2016
03.30
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【INTERVIEW】Walkingsデビューアルバム『穴』リリース裏話

ARTIST, INTERVIEW, RELEASE

Walkingsが今時珍しい高い演奏力と歌唱力を備えたバンドだということは知っていたが、今回のデビューアルバムを一聴して飛び上がった。

一曲目「flying fly」からの予想を裏切る堂々たる破壊力、期待通りのドラマティックな曲展開、技術を備えているからこそ中だるみしないバラード、色気際立つチョーキング…本作のロックが全く古臭さを感じさせないのは、ガレージ感を際立たせながら弦一本一本に触れるノイズのバランスまでもが絶妙なサウンドやハイセンスなコード進行にまずありき。

僕は思う。これは“日本人ロック”を示しているのではない。それらを通り過ぎた状態で生まれた新人類のロックが確かにここにあるのではないか。

今回もWalkingsの取材は長時間の大雑談会。でもこれでいい。何もごまかさないからこそ、緩いセンスや駆け引きに逃げずに技業を重んじる。そんなWalkingsのことが、僕は心底好きなのだ。

 

Photo / Hayato Nitta

Interview / Sayuaka Tanaka

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——作品を出してくれて、本当に嬉しいです。

 

 こちらこそ光栄です。ありがとうございます。

 

——作品を聴けることが、嬉しい。

 

 年2枚くらいは出したいですけどね。でも、売れないと出せない。

 

一同笑

 

——今回貴志くんとはどのような縁で?

 

 実は古いつきあい。

 

貴志 最初から友人だった。

 

 8年前ね!

 

貴志 同じ大会で別のバンドで出会った。もうそん時からの付き合い。吉田とはもう6個くらい同じバンドをやっています。

 

吉田 新メンバーっていう感じでは全然ないんです。

 

 旧メンバー。

 

一同笑

 

貴志 再会みたいな感じ。

 

——一番良いタイミングでしたね。

 

吉田 そうですね。かなりタイミングがいい。高梨(貴志)もちょうど自分のバンドを辞めた時期。

 

貴志 (風達が)前身バンドのイッキーサンプスをやってた時に一回誘ってくれたよね。

 

 そう、だから、例のバンドを解散して事務所を辞めた時に、その後すぐに「貴志と3人でやろうぜ!」って話をしたんですよ。だから結局、○○○がダメだったんだよ(笑)。

 

一同笑

 

 でもまあ、そしたら貴志が「ちょっと俺、独りになりたい…」って(笑)。

 

貴志 音楽から一回離れたかった。

 

吉田 だから一時期こいつと1年位連絡取れない時期があって生きてんのかなあって思っていました。

 

 うん。「貴志がこれで太ってたらウケんな〜!」って(笑)。

 

吉田 貴志、出会った当初はデブでした。105キロあった。

 

貴志 35キロ減りました。今は70とか69とか。なんにもしてないですけどね。

 

 勝手に痩せたんでしょ?

 

貴志 うん、勝手に痩せた。多分ストレスとかそういうの(笑)。だから、本当にタイミング良かったんだよね、今回は。

 

——井上(前Dr.)くんのことは最後まで誠実に思っていたものね。オマエに叩いてほしいんだって。

 

 でもなんか、ああやって頑張っていたんですけど、結局変わらなかったから辞めちゃったんですよ。

 

吉田 あいつの冷めてる部分をホットにできなかったね。

 

 全員がホットじゃないと俺らのバンドは辛いんですよね!

 

——本当はホットな奴だとは思うけどね。

 

 ゴネてるだけなのか?

 

——独りになりたいのか?

 

貴志 ドラムあるある(笑)。

 

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 貴志は自主制作EP『michi』の前の『CREAM』って作品で2曲叩いてくれてるんですよ。

 

貴志 「ロック」と今回のにも入っている「無駄」っていう曲。今レコーディングだけでは参加しているんですよ。

 

——今回のアルバムも出だしから物凄いパンチがしてね。あれは貴志くんのドラムだよね?

 

貴志 そうです。あれは全部俺です。

 

——前のバンド名がイッキーサンプス。これは「イッキーサンプ」から取られたんだよね?

 

 そうですね。完全にホワイトストライプスが好きだったんで。

 

貴志 でもアルバム聴いてもらったんだったら、もう良さは伝わってると思う。

 

——べた褒めみたいでちょっと外からはイヤらしく見えてしまうかもしれないけど、初めて聞いてから、3回以上ノンストップでリピートして聴いた。

 

 ええ?マジで(笑)?

 

貴志 3回だったら1時間半っすからね。

 

吉田 一周30分位なんです。

 

 昨日渡しましたからね(笑)。

 

——本当!ギリギリだよ。

 

貴志 昨日渡してから90分も我々にくださったんですね(笑)?

 

 はっはは!

 

——いい奴だなぁ!でもね、相当楽しかった!

 

吉田 楽しかったって、いいすね!

 

——うん「ロックなのに」っていう言い方が適しているかどうかはわからないけども、割と鋭いサウンドを選んでいるはずなのに、ガシガシ弾いているはずなのに…。

 

吉田 サイコーですね。尖ってるのに楽しいのがロックは一番いい。

 

 意識してるのはバランス感覚。うるさすぎるのは俺も嫌なんで、レッドツェッペリンとかもそうですけど、実は丁度いいのがいいんすよ、ロックは。

 

——そうなんだよね。しかも、よくまとまっているのにライヴ感ははみ出し気味に伝わってくるんだよね。

 

吉田 そこはエンジニアさんの腕の良さがかなり出ています。安宅アタカさんっていう人なんですけど、その人も俺たちが事務所に入った頃からの人で、辞めた後もすごいお世話してくれてるんです。

 

 安宅さんがマスタリングまで全部やってくれたんです。

 

貴志 すごい人だよね。ケツメイシとか有名な人もやってる。

 

——しかも今回のアルバム収録曲は、制作時期にばらつきがあるけれども、全くちぐはぐな感じがない。

 

吉田 統一感がある。

 

——だからね、趣味だとかそれが偶然だかどうかはさておき、とにかく狙ったことがすべて成功している。これはとても重要なことだと思う。2曲めの「あんたが言ったじゃん」が一番古い曲?

 

風 あー、そうかもしんない。

 

吉田 イッキーサンプスを始めた時、一番最初に風が俺に送ってきた曲だった気がするなあ。

 

——一番最初に「こういうバンドがやりてえなあ!」って言って「あんたが言ったじゃん」を作った。

 

吉田 あれは今回のアルバムに入れるか迷ったんだよね。最初は入れない予定だったよね。

 

貴志 それか「ロック」だった。

 

吉田 風がアメリカに行ってた時期があったんですけど、そこでアメリカ人のメンバーと「あんたが言ったじゃん」をセッションした音源があって、テイクは原曲と全然違うことをやっていただけど、それを試しに聴いたら「これカッケー!逆に真似しよう!」ってなって!

 

一同笑

 

吉田 それで結局アメリカ人のリズムとか全部真似してやったんだよ。

 

 その時は録音が全部オープンリールとかのアナログマシーンだったんですよ。音がむちゃくちゃ太くていいんすよ!

 

吉田 だから、決め手は風と一緒にやったアメリカ人だね。

 

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——アルバムタイトルもシンプルでいてインパクトがあるね。

 

風 「穴」!ジャケットのアートワークはオヤジがつくってくれたんですよ。

 

——キューブリック。

 

風 「キューブリック」っすか?

 

——その話は、前にしたんだよ?この間キミ(風)が酔っぱらっている時。そしたら「そうなんすよ!俺、キューブリックが好きなんすよ!」って。…あれ?

 

吉田 今リアクションが全然違いましたねー(笑)。

 

風 はははは!ちょー言いそう(笑)!完全に何も考えてなかったね。

 

一同笑

 

——それにしても、未来を感じる穴だよね。

 

吉田 あのジャケはいろんな受け取り方ができるジャケだなあって思います。最初、ジャケイメージが「穴」って風のおとうさんにイメージを伝えたら、ソッコーでつくってくれたんです。

 

風 そう、だからオヤジに作ってもらいたくて。

 

貴志 風のお父さんは彫刻家でお母さんは陶芸家、おじいちゃんは画家。

 

——息子はバンドマン。

 

風 そこは流れ的に「音楽家」って言って欲しいっすね!バンドマン?チャラい!音楽家で居たい。

 

吉田 バンドマン=フリーター(笑)。

 

一同笑

 

吉田 あのジャケはめっちゃいいですよね。未来を感じる。

 

風 ちょっとプログレっぽいと思いますよ。

 

吉田 そうだね。ちょっとピンクフロイドっぽいよね。

 

——あれは石の彫刻?

 

吉田 そうですね。石を彫って穴を作った。

 

——実際にあの場所で?

 

風 それは違いますね。穴はアトリエで作った。

 

貴志 意外とちっちゃい。

 

吉田 穴の実物、見た?どれくらいなの?

 

風 うん。これくらい(電子レンジサイズ)。

 

吉田 え?そんなもんなの?じゃあライヴの時、アンプの上に置こうよ!

 

 いや、物販で30万で売っていい(笑)?

 

貴志 いや、50(万)で売ろうよ。

 

風 オヤジが30万でいいって言ってた。

 

吉田 ここはオヤジの言い値でいこう。

 

貴志 じゃあ、60万で売って30万もらおうよ(笑)。その30万で次のアルバム創ろう。

 

風 そうだね。

 

——この彫刻の実物は大きいのかと思っていましたよ。猿がよじ登るくらいの大きさ。

 

吉田 ですよね!おとうさんに創ってもらうってなった時、(お父さんから)イメージが言葉で全然上がってこなかかったから、正直「創ってもらって微妙だったらやだなあ〜」って思っていたんですけど、出来上がりを見てコンマ0.2秒くらいで「あ、これだ!」って思えたよね。

 

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風 サイゼリヤで「穴」のイメージについてこの3人でめっちゃ話したんですよ。だいたい「穴」っていうと落とし穴みたいな暗いイメージになる。でも俺たちはその「穴」は嫌だ。もっとポジティヴな意味で考えさせれらる「穴」がいい。「穴を開ける」とか。それで俺が正月に実家に帰った時に、オヤジに言ったんですよ。そしたらオヤジが「そうか〜あ、穴か…じゃあ、中からドライアイスとか出てくるのとかどうだ?」「オヤジ、それはダメだ。」っていう感じ(笑)。

 

吉田 アイディアが風に似てるな。

 

貴志 違うよ、風が似たんだよ。

 

風 それで「そっか〜どうすっかな…」って考えて1日か2日後にあの写真(ジャケ写)が送られてきたんですよ。1日か2日で彫って撮った。「ええー?こんなにすぐできちゃったの?」ってオヤジに言ったら「何言ってんだ、すげー集中して作ったんだよ」って(笑)。

 

一同笑

 

貴志 いいおとうさんだわ!

 

吉田 嬉しいに決まってるよ!だって息子が世の中に出すCDのジャケをおとうさんが!穴から光が出てるのがいいんだよね、眩しいのが。

 

貴志 子供のエピソード聞きたい。

 

 ああ、なんかね、オヤジがこの穴の写真を一生懸命撮っていたんだって。そしたら石が珍しいからって子供がめっちゃ来て「ねえねえ、この石どこで拾ったの?」って訊いてきた!

 

一同笑

 

 で、オヤジが「バカ、こんなの落ちてるわけねえだろ!どけ!どけ!」って言いながら、撮ってた(笑)。ただ、どこで撮ったかはミステリアスにしておきたいっす。

 

貴志 歌詞カードの中も、穴関連の楽しみがいっぱい入ってる。

 

 穴をいろんな角度から撮ってね。

 

貴志 穴関連フォトで構成されていて飽きない仕組み!

 

吉田 最初はサイゼリヤでレコーディングもなにもしていない状態でタイトルの話をしていた時は色々出てきたよね。『ファイヤー』とかさ。

 

 ふははは!ファイヤー!結構いいねえ(笑)!

 

貴志 『ほくろ』と『ファイヤー』と…

 

風 『ほくろ』のジャケをこれ(吉田の右手のほくろ)にしようぜって話してたじゃん(笑)。

 

吉田 あった、あった!

 

一同笑

 

貴志 その時は3文字縛りだったんだよ。ひらがなで三文字、みたいな感じで。

 

風 そんな説があったっけ?

 

吉田 でも今回のジャケもタイトルも完璧だと思ってる。デビューに相応しい。

撮影協力 / WIERD KITCHIN 湘南T-SITE店

 

 

 

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【リリース情報】

アルバム:

アーティスト:Walkings

リリース日:2016.04.06

価格:¥2,300 (+tax)

 

 

walkingsアー写

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Twitter

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