2016
01.18
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【Korea】チェジュ島(済州島)の音楽 ー青い空と風のように

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生まれてからずっとソウル周りで育ってきた私としても チェジュ島は外国のようなところです。ソウル市民は外国旅行の代わりにチェジュ島へ行く人も多いし、私もチェジュ島へ行ったことは一回しかありません。でもやっぱり綺麗な海や空、広大な風景は深く印象に残りました。最近は人も増えてその雰囲気も変わったという声も聞きますが、一息抜きたい時には最適は場所です。

今日紹介したいのは、そんな異国のような島・チェジュ島の音楽です。

韓国はほとんどのカルチャーがソウルにひどく集中していて他の都市の音楽というものがほとんどないんですが、 チェジュ島はその地名を題にした作品やそこに定着したミュージシャンの話が割と多く存在します。皆さんのの中の チェジュ島をイメージしながらこのコラムを楽しんでいただけると嬉しいですね。

 

 

ルシドフォール(Lucid Fall)、ジャン・ピルスン

ベテランのミュージシャン達がチェジュ島に行って定着した話は2000年以降には稀に耳にしました。癒し系のミュージシャンが多い印象です。その代表的なミュージシャンを紹介したいと思います。

ルシドフォール(Lucid Fall)は、もうアルバムを7枚リリース、多くのファンを抱えるSSWです。その割にはユニークなミュージシャンでもあって、スイスで新薬の研究者として勉強した時の発表会で韓国の伝統服を着て発表したエピソードは有名。ラジオでは自分だけの”笑いのツボ”があって、頻繁に周囲を唖然とさせます。音楽とのギャップが面白いミュージシャンですね。彼はインタビューでチェジュ島に移住した理由について「ソウルで望んでなかった人間関係が多くなったのでソウルから離れたかった。」と語りました。今はそこでミカンの栽培もしていて、ホームショッピングで自作のミカンを販売していたという噂もあります。

 

 

彼の音楽は基本的にクラシック・ギターのアルペジオなど、柔らかく暖かいサウンドを基調に、内向的な声で静かに歌う構造になっています。でも時々エレキギターなどを取り入れた編曲もあり、決してワンパターンではありません。テーマもありふれたラブストーリではなく、表現しにくい繊細な感情やアフリカの労働者に対しての苦しさなど様々。ここで、彼の歌詞を一つ紹介します。3rdアルバムの曲”風、どこで吹いてるのか”の歌詞の一部です。

 

”一人だというのが、時々消せない烙印みたい

生きていくのが、僕を罪人にさせるよ”

 

ジャン・ピルスンさんは1989年にデビューした方で、もうベテランの中のベテランだと言えでしょう。彼女はチェジュ島に住んでからもう10年以上経ち、今は農業も兼業しているようです。ソウルに住んでいた頃もチェジュ島が好きで何回もチェジュ島に行って息を抜いていたといいます。

 

 

彼女は韓国における女性フォークロックの代表だと言っても過言ではない存在で、2000年頃に発売された5th、6th枚目のアルバムは綺麗ながらも新しいサウンドを取り入れており、当時の数あるミュージシャンの中でも丁寧で洒落た音楽を作っていました。一曲のスネアサウンドを探すために一週間以上をスネアサウンドだけ探したという話もあります。特にポップのような耳に残るメロディーや統一感など様々な面でほぼ完璧なアルバムだと評価される6th枚目のアルバム”Sonny 6”は是非聴いてみてください。

 

 

チェジュ島にまつわるアルバム

 

まずはイム・インガンの”All that jeju”をご紹介しましょう。彼もチェジュ島在住で、このアルバムはチェジュ島の言葉や文化・歴史などを題材にした音楽を発表する同名のプロジェクトをまとめたアルバムで、メジャー・インディー問わない実力派ミュージシャンたちがが参加しました。その中で、先に紹介したジャン・ピルスンの「金色落照」はピアノと軽いシンセサウンド・弦楽器・ハイヘットだけの素朴なアレンジで日が暮れるチェジュ島の風景を描いた曲。メジャーだと言えるベテランR&B歌手BMKが参加した「風の歌」はチェジュ島の民間説話”ソルムンデおばあさん”を主題にした曲で、暖かみのある雰囲気が漂います。”ずっと前に私の心の片隅で、行きたかった風の国”という歌詞は映画を思わせる描写ですね。

 

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『ガンジョン・またクランビ上で』というアルバムもオススメ。韓国でも認知度の低いアルバムですが、チェジュ島のミュージシャン達が現在のチェジュ島を示すアルバムとしてはある意味重要じゃないか、と。このアルバムにある”ガンジョン”という部分がアメリカの軍事基地になることについての悲しみとかを込めたとか。時事ネタは置いておいて、これこそ”地方だからならではの音楽”ではないかと思いました。

 

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チェジュ島は新しいシーンか

 

正直な話、 チェジュ島に音楽の”シーン”があるとは言えないかもしれません。しかしインディーズロックフェス”ステッピングストンフェスティバル(Stepping stone Festival)”の毎年開催や、ライブハウスの新設などで音楽の希望はあるんじゃないかと期待を寄せています。都市集中が酷い昨今ですが、土地の色が香る音楽をもっと聴きたいところですね。