2016
01.20
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新MV初公開【前編】KERAアルバム『Brown,White&Black』ロングインタビュー

INTERVIEW, RELEASE

僕は両親が別居を繰り返す複雑な小学生時代をナゴムレコードのナンセンス・エネルギーに救われ、テレビに不信感を抱いた思春期にナイロン100℃へ真実を求めた。言うまでもなく、僕が物心ついたときにはKERAさんはすでに大スターで、チケットも入手困難であった。

そして今回、27年前にお目見えするはずの“KERAジャズ”を大人の事情によりリリースできなかったエピソードなどをユリイカで知り、想像するやとある予感を察知する。これは誰かに言われる前に“傑作だ”と叫びたい!その予感は的中、希望は叶った。

ジャズといえば2015年、僕はポップへ見事に着地したH ZETTRIOの『Beatiful Flight』にエラく感嘆したことは記憶に新しいのだけれど、こちらのジャズはグレン・ミラーやベニー・グッドマンを規範した時代が妙に新鮮な、しかし特有の“品性”が取り払われたスィングベース。パーカーの呪縛を謹んでかわし、スマートに大衆へ帰還された、ユダヤブレンドのジャズ。所謂“バークリー病”のジャズメンからは絶対に鳴りようがない“最先端の浅草オペラ”。

ナンセンスを突き詰める音楽家ならではの遊びまくったグルーヴとポピュラリティは、かつてピーター・ブルックに“何もない空間に演劇が発生する”と気づかされたように、KERAさんに“ジャズ・ソングはタイミングさえ合えば誰のモノにもなる”ということを教えてくれる。こんなジャズを今聴きたかった! 生意気にも叫ぶぞ。きっとあなたもそう思うでしょう?

これは、そんな2010年代からのナゴムレコードに大いなる期待を膨らませる僕がKERAさんに丸裸でぶつかった、蒼いインタビューである。

 

(Photo / Mami Otsuki)

 

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▷今日はアルバムのお話を伺いたいのですが、実は個人的に学生の頃からお小遣いを貯めてKERAさんの芝居を観に行っておりまして…。

 

KERA ああ、高いのに。

 

▷KERAさんにとても憧れていたんですけど、大きく誤解していたところがあったんです。あの頃は「頑張るのってダサい」ような風潮が何となくあって。軽くやってできちゃったのがクールみたいな。

 

KERA そうだね。

 

▷私は失礼ながらKERAさんもそういう人だと思ってしまったんですよね。「私は違うから、この人の事は見ちゃいけないんだ。」なんて思っていた時期もあったんです。

 

KERA 軽薄な感じ?

 

▷あ…すみません。ところが再び掘り出し始めてから変わった。今、私自身が媒体をやっている理由の一つとして、好きな音楽を頑張って探さなきゃ出会えない状況が嫌だったからなんですけども、それを同じようなことをKERAさんは中学生くらいから思っていて、行動に移されていたんですよね。急に申し訳ないような気持ちになりまして…すみませんでした。今日はそう言った部分も含めていろいろ伺いたいと思います。

 

KERA よろしくお願いします。

 

▷まずはアルバムリリースおめでとうございます!

 

KERA ああ、ははは。

 

▷私の素直な感想としましては、一本の芝居として曲順も変えずに一気に聴くべき作品だと感じました。

 

KERA そうですね。このアルバムに限らないけど、曲順を決める作業は大好きです。曲順一つで印象が変わる。今みたいに1曲単体で配信するっていうのは全然馴染んでなくて、今後も馴染むことはないと思うんですけど…。完全にコンセプトアルバム世代ですから。 “アルバムの印象っていうのはアルバム全体で評価する”っていうのが当然のようにあります。ジャケットやインナーも含めてね。自分が芝居をやっているっていうのも勿論大きいと思うんですけども、どういう風に始まってどういう流れにしてどう締めるかっていうのはすごく大切なことなんで、おっしゃる通りあんまりバラバラに聴いて欲しくないなっていうのはありますね。

 

▷ラストの「フォレスト・グリーン」を聴いて何故か号泣してしまったんですけれども…いや、こんな喜劇の人のアルバムで泣いたらダメだろって思いながらも…。

 

KERA  “喜劇の人のアルバム”って、すごいな(笑)。

 

▷…(言葉を詰まらせながら)だってこれって、KERAさんのことですよね?

 

KERA まあ、そうですね。

 

▷喉が咳でやられちゃったって…。

 

KERA 喘息のことですね。

 

▷あの最後の、ローファイな演出…。

 

KERA ああ、円環構想みたいな、また最初に戻るっていう…ね。あれも演劇的かもしれないですね。さて、どうせ聞かれるだろうから先に話してしまいますと、このアルバムを作ろうっていう動機なんです。27年前(『原色』)を作った時にB面だけセルフプロデュースでジャズをやりたいっていうことを当時在籍していたポニーキャニオンっていう会社に訴えまして「それでいこう!」っていうことになったんです。

「じゃあ、A面は秋元さんでやりましょう。」っていう会社からの提案を飲んだ訳なんですけれども、結果的に全編秋元さんのプロデュースとなり、ジャズ構想はズルズルとできなくなってしまい…。

『原色』を発表して3〜4か月くらいで父親が亡くなったんです。その親父に『原色』自体は聴かせることはできたんですけどね、病院のベッドで、カセットで。「半分はジャズやるはずだったんだ。」って話をした。親父にそれ(ジャズ)を聴かせられなかったことがずっと悔いだったんですよね。

親父はジャズミュージシャンで、僕は高校くらいからテクノやニューウェーヴにハマった。親父にしてみれば突然わけのわからない音楽に夢中になってる息子が理解できなかったんでしょうね。よく腐されました。「こんなつまらない音楽ばかり聴くとバカになる」って(笑)。親父が面白がって聴いてくれなかったことが多分、思春期の少年にとってはショックだったりイラっとして、そんなことで一時期ジャズを不当に遠ざけていたっていうかね…。

それまでは赤ん坊の頃からジャズが部屋の中で鳴っていて、好きな曲もあったし嫌いな曲もあったし。頭の中で常に響いている音楽はジャズだったわけです。7年ぐらい経って、僕が23、4の頃には、父は医者からもう余命幾許もないっていう風に言われて入退院を繰り返していたわけですけど…あ、本人は最後まで知りませんでしたが。素直になれば、僕はジャズ大好きだし、今自分が向かおうとしていることはそうじゃないけども、歌うことの一環として“今ジャズをやれるかもしれない”っていうチャンスがあったら「これを聴かせてあげたいな。」と思ったわけですよ。…それが叶わなかった。

それで、親父は死んじゃったわけですけども、ずーっとその時の悔いがあって、有頂天の後にやったLONG VACATIONでもジャズ的な要素があったりとかする中で「いつかあの時にできなかったものを形にしたいな。」っていう思いがあった。その意味ではまさに“念願のアルバム”なんです。

 

▷その時(27年前)からずっと「次はジャズやろう」って決めていたんですか?

 

KERA いや…思わなかったですね。死んじゃったから「間に合わなかった…」っていう思いの方が強かったし「もう一回チャレンジしよう。」とすぐには思えなかった。当時、有頂天も今ほどオーディエンスの許容量が大きくなかったし、レコード会社の求めるものもあったし、有頂天のメンバーが思うこともあったし…。

非常に不自由だったんですよ、ある意味。劇団を続けていくだけでもかなり後ろめたいっていうか…メンバーはみんなツアーやったりレコーディングやったり、一年中したいだろうに…。それを年4か月劇団に割いて、彼らはその間シブがき隊のメンバーのソロのバックをやったり、つみきみほのバックをやったりしたんです。そんな状況の中で無理してまで「早くジャズアルバムを出そう。」とは思わなかったですね。

 

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KERA  紆余曲折あって3年前に鈴木慶一さんとのダブルオーナーでウルトラヴァイヴの力添えもあって、もう一回ナゴムレコードを再始動することになった。その流れがあって具体化に至ったって感じですね。

 

▷でも、確かお父さんはKERAさんのご活躍をとても喜んでいたって、何かで読んだことがあります。

 

KERA そうですね。世の中いろんな父子がいるでしょうけど、僕は一人っ子で弟は生まれて3日か4日で死んじゃって、僕は顔も見たことがない。だからほとんど“一人っ子”ですよね。親父と二人暮しが長かったからもっと腹を割っていろいろ話したかったんですけど…なかなかね。親子って気恥ずかしくて話せないじゃないですか、そんなに。

親父がなくなる2年前、23歳の時に有頂天でメジャーデビューしました。実はさしてお金にならなかったんですけどね。でもパブリックイメージとしては鳴物入りでデビュー!みたいなことになった。その事自体は、実はすごく喜んでくれていて「あいつは俺よりも音楽の才能はあるかもしれない。」と、すごく嬉しそうに友達に話していた…っていうのを亡くなった後に聞くんですけどね(笑)。僕の前ではそんなに評価してくれなかったですよ。

 

▷そういったこともあって今作は“21世紀のエノケンを目指す”とあるんですけれども、あのニューウェーヴなKERAさんが!…と言うのも、 KERAさんはニューウェーヴのことを「驚きがある音楽だからニューウェーヴだ。」って仰っていましたよね。

 

KERA そうですね。

 

▷だから、まさかエノケンになりきろうと思っていらっしゃらないことは当然なわけで。

 

KERA もちろん、もちろん!マネしても意味ないしね。

 

▷聴いてみるとすぐにわかりますけれども!例えばエノケンも歌ってらっしゃる…

 

KERA 「月光価千金」ね。

 

▷はい!その他多くの方の作品とも、勿論エノケンともまったく違うイントロで、歌い方もストレート。こちらはソロプロジェクトのアレンジですね。アレンジ目線ではいかがですか?

 

KERA 一応このアルバム、「ジャズアルバム」ってことで売ってるワケですけど、「じゃあジャズって何?」って訊かれると、僕は今でも答えられないんです…。まあ、リズムでいうと“ハネてるかハネてないか”っていうのはあるでしょ(笑)?

 

▷そうですね!

 

KERA 有頂天やシンセサイザーズ(ケラ&ザ・シンセサイザーズ)でやっている曲は基本8ビートだから、ハネてる曲歌いたいなと、それぐらいのことではあるんです。けどジャズって本当にいろいろあって、ウチの親父がやっていたジャズっていうのは、所謂ディキシーランドジャズやスウィングジャズっていう、オールドスタイルのジャズ。エノケンが歌っていたのも…。

エノケンはアメリカである曲が流行るとそれをいち早く探知して次の週には譜面が自分の手元にあったっていうくらい速い人なんですよね。それに日本詞をつけて次から次へと舞台や映画で歌った。まさに「モダン」です。まあ、当時の日本人に受け入れられるアレンジにする必要性から、和風の古臭い編曲ではありましたけど。 “小唄”と言ってもいいくらい“口ずさめるジャズ”だった。

その後ビ・バップと呼ばれるジャズが生まれ、モダンとかフリーとか…山下洋輔さんや坂田明さんがやっているような、タモリさんが好いてるような…あるいは植草甚一が好いてたような音楽になっていくわけですけども。

 

 

KERA 僕はあくまでも“歌としてキャッチーなものを持っている”っていうのをジャズの中に求めていて、だから“ポップス”とも言えるわけなんですよね。それをビックバンドでやりたかったんです。ちょっとダン池田とニュー・ブリード(歌謡曲)も入っていますけど(笑)。

クレズマーっぽい曲も何曲か入ってます。僕はカフカ(フランツ・カフカ)の大ファンで、彼の台本演劇や小説のコラージュを舞台化したヘンテコリンな芝居を作ってきましたけど、東欧のジャズが似合うんですね。で、舞台でクレズマーやジャンゴ・ラインハルトなどのジプシー・ジャズを多用してきた。それで「いつか自分でも歌いたいな」と思っていたんです。それからこれはサービスですけど、ついこの間やった『グッド・バイ(太宰治作)』OPテーマでゲルニカの「復興のテーマ」を山田参助さんっていう漫画家の方に歌っていただいたんですけど、ほぼ同じオケを使って自分の歌に差し替えたモノも収録されています。

まあ「東京の屋根の下」を聞いて「ジャズだ!」っていう人はいないだろうし、厳密な意味でジャズミュージシャンがこのアルバムを聞いて「ジャズだ!」っていうかどうかはわからないんですけども、自分にとっての“ジャズ感”みたいなものが詰め込めればとりあえずはいいかなと。本作に手応えがあればレパートリーの中にこういう曲を増やせたらいいなって思っているし、今回27年ぶりだからって次もまた四半世紀待ってたら死んじゃうからね(笑)。次から次へと出来ればそれはそれで楽しいと思っているんですけども。

 

▷今はもうジャンルで聴く人って…

 

KERA あんまりいないよね。今はね。

 

▷はい。ソレはソレ。コレはコレ。

 

KERA そういった意味では有頂天でデビューした80年代よりはずっと自由だし、聴き手も縛られてないなーって思いますね。昔だったら「これを聴いている人は絶対これは聴かないだろ!」っていう組み合わせで当たり前にみんな聴いているし。

 

▷あの、私は「とうふづくりせんねん」がすごく好きなんですけども…

 

KERA わははは!知らないよ誰も!

 

▷「とうふづくりせんねん」を今聴いてもとっても新鮮だなって。

 

KERA これまたひどくコアなオーディエンスだな(笑)。さっき「目指している」って仰ってますけど、目指すというのは具体的にはどう目指してるの?

 

▷そうですね…すごく泥臭くてダサいとは思いますけども所謂…“我輩はカモである精神”ですかね。何らかの事情で単純に自分が聴きたいものが聴けない状況、先生(KERAさん)はそれらを“システム”って仰いますけれども、私もなかなかそれを変えようとは思えないのです。その代わりもう一箇所別の場所を作って、共感してくれる人々や一生懸命素晴らしいと思える曲を作ってくれている人が適していると思える環境を目指していきたい、という私なりの信念があります。本当は最後に「こんな(KERAさんの)後輩だと思っているニンゲンにアドバイスをいただけますか?」って訊きたい!と思っていまして(笑)。

 

KERA 途中で訊いちゃった(笑)。

 

▷すみません!…でも、こういうこというのってダサいのかなあ。

 

KERA でもね、今の時代、クールであることは格好悪いと思うよ。そうは言っても根がクールな人は格好悪かろうがなんだろうが“そうしている”しかないんだけど。例えば今野雄二さんとか加藤和彦さんなんて…ああいう人たちは絶対に崩した自分を見せたくない、そういう美学を頑なにもっていた人だったと思うのね。YMOの人たちは当時からスネークマンショーと組んだり「君に、胸キュン。」とか、洒落をエクスキューズとして持っていたから全然大丈夫だと思うんですけど、ダンディズムの囲いの中に自分を閉じ込めてしまった人たちっていうのは、例えば生活感のある発言をツイートしたりは絶対できない訳ですよ。そういう人達にとって今はすごく生き辛い世界だと思うし、ああいう人たちが続々と自ら命を絶ったていうのはわかるような気がするのね。今や彼らの美学が通用しなくなってる。多少ダサかろうが素の自分を見せることの方が潔いというか…自然な時代になっているんじゃないかな、と思うのね。

きっと僕らがメジャーデビューした80年代の後半くらいから、「一億総業界人化」って言われるように徐々に徐々に芸能界の裏が…例えば“オールナイト・フジ”や“とんねるず”やそれこそ秋元康氏の戦略によって暴かれていった。それまでは芸能界っていうと“神話の世界”だったと思うんですけど、それが「普通の人達なんだ。」「アイドルだって普通の人なんだ。」「アーティストだって悩むんだ!」て、徐々に境界線が崩されていって、今やもう当たり前にデモに参加したりする。

だから、そういう世界の中で、例えばマネージャーに守ってもらって人に見せない部分をいっぱい作って、頑なに素を見せないっていうのはもはや完全に時代錯誤でしょう。「素の部分なんて見たくないよ!」っていう人も確かにいるんだけど、それは例外的なものなのかなっていう気がしますね。

僕なんかも、20代の頃はナゴムレコードで “シーンのつまらなさ”っていう本音をいかにレーベルに反映させていくかを考える一方で、やっぱり自分で作り上げたキャラを演じているようなところもあった。ナゴムに求められているもの、有頂天に…或いはKERAに求められているモノを少なからず演じていた。よりそれを誇張して見せていくようなところもあった。でもすでにロンバケ(LONG VACATION)を始めた頃はそういうのがなくなってきていましたけどね。「もうちょっと楽しくやろうよ!」って。だからさっき仰った軽薄さも、多分に僕らがそう見せようとしていたっていうのもあると思いますよ、きっと。でも所詮山羊座のA型はね、無理なんですよ(笑)。いらんことに悩むしね。

 

▷ありがとうございます!この1枚のアルバムを拝聴して人間らしさというか、個人的な執着心も強く感じました。私が学生の頃に遠目から見ていたKERAさんとは違いましたね。「復興の歌」は社会的な表現にも見えますし。

 

KERA そうだね。2016年の今、「東京の屋根の下」とか「復興の歌」とかを僕みたいなのが歌うっていうのは恐らく発表された当時、灰田勝彦や戸川純が歌った歌とは全然違った聴こえ方をすると思うし、それにことさらメッセージ性を込めたっていうことはないんですけど、全然違う響きを届けるっていうこと自体広い意味で社会的な行為だとは思うし、なにより「面白い事なんじゃないか?」って思った。

 

▷例えば60年代フォークのようにストレートに歌詞に込めて届けるのではなくて、アーティスト自身の表現が求められているというか。

 

KERA だから論文を読み上げるみたいに、自分の主張をそのまま歌に乗せて読み上げるって事がガラに合っている人もいるし、僕もたまにやらないでもないんですけど、本流ではないのはわかっているんですよね。そうじゃなくてもっとシニカルな方法や逆説的な方法の方が僕の場合届かせやすいと思うし、そこには演劇も含めて誤読というか、歪曲して伝わってしまう相手も沢山いるんでしょうけど“わかってくれる人もいればわかってくれない人もいる”っていう状況もひっくるめて僕は楽しんでいるんですね、きっと。

 

▷すごく、勉強になります。“楽しめるか”ですよね。

 

KERA 楽しむ余裕だけは持っていないとね。以前『奥様お尻をどうぞ』という舞台を演った時は震災直後で、稽古が終わって帰った時にニュースを観ていたりすると「芝居なんかやってる場合か?」とも思ったし、演劇よりも強いエネルギーが、実際そこかしこで感じられて「そんな中で台本を書きながら一体自分たちに何ができるか?」と思って古田(新太)達と作り上げたのがあの芝居。自分にとっては“デモに行く代わりに芝居を演ってる”みたいなものだった。

切羽詰って思い悩むのではなくて、作るものに反映させるっていうことを楽しみながら創っていく。そうした力って創作している最中は疑心暗鬼になんだけど、蓋を開けてみるとすごく多くの人が反応してくれるんですよね。今演ってる『消失』なんかも11年ぶりに再演して「どうなんかな?」って思っていたけど、蓋を開けてみると「今こそこれをやるべきだった!」っていう声が多いし、とても励まされるんですよね。

 

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KERA うん、やっぱり楽しいから演っているんですよね。辛かったら辞めちゃったと思う。別に僕は社会のために演劇や音楽を演ってるワケでもないから。まずは「自分が生きて行くためにはこれが必要だ!」って思うからやっている。バンドメンバーやキャスト、スタッフはその次。観客は一番最後。そういう意味ではすごくエゴイスティックかもしれないですね。だけどきっと、自分が楽しめば一緒に作っている仲間が楽しいだろうし、作っている人達が楽しければ観客も楽しい。そう信じてやってます。

 

▷今おっしゃった部分が「“エノケンさんを目指す”ということなのかな?」って思ったんです。

 

KERA ああ、そう言われてみればそうかも。あの人も芸道一筋だったからね。

 

▷エノケンさんは今より過酷な状況下でも。誰のためにされていたかはわかりませんけれども。

 

KERA 『シャープさんフラットさん』っていうお芝居でエノケンのエピソードを書いたことがありまして。エノケンさんは壊疽って病気で、最初は足の指だけ、それから程なくして膝から下を切断するんですけど。その義足に鈴をつけてまでお客を笑わせようとしたっていう(笑)。

なんか…やっぱり取り憑かれちゃっているところはあると思いますよ、エノケンにしろ僕にしろ。って喜劇王と自分を比べるのもまったくおこがましいですが。辞められないんですよね!本当に良かったと思います、この世界に入れて。他のことじゃあ多分…僕は子供の頃、植木等に憧れていて、サラリーマンが一番楽しいのかと思っていたけど、絶対サラリーマンは無理だもんね(笑)。

 

 

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【リリース情報】

アルバム:Brown,White&Black

アーティスト:KERA

リリース日:2016.01.20

価格:¥3,000(+税)

 

《収録曲》

  1. Old Boys(SWING)
  2. Shine(That’s Why They Call Me Shine)
  3. 半ダースの夢
  4. これでおあいこ
  5. 学生時代
  6. Lover,Come Back to Me
  7. ミシシッピ
  8. 流刑地
  9. 月光価千金
  10. 東京の屋根の下
  11. 復興の歌
  12. 地図と領土
  13. フォレスト・グリーン(或いは、あの歌といつか歌えるか)

本日新作MV公開!

 

KERA Brown,White&Black SPECIAL SOLO LIVE

2016.03.13(日) @Billboad Live TOKYO

第1回:Open 15:30 / Start 16:30

第2回:Open 18:30 / Start 19:30

〈お問い合わせ〉

Billbord Live TOKYO

http://www.billboard-live.com/

 

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【関連サイト】

ケラリーノ・サンドロヴィッチ Twitter

https://twitter.com/kerasand

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