2016
03.14
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【INTERVIEW】ベスト盤リリース記念「オワタPのボカロのススメ2」

INTERVIEW, MUSIC, RELEASE

ニコ動関連のイベントが一般のニュースで取り上げられるほど、社会現象化しているボーカロイド市場。

同人だから許される表現はある。それはコンプライアンスに腐食されつつある一般メディアにはない、イケナイものを覗き込むような怪しげなリアリズム。「企業タイアップをすればとりあえず売れるんだろ…。」と細目でつぶやくキッズの行き着く先は此処かもしれない。聴くほどにある意味ロックだぜ!

一丁前のことを言う僕にとってもボーカロイド世界はかなり未知の世界だ。一般的な音楽好きな僕は、無機質な歌声を無意識に拒否していたし、ボーカロイドが果たして音楽なのかどうか考える事すら思いつかなかった。そんな僕の恩人は意外にも矢野顕子さん。「音楽は努力をして聴きましょうね。」という優しいMCだった。なんという流れだろう。

今、どうして僕が音楽メディアでボーカロイドを取り上げたのか。それは単なる好奇心ではないことがきっとお判り頂けるだろうと思う。親切丁寧なオワタPさんのボーカロイド入門トークに心底感謝。どうか、心元ないコメントはお控えくださいね(笑)。

 

 

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—— 例えば初音ミクはかなり大々的に露出されているじゃないですか。

 

オワタP そうですね、2007年の8月31日に発売されてから、やっとここまで来たなっていう感じです。当時は本当に北の小さな会社が作ったただの音源ソフトですから。だけどそのキャラクターから同人誌とかでみんながイラストを描き始めて、2、3年目くらいからライヴをやろうってなって、セガがゲームを作って、CDを出しましょう、オリコン1位を獲ったこともありましたね。…実は私もコンピレーションで1位を獲ったことがありまして。

デビューをしてテレビに出て、金星探査機「あかつき」に乗って…海外でもどんどん出るし、最近じゃないですかね?安室奈美恵や小林幸子とコラボしたりだとかが増えてきたのかな、っていう感じですね。

 

 

オワタP 最近日本ではキャラクター人気が弱くなってきているっていう気はしますね。海外ではキャラクター人気はまだ凄いですけど、日本では楽曲を作る人にスポットが当たっていて、その人が作った世界観がアニメになったり映画になったり。最近だとhalyosyさんの『桜の雨』が映画で公開になりましたね。あれも森晴義っていう方が初音ミクで「桜の雨」っていう曲を作ったら、小中学校の定番曲になりつつあるらしいんですよね。やがてそれが映画になったと。でももう、何が起きても驚かないんですよ。文化の一つとして定着してきているわけなので。

 

ディレクター オワタPさんの作品も舞台になったんでしょ?

 

オワタP 「パラジクロロベンゼン」という私の楽曲と「千本桜」で知られる黒うさPが創った「カンタレラ」という楽曲、シグナルPという方が創った「サンドリヨン」という3つの楽曲で、実は2011年に一度「ニコニコミュージカル」というミュージカルになったんですね。それが好評で、第二弾はストーリーを再編してプロの方で演ったんですけども、今月2月の頭からOSK日本歌劇団が演ることになったんです。両親がOSKのファンだったので、この間の千秋楽に両親と3人で関係者席で観劇をする、みたいな(笑)。

 

—— 実際ご覧になっていかがでしたか?

 

オワタP OSKって女性しかいないじゃないですか。だから全然違いましたね。もう、「OSKのカンタレラ」という感じで!

凄いのはOSKの方々がボーカロイド曲の「パラジクロロベンゼン」を歌って踊るんですよ。その動画が私のブログから紹介していますので、よかったら観ていただければ(笑)。終わった後に楽屋で「歌いにくい歌を作った者です。すみませんでした!」って言いました(笑)。

 

 

 

 

—— 生身の人間が歌えるものなんですか?

 

オワタP 僕としては「歌わないでください」とは言っているんです。喉が痛くなるから。「人間が歌う曲じゃないですよ、これはボーカロイドに書き下ろした曲なので、人間が歌うなんて…よく歌うね。」って。

 

—— 多くのアーティストさんはCDリリース後にレコ発に行かれますが、オワタPさんの場合はいかがですか?

 

ディレクター 一応都内のレコード店にご挨拶に伺ったりとか、その日の夜に何かイベントをね、ニコ動と絡めながら何かできればいいですけどね。

 

オワタP ただ、私はどこにでもいるフツーの社会人でございまして、本業が…こう言う会社で…(名刺を渡す)

 

—— めちゃくちゃ大企業じゃないですか!

 

オワタP フツーの一般人でございまして、音楽は趣味でやっていますね。なので、そんなにガツガツイベントのため休めるもんじゃないんです(笑)。

 

—— なるほど、それは仕方ありませんね。ところでネットは、自己処理すべき感情がダダ流し状態の世界という側面もありますよね?匿名性があるほど基本的な思いやりが欠如された世界。

 

オワタP ありますね。いや、間違っていないですよ。

 

—— ボーカロイドもまたその延長線上にあったりもするのか、と思い込んでいる節がございまして。申し訳ない。

 

オワタP 当然楽しくないこともありますよ。例えば楽曲を発表するじゃないですか。ニコニコ動画だと感想を書いてくれるんですけど、中には心元にもないことを書かれる人もいらっしゃいます。最近では「炎上」も沢山あるんですね。自業自得なケースもありますけど、中には言われもない中傷とか、そう言ったこともありまして。実際「パラジクロロベンゼン」という曲は炎上をテーマにした曲なんです。だから僕は、社会人として会社がすごく「楽だな」と思うんです。なんでかっていうと、こっち(ネット)やると、ノーガードで匿名でぶん殴ってくる人もいる。だから最近はそういう心元ない人に対して全体的に鈍感になった(笑)。

 

 

 

オワタP 当然集団心理っていうものがありますので「この人は悪者だ。みんなでやっつけよう!」っていう流れになったらみんなでボコボコに叩く。今だったらベッキーがボコボコですけど、あれ、本当は法律的に考えたら悪い人ってまだいると思うんですけど、世論はベッキーだけを叩く。そういうのを見ていると、僕らとしてはゾッとするんですよね。

 

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オワタP 普通に考えたら叩くべきはそっちじゃないのに、世論に誘導されて…。「怖い世の中だね、ここは楽しい日本だね」ってなるとまた楽しい曲が出来上がる。「ここは楽しい日本です」っていう曲を書くとすっごく皮肉な曲になるじゃないですか(笑)。

そういう意味では我々ボカロPに限らず、漫画家とか芸能人もそうですけど、そう言った人の気持ちはわかるようになったかなあ、と思いますね。普通の社会人では経験できないことができるので面白いし貴重だな!逆にそれが面白いと思えない方はとっととこの世界からいなくなる。好きで始めたのに「叩かれるから辞めます。」っていう人は何人も見てきました。よく9年間もいたなあ〜(笑)。

 

ディレクター 強いんだと思うよ。

 

オワタP でも不思議なことに悪く言うヤツに限って先に引退しちゃうんですよね(笑)。ボーカロイドの世界も最初は素人だらけの集団も言っちゃえばお金が動く世界になったわけなので、当然それを狙って入ってくる方もいます。それが悪いとは言いませんし、それで新しい文化がかき乱されて一般の方により広まる、というのはまた良いことなのか悪いことなのかわかりませんけれども…。

 

 

オワタP 当然面白くないって思う人もいますよ。「ずっとひっそりとやっていたかったのに、お前らが商業CDとか出すから日陰者じゃいられなくなっちゃったじゃないかよ!」っていう人もいますし、逆にバンドをやっていた人が面白そうだからはじめてみたらどんどん大きくなっていろんなステージに呼ばれるようになったら「ありがとう!」と言って、またいなくなる人もいます。そんな一期一会があるのもこの文化だと思います。私は最初から最後までずっと素人でいようと思っていますので。音楽は趣味でやっております(笑)。

 

 

 

THE BEST of ? ワタP無難。ジャケ写

【リリース情報】

アルバム:THE BEST Of オワタP 無難

アーティスト:オワタP

リリース日:2016.03.16

価格:¥2,000(tax in)

 

 

 

がるなん.com  (オワタP公式Web)

http://garunan.com/