2016
03.13
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【INTERVIEW】ベスト盤リリース記念「オワタPのボカロのススメ1」

INTERVIEW, MUSIC, RELEASE

ボーカロイド界で最後の大物と言われる・オワタP氏が商業CDをインペリアルからリリースすることになった。なぜ今更?なぜ市場にわざわざ並べるのか?なぜタイトルが「無難。」?

オワタPとは、バイオレンスさとキャッチーさの二面性を自在に操る魔術師Pだ。なんだか恐ろしいなあ…。そう思いながらも好奇心には勝てずに、戦々恐々とに会いに行ったのだったが、それもどうやら取り越し苦労。ゆっくりとした口調で丁寧に語る彼はジェントルマンでしかなかったわけで、伺った後のオワタP氏は勇敢な戦士にしか見えなくなっていたのだった。

本作では、待望のオワタPのベスト盤『THE BEST Of オワタP 無難。』リリースを記念して彼の半生や作品の意図、そしてボーカロイドについてや独自の見解についてじっくりと語っていただいた。ボリュームにして約10,000字!二度に分けてお送りする本記事で是非ボーカロイドの深い魅力について触れていただきたいと思う。

 

 

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—— まずはアルバムリリースおめでとうございます…って、もしかしてあまり気が進まない感じですか?”商業用CD”という書き方が…。だって、こんなこと書かないでしょう?言うなれば、全部商業用だもの。

 

オワタP 私は『商業CD』って呼んでるんですけど、もともと私は同人というカタチで自費出版のCDをたくさん作ってきたんですね。ボーカロイドのアルバムだけで6枚。その他にゲーム音楽をピアノで演奏してみたのをCDにしたり、自分でゲームの音楽をパソコンで作ってアレンジしたのをいわゆるコミックマーケットで売るっていうのをメインでやってきたんですね。

 

—— 音楽もコミケで売られているんですか?

 

オワタP そうですね。同人誌に限らず音楽、評論、小説も扱っていますし、ゲーム、DVD…なんでもありますね。

 

——(作品を出品する上での)共通点はあるんですか?

 

オワタP 基本的には版権物でないもの、バーコードがないものならなんでもいい。つまり商業ものでなければなんでもいいんです。ちなみにコミックマーケットで一番多いのは男性同士の同性愛です。女性向けが一番多いです。

主に読むのは女性ですね。もちろん男×男が好きな男性もいるんですけど、男×男や女×女の禁断の世界が自由に扱える。当然今は青少年なんとかっていう法律で過激なものはダメですけど…って、だいぶ脱線してますけど大丈夫ですか?

 

一同笑

 

ディレクター 腐女子とかいますよね。

 

オワタP 今一番メジャーなのは「おそ松さん」で、これは完全に女性向けに作られていますね。おそ松6兄弟の絡みを見て女の子たちが妄想をする人がいます。あるいは「もしおそ松さんと付き合ってみたらこうなのになあ!」と夢を見る人、これは腐女子ではなく「夢女子」というんですけど…

 

—— それもジャンルになるんだ。

 

オワタP 最近は『艦隊これくしょん』。戦艦大和とか昔の日本軍が使っていた船を女の子に擬人化させてゲームになって出てるんですけど。DMMとカドカワの集合体で、アニメ化もされて一世代を築きましたね。それを言えば『刀剣乱舞』も含まれますね。日本刀を男の人に擬人化して戦わせるっていう。良くあるイラストを投稿するPixivっていうのがあるんですけど、そこのランキングを見るとほとんどが『おそ松さん』と『刀剣乱舞』。あと、まだ頑張っている東方プロジェクトがいる感じですね。

 

—— これは相当深いカルチャーですね。ところで、オワタPさんご自身は少年時代どんな音楽を聴かれていましたか?

 

オワタP 昔から馴染みはあったんですけど、自分でピアノを弾いてみようと思ったのは耳コピですね。小学校の頃から耳コピはしていましたね。

 

—— これは音感がないとできませんね。

 

オワタP ゲームが好きだったんですね。ただ「ゲームは1日1時間まで」とか言われるじゃないですか。だから、そうなると「もっとゲームに触れているためにはどうしたらいいかな。」「自分でゲームの音楽を聴きたいな。」「自分のプレイを録画してそれでゲームをやった気になるかな。」と、今でいう実況プレイを小学生からやっていましたね。実況じゃなくてプレイ動画でしたけれども(笑)。あとはピアノで演奏して「これでゲームを楽しめてるな。」と思ったりとか。

 

—— イイ子じゃないですか!

 

オワタP あとは『ドラゴンクエスト』のすぎやまこういちさんが創っている音楽って、ロンドンフィルハーモニーでCDになっているんですよ。それを買ってくると楽譜がついているので、CDをかけながら楽譜を読んで楽しむっていう学生時代を過ごしていました(笑)。なので、アイドルソングとか歌モノに全く興味がなくて、ゲーム楽曲の方がむしろ私の青春時代だったのかな、と思っています。

 

—— 初めて耳コピした音楽を憶えていますか?

 

オワタP 初めてはやっぱりマリオですかね。『マリオワールド』の楽曲をピアノでなんとか頑張って弾いた気になっていたのかな。

 

—— いや、耳コピ自体が高度ですよ。

 

オワタP 幼稚園の頃にヤマハ音楽教室に1年くらいは通っていたので、もしかしたらそこで絶対音感なり何かが身についたのかもしれませんね。本格的にピアノ教室に通ったのが小学3年くらいから中学1年まで。

 

—— それはご自分の意志で?

 

「やってみる?」って誘われて「やりまーす!」って(笑)。

 

—— 本格的にボーカロイドを使われた時期は?

 

オワタP 始めた時期は大学2年生の終わりになります。19歳から20歳の時ですね。元々中学から剣道をやっていまして、剣道に専念した関係で音楽から離れていたんですね。剣道があまりにも辛くて「もう大学では剣道じゃなくて自分の好きなことをやろう!作曲しよう!」

で、大学でパソコンができるサークルに入って、そこにはゲームを創るところ、CGで絵を描くところ、音楽を創るところがあった。で、音楽を創るところに入ったんですね。それから2年目の終わり…3月なんですけど、たまたま同期の子がボーカロイドを使って音楽を創っていたんです。その時は鏡音リンに「かえるの歌」を輪唱させていたんですけども、それを聞いて「へー、ボーカロイド…ニコニコ動画で観たことあるけど…つくれるんだあ…。じゃあ、僕もやってみようかな!」と思って初音ミクでオリジナル楽曲を創ったんです。

そんな時、大学で“クラシックのアレンジをしてください”っていうお題があって「何かをボーカロイドで歌わせようかな。」と思って出来上がったのが、今回収録されている「トルコ行進曲 — オワタ\(^o^)/」だったんです。

 

 

 

 

—— これはものすごくヒットされたんですよね。

 

オワタP そうですね。同期とかに「これ、ニコニコ動画に投稿しようと思うんだけど…。」って言って、投稿したら「これ、1位になってんじゃん!」って(笑)。それから僕のボーカロイド人生が始まった感じですね。

 

—— その「トルコ行進曲 — オワタ\(^o^)/」から(作者クレジットが)オワタPさんになったんですか?

 

オワタP そうですね。一曲目の時は「ガルナ」という名前で活動していたんですね。当時は自分でPを名乗るなんておこがましいっていう文化がありまして。あだ名ですね、いわゆる。「じゃあ、この人は何Pにしようか?」と議論を重ねた結果、最終的には楽曲の中にある言葉をそのまま「オワタP」という名前になりました。

 

—— オワタといえばコレ\(^o^)/ですよね。

 

オワタP もうなんでもよかったんで「じゃあ、オワタPになりまーす。」って。名乗ってから次の楽曲を投稿するときには「初めましてこんにちは、オワタPです。」って名乗って活動していた感じですね。

 

—— 活動の幅も広げていらっしゃいますね。小説もお書きになってる。

 

オワタP はい、実はこのガルナ名義のときに初めてコミックマーケットにサークル側で参加しました。だから僕の“初めて”はCDじゃなくて小説だったんです。

 

—— そうなんですね!私はいつも、音源を頂いてはじめての拝聴は必ず歌詞も確認せずにただ音を耳に流し込むのですが、この作品は面白いくらい何も入ってこないんですよ(笑)。楽しさと皮肉さの雰囲気しか入ってこない。で、歌詞を見てびっくりする。

 

オワタP 「こんなこと言ってたんだ!」って?

 

一同笑

 

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オワタP それって結構大事で、ボーカロイドって歌詞カードがないと何を言っているかわからなくて、僕も友達からCD をもらった時には必ず歌詞カードを見ながらじゃないと何を言っているか全然わからなかったんですよ。

 

—— 文学の楽しさと音の楽しさ。

 

オワタP 翻訳みたいな、ね。だんだん聴いているうちに聴くだけで何て言っているのかわかってくる。それを「ボカロ耳」と言います(笑)。

 

—— 何と!

 

オワタP 英語とかもそうじゃないですか。最初は歌詞カードを見ても何を言ってるかわからない。やっているうちに耳が慣れてくる。

 

—— BPM300の曲もありますよね?人の正常範囲無視。

 

オワタP なので、そこがジレンマにもなるんですよね。自分ではわかるんですけど一般の方が聴いた時に何を歌っているのかがわからない。そう思われちゃうところが結構ありますよね。

演歌もこぶしが効きすぎると全然わからない。あとは方言ですね。方言も聞いているとイントネーションが違うだけで、日本語だろうけど全然何を言っているか理解できないことがありますよね。それと同じでボーカロイドも慣れないと何を言っているのか本当にわからないっていうのは当然あると思います。

 

—— 楽しさに奥行きがありますねえ。

 

オワタP 楽しくなるまでが大変かも(笑)!逆に言うと最初の頃はそれが新鮮で聴いていたっていうのもあると思います。

 

—— 動画で映像や歌詞とセットで音楽を楽しむというスタイルもボーカロイドの醍醐味としてあるのかも。

 

オワタP そうですね。もうPVありき。カラオケと同じですよね。テロップがあるから一緒に楽しめるかな。

 

—— あとは映像ですよね!キャラクター。

 

オワタP 動いたりね。なんなら口パクなんかしているものもありますし、3Dのものもありますし。ニコニコ動画でもMMDと検索すると大量に出てきますね。

正式名称でいうと『ミクミクダンス』っていう樋口Mっていう人が創ったフリーソフトなんですよ。3Dの映像がめちゃくちゃ簡単に作れる。定期的にニコニコ動画でもMMD(ミクミクダンス)杯って言って、MMDで3D動画を作ってグランプリを決めよう!というのも有志でやっていたりします。

 

—— ニコ動…。実はオワタPさんのことはニコ動ではなくて、YouTubeで知ったんです。

 

オワタP 去年くらいからかな?YouTubeでチャンネルを持って配信してるんですけど、古—い僕の動画を6年前くらいから転載している奴とかは、画質も音質も悪いのにそれで80万再生回数とか稼いでいるものもいますね。

 

—— もしかしたら、それかもしれない。ゴメンなさい!

 

オワタP でもしょうがないっていうか…しょうがなくないんですけど、ムカつくんですけど、もうある意味文化の一つなんでしょうがないかな、とは思いますね。

 

—— 歌詞を確認するとロックキッズにはグッとくるんじゃないかと思うんですけども。

 

オワタP グッとくる?ほお。

 

—— 誰の気も遣っていないじゃないですか。

 

一同笑

 

—— これはカッコイイでしょう!

 

オワタP もともと自分がやりたいようにしかやらない人が多いんですよね。ボーカロイドって誰かにお願いされて作るものじゃなくて自分が作りたいものをやりたいようにやるっていう人が多かったんですよ。で、私も言われて作っているわけじゃなくて、自分が作りたいものを自由に創った。その結果、ああなっちゃった感じですかね。

 

ディレクター スピリッツはロックですね。

 

—— そうなんです。例えば昔は「ロックミュージシャンはテレビに出るもんじゃねえ!」っていう現象があったじゃないですか。ああいった衝動が手元(作品)にあるという感覚がある。しかもファッションじゃなくて。単純にかっこいいですね。

 

オワタP 逆にプロの方がお遊びでニコニコ動画で楽曲を投稿しているのもあるんですけど、昔はほとんどの方が素人。荒削りのものをしかもタダで楽しめるっていうのが学生達の間でウケたんでしょうね。若い子達の支持がすごかったです。逆に言うと今もそうなんですけど「ネットで活動していた人がテレビに出るなんてありえない!」とか、あるいは「雑誌にインタビューを受けるなんて!商業でCDを出すなんてありえない!」っていうのが当然始まってから1〜2年で出てきまして。当然ジャスラック騒動も出てきますね。今じゃもう当たり前のように登録できてるじゃないですか。昔はそれをしたら大バッシングだったんです。

 

—— 仲間から?

 

オワタP もう、みんなからですね。「なんでそんなことをするんだ!」って。「お前は金を稼ぐために曲を創っているのか?」って。それを”嫌がる儲け”と書いて「嫌儲(けんもう)」という考えがありまして。

 

—— それが理由でずっとリリースを拒否されていたのですか?お声はかかっていましたよね?

 

オワタP 声自体はかかっていたんですけど、逆に商業で(CDを)出す理由が全然見当たらなかったんです。だって同人でも何千枚も売ってるし、みんなに無料で聴いてもらってるし、着うたもカラオケも沢山出してるし。じゃあ、今更商業CDを出す魅力って何?ってなるじゃないですか。

 

—— 今回はどういう心境の変化なんですか?

 

オワタP 最近、商業CDでやることの意義ってだんだんわかってきまして。保存版!

 

一同笑

 

オワタP いわゆる動画サイトがいつまであるかもわかりませんし、YouTubeも、もしかしたらいつか潰れてしまうかもしれない。それに私の同人CDっていうのがまさかここまで長いことやると思っていなくて。最初の「トルコ行進曲— オワタ\(^o^)/」が収録された同人のCDを創ったのが、もう8年前なんですよ!素人ものですから音質も悪い。しかも当然廃盤ですよね。そうなると最近改めてファンになってくれた人が昔の楽曲を求めてくれたりするんですよね。今僕の曲を聞いてくれている人の半分は2011年までの曲をメインに聴いているんですよ。

 

 

 

最近の曲は当然年数の重みが少ないので、再生数自体も少ないんですよね。なのでやっぱり再生数が多い順にソートすると昔の曲ばかり出てきてしまうっていうのはあるんで、そこはしょうがないんですけども(笑)。従って、僕にハマった人も当然再生数順に聴くと5,6年前の楽曲が多いわけですよ。で、そうなると同人イベントで僕に会いに来てくれた子に「この曲のCDないんですか?」って言われちゃって「すみません、CDとしてはもうないんです。」って答えると「再販はできないんですか?」ってなりまして…。そうなると同人CDって 再販ってすごい難しいんですよ。出来るっちゃあ出来るんですけど、やりたくないんですよ(笑)。なので、今回たまたまお話をいただいたときに「じゃあ9年目になった今だからこそ、これを出す価値があるな!」って思ったんです。

 

—— しかもテイチクさんから。

 

オワタP それもビックリですね。普段お世話になっている方から「何か面白いことをしませんか?」とご紹介いただきまして。11月末でしたっけ(笑)?

 

ディレクター ハハハ!本当すみません(笑)。

 

オワタP いえいえ!

 

—— テイチクさんにも衝撃ですよ。

 

オワタP テイチクさんのアーティストラインナップがあるじゃないですか。あれを見て「本当にそこにオワタ(P)が入るんですか?」って。おかしくないか?いいのかこれで?って(笑)!

 

一同笑

 

オワタP 実際お話いただいた時も「ボーカロイドの第一弾だ」っていう風にお話をいただきまして。第一弾でよく私を選びましたね!ボカロPって私以外にも沢山いるんですよ。それこそ毎年新しいPが500人から1000人くらいが誕生している文化なんですね。…よくぞそんな沢山の中から!

 

一同笑

 

—— 作品にものすごい破壊力と暴力性を感じますから、実際にオワタ(P)さんにお会いするまでオワタPさんのことを…。

 

オワタP もっと怖い人って?

 

—— はい。すごく怖い人かと思っていました。

 

一同笑

 

—— でも「大人ならばここには触れないでおこう」とするところをユーモアとしても捉えられる一面は救いでもあるのかなあ、と。例えば、この作品の中に二部作があるじゃないですか。

 

オワタP 「パラジクロロベンゼン」と「アンチクロロベンゼン」ですね。

 

—— そうです。あれに関してもものすごい反響ですよね。

 

オワタP まさかあんなに聴かれる楽曲だと思わなかった楽曲だったので、私もびっくりしました。「パラジクロロベンゼン」は当然そうだったんですけど、「アンチクロロベンゼン」っていうのは「パラジクロロベンゼン」に対する返歌だったんですね。

 

 

オワタP 「パラジクロロベンゼン」が ものすごく賞賛されたことにすごく腹立てまして。みんなのレビューを見たらトンチンカンなことばかり書いてあって。「お前本当にいい曲だと思ってんのか?本当に共感してたらお前クズやで!」て。それで「パラジクロロベンゼン」が大好きな人を全力でディスった曲(「アンチクロロベンゼン」)を出したんですね。そしたらそれも「イイ!」って(笑)!うーん。

 

一同笑

 

 

オワタP 結局は「パラジクロロベンゼン」も「アンチクロロベンゼン」も両方ともクズの考え。本当の真実は高みから見ていますよ、っていうことなんです。みんなが騒いでいるのを僕は上から見ていて「すげーなあ、この世界…。」っていう風に思ったのが当時の学生時代。いやあ、当時はすごくトガっていましたね〜(笑)。今は社会人になってすごく丸くなりました(笑)。

 

一同笑

 

 

 

—— それは戦略的に?シンプルに生き方としてですか?

 

オワタP やっぱり社会人になると「友達がムカついてしょうがねえ!」とかそんな曲じゃなくて、ただもう「休みたいなあ、サービス残業したくないなあ、定時で帰りたいなあ!」っていう曲ばっかり作るようになるんですよ。もう、思ったことをすぐ曲にしちゃいますね(笑)。

 

一同笑

 

—— 「どうせお前らこんな曲が好きなんだろ?」っていう曲もびっくりですよ。サビで「すったかたったったーん」って…初めてですよ(笑)。

 

オワタP あれは、そもそもその頃のボーカロイドの流行りっていうのが、とにかく高速でピアノなどのメロディが狂っているもので、キャッチーなコピーがあるものが多かったんですね。「キャッチーなコピーならなんでもいいんだろ?」と思って「すったかたったったーん」にしました、それだけです(笑)。あと当時は無駄に人を殺したりとか感動させるものが横行していて「そうだよね、そういう曲作ればウケるよね。みんな好きだしね。じゃあいいよ、とりあえず殺しておこうか」っていう流れで、実はゼロからストリーミング配信(ニコニコ生放送)しながら創ったんですよ。

 

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オワタP ニコニコ生放送っていうのも一種のエンターテイメントで「みんなが好きそうな曲を今から作ろうぜ!」って言いながらメロディや音をみんなに決めてもらったり。作詞や動画も「適当にやろうぜ!」って作って「今から投稿します!」って投稿するまで6時間。

 

—— 早い!プロのトラックメイカーでも6時間でできる?

 

オワタP そしたら意外と反響があって、生放送を観ていた人はみんな大爆笑ですよ。「やっぱり伸びたか!」って。こんな風にみんなでバカするのが当時から好きだったんですね。

 

—— そういった文化でヒット曲を眺めるとだいぶ聴き方が変わりますよね。

 

オワタP そうですね。流行り廃りっていうのは当然ありますからね。

 

—— タイトル「無難。」っていうのは?

 

オワタP はい。後書きでも書いている石井っていう方とはもう私と6年以上の付き合いになるんですけど、彼が選曲をしてくれたんですね。ニコニコ動画でマイリスト数(いいね) が多い曲とカラオケで歌われている回数をランキング化して、その中から10曲を選んでくれたんですよ。で、そのラインナップを見て「なんだか無難なラインナップですねえ…。」と私がつぶやいたのがきっかけで「無難。」になりました。で、「しょうがないよね、ベスト盤だとこうなるよね」って思ったからそうしたのに、みんなに「『無難。』です!」って言ったら「この曲のラインナップのどこが無難なんだ!変な曲ばっかりだぞ!」って言われまして。「確かにそうか。じゃあ無難ってなんなんだろう?」ってちょっと哲学みたい(笑)。

 

—— オワタPさんにCD リリースを提案されたのがディレクターさんですか?

 

ディレクター 先ほど名前が出た石井さんという方と僕が知り合いになって、オワタPさんのことを聞いたんですけど、僕もボーカロイドの世界のことを何も知らなかったんです。もちろん「初音ミク」とか「鏡音リンちゃんレンちゃん」とかくらいは知っていましたが、僕には関係のない世界だと思っていました。でも石井さんから話を聞くうちに「この人たちはすごいことをやっているな!」と思うようになったんですよね。見て見ぬふりをしていたものが実は凄いことをやっている人が沢山いて、それを愛している人たちも沢山いた。これは完全に“文化だ”と思った。絶対に一回もやらないのはおかしい!それで遅ればせながらやらせていただきました。

 

 

—後編へ続く

 

 

 

 

THE BEST of ? ワタP無難。ジャケ写

【リリース情報】

アルバム:THE BEST Of オワタP 無難。

アーティスト:オワタP

リリース日:2016.03.16

価格:¥2,000(tax in)

 

 

 

がるなん.com  (オワタP公式Web)

http://garunan.com/