2016
05.15
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18禁人気連載シリーズ!飯田華子の妄想一人インタビュー/第2回

ARTIST, BLOG

飯田華子(以下「みつこ」):あ、猫だ。(開け放した店の扉から野良猫が入ってくる)

 

店のおばちゃん:あら、来ちゃったの、ダメよ〜(手を叩いて追い払う)

 

みつこ:残念。猫ちゃんと飲めるかと思ったのに。

 

飯田華子(以下「まりお」:猫好きですね。

 

みつこ:うちにも一匹いますしね。まぁ、飼うのはちょっと重荷なところもあるんですけど。

 

まりお:里親募集で貰ってきたやつですよね。

 

みつこ:私なんかのとこに来てこいつは幸せだったのかなぁと時々思っちゃいます。うちはペット可のアパートですが外には出せないし。狭い空間で、私の愛玩のためにだけ存在させていることに罪の意識を感じます。

 

まりお:罪深いんですね。

 

みつこ:はい。猫ですらこうなので、子どもなんてとても生めないと思います。私を頼り、私が責任を持たなければならない命があることが恐ろしいです。私のような自分勝手な人間は子どもを生んではいけないと思います。

 

まりお:そんなに思い詰めなくても…

 

みつこ:いや、これは自虐に見せかけた問いかけなんですよ。そういうお年頃なので、同年代の女性と飲んでると「子ども欲しいー!」って話題になるじゃないですか。でも、新たな人間をこの世に誕生させるってけっこう怖いことだと思うんです。私も、子どもを生んでみたいなーとちょっとは思ったことはありますが、自分が親になる恐ろしさと子ども欲しさを天秤にかけたら圧倒的に恐ろしさが増すんですよ。だから、みんなはどうして恐ろしさより子ども欲しさが勝るのかじっくり聞きたいんです。

 

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まりお:でも、そういった飲み会で、特に女性相手だと、そんな質問したら「攻撃してる」って思われますよね。

 

みつこ:はい。聞き方にもよるんでしょうけど、基本的には同意と共感しか許されないムードがあるじゃないですか。だから自虐って形で意見を引き出そうとするんですけど、なんか慰められたりして終わっちゃいますね。

 

まりお:で、「君たちあんまし考えてないんじゃないの?」って一人で結論出してね。

 

みつこ:でもそうやって勝手に人をみくびるのはいかがなものかと思うんです。

 

まりお:子ども云々はすごくデリケートな話でもありますしね。そうそう踏み込めない領域ですよね。

 

みつこ:そうなんです。ただ、「子ども欲しい」と言ってくれたからには「なんで?」って聞いみてもいいんじゃないのかな、とか思ったり。

 

まりお:とはいえ、仮にちゃんと考えてなかったとしてもいいじゃないですか。少子化なんだし、生んでくれる人がいないと。

 

みつこ:うーん、「男の子だったらサッカーさせたい」とか「女の子だったらこういう服着せたい」とかって、あんまり考えなしに言ってるとしたら怖いですねぇ。

 

まりお:「こんな子になって欲しい」って夢を持つのはだめなんですか?

 

みつこ:だって、そしたら子どもが期待通りに育たなかった場合、がっかりしたり怒ったりするでしょう?

 

まりお:そんなもんじゃないんですか、どこの親も。ちょっとずつがっかりしながら、「まぁこれはこれでよし」って現実を愛していくんじゃないですか。

 

みつこ:けど、子どもは親の気持ちを敏感に察するから、「自分は失敗作なんだ」って心を病む可能性もありますよ。

 

まりお:確かに過剰な期待を抱かれてたらそうなるかもしれませんね。でも、極端な例ですよ。

 

みつこ:あと、やりたいことができたときに子どもが足枷になる場合もありますよね。絶対に後悔しない!と言い切る自信が私にはありません。

 

まりお:とすると、あなたにとって「親」ってものは「いつも子どもを第一に思い、無条件に愛する存在」なんですね。「親」像を神格化しすぎてるような。

 

みつこ:私が親離れできてないからなんでしょうね。…萩尾望都の『メッシュ』って漫画があるじゃないですか。主人公は男子で、でも母親は女の子が欲しかったから受け入れてくれなくて。母親に向けてのモノローグに、「あなたがそうと望むなら 花にも 鳥にも 娘にも この姿を変えたのに」っていうくだりがありますよね。子どもはいつだって親の気に入る形になろうとするんですよ。でもなれないんです。私もまた、いまだにその葛藤の中にいるのかもしれません。

 

まりお:親の望むような人間になりたいんですか?三十も過ぎて。

 

みつこ:恥ずかしながらそうなんですよ。親もいいかげん諦めてるでしょうけど。でも、親の期待を裏切りつづけてるのが心苦しいんです。

 

まりお:親はあなたに何を期待しているんですか?

 

みつこ:うーん、何かしらの能力があって、それが世間にも認められてて、経済的にも心配なくて、あとモラルを踏み外さないことと、できれば孫を生むことでしょうか。

 

まりお:それは本当に親の望みなんですか?

 

みつこ:…はっ!そうか、私が勝手に思い込んでいるだけなのかも。だってそういうふうに言われたわけじゃないし。

 

まりお:まぁ、そんなこと正直に言うタイプの親じゃないですけどね。

 

みつこ:気を遣ってますよね。

 

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まりお:親の望みは置いておいて、あなた自身の望みはなんですか?

 

みつこ:…。困った。なんだろう?

 

まりお:先ほど「親の望み」として言ったことはそのままあなたの望みなんじゃないですか?

 

みつこ:いやぁ…。モラルを踏み外さないことと孫を生むことは違うような。

 

まりお:もうけっこう世間的にアウトめだし、孫も無理そうですもんね。

 

みつこ:「モラルを踏み外してる」っていうとアウトローっぽくて格好いいですけど、私はそういうんじゃないです、もっとしょぼい存在ですが…。でも、そうか、だから、世間的認知と経済的安定を得られれば、今がしょぼい存在でも、最終的に孫が生めなくても、親を喜ばせられるって思ってるのかも。

 

まりお:「親を喜ばせたい」って気持ちがどうしてもあるんですね。

 

みつこ:そんなつもりではなかったのですが、最近自覚しましたね。今、歌手の北村早樹子さんと「母親教室」ってイベントをやってるんです。北村さんも私と同い年で、やっぱり「子ども欲しいー!」って話題になるとどうも違和感があるそうで、じゃあ二人で母親について考えていきましょうってなって。去年の6月から始まったんですが、このイベントをキッカケに親について特に考えるようになりました。

 

まりお:そういえば去年は北村さん主演で「二十四の瞳ちゃん」というミュージカルもやりましたね。あれも母娘の確執の物語でした。

 

みつこ:はい。脚本と演出と美術をやって、男役として出演もしました。ずっと脚本を書けないでいたんですが、北村さんと「母親教室」で色々語ったことで、北村さん自身についても彼女の歌についてもどんどん解釈が深まっていって、…というより、私が抱えているものを、北村さんというキラキラした器に託しただけなのかもしれませんが、その託し方が分かって、やっと書けました。だから北村さんありきのミュージカルだったんです。

 

まりお:他の出演者にも大変助けられましたね。

 

みつこ:はい、ドルショック竹下さんと山田参助さんは、お二人とも漫画家ですが、ものすごく歌がうまくて華もあって。稽古中も、色々と面白い演出アイデアを出してくれましたよね。なので、私だけじゃなくて皆さんのお名前も「演出」としてパンフに載せたかったくらいです。

 

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まりお:千絵ノムラさんにもスタッフ手配や予算組みからぜーんぶ頼り切ってましたね。役者としてもさすがで、アドバイスも的確で。

 

みつこ:千絵ノムラさんとは10年来の付き合いですが、改めて尊敬しました。

 

まりお:はっとりあつしさんも細々したことを支えてくれる縁の下の力持ちだったし、音楽担当のニュートレドのメンバーにも本当にお世話になりました。

 

みつこ:いい大人の、それも、ご自分のフィールドでそれぞれご活躍されている方々が力を貸してくださって、本当に贅沢でした。「くださって」って、このミュージカルの発案者は私ではなく、ニュートレドのリーダー・竹田さんなんですけども。なんか、青春みたいでしたね。…もうこの話はやめましょう。

 

まりお:え、やめるんですか。

 

みつこ:「誰々にお世話になった」とか「みんなで協力し合って頑張った」って話は、知らない人からしたら退屈です。

 

まりお:でも実際色んな人にお世話になったし、とても楽しかったですけどね。

 

みつこ:ですから、ご興味ある方はどうぞ再演の機会をくだされば…。

 

まりお:なるほど、そうきますか。いやらしいですね。しかしよろしくお願いします。

 

〜つづく〜

 

Photo / Mami Otsuki

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