイントで入っている。

 

ボンジュール 今回のEPでいうと1曲目の「Lollipopシンドローム」のBメロとか。でも、その重めのサウンドは後から入れたんですよ。できあがった後に聴きなおしている時に思いついて。元々、Dream popやTrip hop、エレクトロやダブステップも好きで、海外の友達のアーティストさんと遊びでダブステップの曲もやっていたので、重めの音もすごく好きです。

 

それが特に印象的で、毒のようなものがリリック的な部分で受けていたのが今回は音でダイレクトにグッときた。

 

ボンジュール ちょっとこのまま出すには可愛すぎかなって(笑)。それで色々試してみて。ずっと隠していたんですよね。そういう男っぽいものを(笑)。

 

ボンジュールさんの作品は今回に限らず一曲目の何秒間かでグッと掴みに来ますよね。全然普通じゃない音が来る。

 

ボンジュール 長崎のお土産でポッペンっていうガラスの楽器をもらって、実はそれをメインのリズムに入れています。切って貼るだけだとつまらないから、そのままリアルタイムで「プク、プクプク…」って録音しました。

 

SE系もご自分で録音されているんですか?

 

ボンジュール 全部じゃないんですけど、かなり。犬の変な音とか。

 

よく考えつくなあ!全然わからなかった!

 

ボンジュール あと、犬が喉を鳴らす「グゥゲゲ…」って音とか。

 

あれ、ヤギじゃなくて犬だったんだ!

 

ボンジュール これもディレイとリバーヴで飛ばしてます。あと、お琴を習っていたんですけど、日本人だから和楽器も入れたいなあって思ってて。誰も気づいてくれないんですけど、かなり「Lollipopシンドローム」に関してはスパイスとして、ドリーム感壊さずにお箏を可愛く弾くのをがんばりました。

 

…これは堀りがいがあるわ。

 

ボンジュール いろんな変な音をサンプリングしたり録音するのもすごく好きなので、これからも色々な音を録りたいなあって。

 

普段からですか?

 

ボンジュール はい。鳥とか、犬の遠吠えとか。

 

今回のワンちゃんも、確かボンジュールさんのワンちゃんですよね?

 

ボンジュール はい。あと猫はよく録れなかったので、自分で猫の声を真似たり…。

 

え?…あれ人声なんですか?

 

ボンジュール そうなんです。本物が撮りたかったんですけど。犬より猫が好きなんですよ。猫の方がやっぱり作品を書く上では猫でありたいって思ってて。

 

でも、犬がいる。

 

ボンジュール なぜか犬がいる。。。(笑)。理想と現実は違うんですね。

 

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なるほど。サビのキャッチーさもすごく良く出ていますよね。とってもダンサブルで。クラブでかかっていてもおかしくない。

 

ボンジュール クラブミュージックは大好きなんですけど、クラブには怖いから一人ではいけないんです…。でもポップなものをすごく作りたいって思っていて、気を抜くとインストになっちゃう。ボンジュール鈴木でやるならあくまでも歌は“ポップス”でオケ部分で色々やってみよう、って思っていて、今回は女の子が料理をしながら口ずさめるような、お絵かきをしながら聴いて邪魔にならないようなとか…。恋人と2人で聴いて邪魔にならず素敵なムードになれるようにとか。電車の中で学校やお仕事の帰りに聴いていただいたり…様々な聴いてくださる方の色々なシチュエーションを想像して制作しています。

 

あの…本当に宅録ですか?

 

ボンジュール はい、宅録です。マイクもすごい奮発して。ソコソコの。

 

確か、新しい機材を導入されたとか。

 

ボンジュール 結構入れ替えしていますね。楽器を売ったりして。私の声質の場合はマイクが一番大事なので、それには自分の出来る範囲でお金をかけてます。

 

今回の「Lollipopシンドローム」ではどういった機材を?

 

ボンジュール 今回はそこまで新しいのを使っていないんですけど“ソフトシンセでどこまでできるかやってみよう”プラス生楽器を重ねたりして。ヴァイオリンとビオラを自分で弾いたんですけど下手なので、打ち込みの音の下に重ねて混ぜています。厚みが出るし、かすれた所で本物っぽく聴こえるから、混ぜながら作っています。

 

コーラスのブレスにリバーヴとか、他にありますか?

 

ボンジュール ドリームポップやTrip hopなどに影響されています。幻想的な世界を築きたいと思っていて、そのためにはディレイとリバーヴっていうのは私の中ではすごく大事で、歌も録る時にも、ディレイとリバーヴがかかった時のことを想定しているものをOKテイクにしています。“歌がうまく歌えた”じゃなくて“リバーヴとディレイをかけた時に良さげに聴こえるかどうか”をチョイスしています。Jónsi、ビョーク、エンヤ、Pascal Pinon、sóley、Sin Fang とか、、、アイスランドやアイルランドの寒い国の神秘的なヴォーカルが好きで、自分が出来る範囲で「どうやったら神秘的に聴こえるか」というのを常に考えています。私が顔を見せないのも「2.5次元で居たい」というか、絵本の中というか、完全な等身大の人間の姿じゃないところの幻想的な世界を表現をしていきたくて、疲れた時に現実逃避していただきたいなって思ってます。

 

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聴いていて全然人間が恋をしてる感じじゃないもの。女子のワガママやリアルな心情を歌詞では言っているんですけどね。でもそれはまさに“音の力”でしょうね。音が光を放ちまくっている。それに”close to me”では、サビもキラめけどそれまでも実はかなり色々とされていますよね。

 

ボンジュール ”close to me”ではバイノーラルマイクっていう人型マイクを使っているんです。声がもともと倍音成分が強くて、特にフランス語の発音自体が空気を多く使うので(録った後に)修正できないんですよ。しかも録り方によっては全然バイノーラルの良さが出ないんです。コショコショって人にいろんなところで話しかけるように「どうやったら気持ち悪くならないように録れるかな。」っていうことを考えながらやりました。すっごい時間がかかりました!で、オケを作りすぎると埋もれちゃうんで、極力少なくして、曲が薄くなる瞬間を見計らって、さっき田中さんがおっしゃったブレスにリバーヴをかけてやったんです。このマイクはポエトリーをしながら次作でもまた使ってみたいなー。と思っています。

 

なるほど!!これは…例えば男性のプロデューサーの方からはこの音は生まれ

ないでしょうね。

 

ボンジュール カナダ人のグライムスさんとか、フランス人のエミリーシモンさんという女性の方々がトラックメイク?編曲?など全てされていて、『こんなかっこいい作品を女性が全部つくるんだー!』ってびっくりして、私も、作詞作曲編曲全部やってみよう!っておもいました。3才からクラシックピアノをずっと習わされていたので、もしかしたら私にもできるんじゃないかな!って。でも私は、編曲にすごく時間がかかってしまうんですけど。本当は、男性のプロデューサーさんに全部作ってもらいたいです(笑)。ボーカルだけだったら、もっと自分だけの世界ではできない素敵な表現できるのになーって(笑)。オファーお待ちしてます(笑)。

 

 

ボンジュール 使っている中で一番“変な音”っていうのが、貝殻のノレンみたいなのを中国雑貨屋さんとか、海外で買ってきて、ディレイとリバーヴをかけてなんだかよくわからないようにして、割とよく使っています。あとは、おもちゃの磁石。楽器じゃない違う音をいつも探していますね。

 

“ボンジュール検定”ができちゃうかもしれない。

 

ボンジュール 可愛いおもちゃとかをいじるのが好きで、時間がなくても、縁日は行くようにしています。縁日のクジのハズレとかにもいいのがあるんですよ!変な音がするビー玉とか。そういうの、可愛くないですか?童話の世界が築ける気がして。UVI Workstationの Toy Museum というおもちゃ系の音が入っているソフトシンセをよく使っているんですけど、もっといろんな生音がほしくて、雑貨やさんとかでおもちゃとか探しちゃうんです。何か良いおもちゃがあったら教えてください(笑)。

 

…うーん、ガチャガチャはどうですか?

 

ボンジュール すごい良いこと聞いた!ありがとうございます。ヴィレヴァン行きますね!この前、ヴィレヴァンさんでお面たくさん買っちゃって。ぬいぐるみも大好きなんです。140cmくらいのキリンが2体ともう一人はPVで使ったクマの王子様、タロリン君がいます…。

 

いた!!あれは“おウチにいる人”ですか?

 

ボンジュール はい“おウチにいる人”です。動物に囲まれているとインスピレーションが沸いてくるんです。壁をアンティークぽいピンクにしちゃったり。

 

 

 

 

今ボンジュールさんが喋ってる感じがラップみたい。ボンジュールさんのいう“ゆるラップ”っていくつかあって、ポエトリー的なものも目立つから、普通に話している声が歌のように聞こえますね。

 

ボンジュール はい。よく“ラップ”って言われるんですけど、私あんまりラップ知らなくて(笑)。特にフレンチポップスって歌以外に喋っていることが多くて、それにすごく影響を受けています。

 

それが “ゆるラップ”と言われるわけですね。

 

ボンジュール フレンチミュージックって可愛く歌ってても、歌詞がものすごく意味深だったり、ウィスパーボイスで囁きながら、ロリータなのにエロティックだったり。そういうギャップがあるところも意識しています。

 

カバー曲も入っていますが、キュートさが有名な往年の名曲「Lovin’ You」ですけれど、チルでダウナーなアレンジが非常に魅力的ですね。

 

ボンジュール ありがとうございます!

 

あの曲はボンジュールさんの好きな曲ですか?

 

ボンジュール 人生の中で3本の指に入るくらい好きな曲ですね。コード進行も大好きですし、メロディとかすごく影響されていますね。母親が子守唄代わりに歌ってくれていたので、小さい頃から馴染みのある曲でもあります。自分なりにあの曲を「こういう風にしたいな」っていうのはあって。“歌い手”というよりは“トラックありき”の中で映画を作るっていう感じで、耳元で囁くように「Lovin’ You」を歌ったらこんな感じかなって意識しました。今井さんの絵を見るとインスピレーションがすごく沸いてきます。

 

確か今回も2大都市ライヴも控えていますよね?前回も大成功されたんじゃないですか?

 

ボンジュール お陰様でたくさんの方に来て頂きました。今回の大阪と東京は、前回と違うことをしたいと思っていて。まだ(何をやるかが)決まっていないんですけど、絶対に幻想的な感じは壊さないで、目で観ても面白いようなライヴにしたい。今回のEPでは四つ打ちの楽曲も多いので、横揺れ縦揺れできるような、ライヴにしたいと思っています。

 

 

好評発売中!

 

 

ボンジュール鈴木「Lollipopシンドローム」release party

◎2016年1月16日(土)@大阪・北堀江vijon

開場 18:00/開演 18:30

チケット 前売券 ¥3,000

DMM.E http://event.dmm.com/detail?event_id=47183

イープラス http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002174319P0030001

 

◎2016年1月23日(土)@東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE

開場 18:00/開演 19:00

チケット 前売券 ¥3,500

DMM.E http://event.dmm.com/detail?event_id=47180

イープラス http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002174333P0030001

 

※各公演ドリンク代¥500別を入場時に

※入場順は(1)DMM.E(整理番号順)⇒(2)e+(整理番号順)となります。その後、当日券のお客様の順でご案内します。


ボンジュール鈴木 新アー写

【ボンジュール鈴木プロフィール】

トラックメイカー/作曲家/編曲家。
JAZZシンガーであった母のもと、幼少期から様々な音楽に触れ、3歳からクラシックピアノを軸に作曲活動をスタート。 今では自身でヴォーカル / ラップ / ポエトリー、打ち込み、ミックス、マスタリングまでを行う。 南フランスのカトリックの大学に留学中触れた、ヨーロッパのエレクトロニカ / ヒップホップ・シーンからの影響が色濃く出たサウンドには、北欧エレクトロニカ勢と共鳴する「透明感」と、トリップ・ホップの流れを汲んだ「深遠な響き」が見事なまでに共存。そこに「日本語」「フランス語」「英語」を織り交ぜ、特徴的なウィスパー・ヴォイスが絡み合うサウンドは現在の音楽シーンの中でも一際異彩を放っている。

ボンジュール鈴木 Web:http://bonjoursuzuki.com/

ボンジュール鈴木 Twitter:https://twitter.com/bonjoursuzuki1