2016
05.31
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クセがスゴい!何かと”リップシンク”が過ぎるPV集

BLOG, VIDEO

動画投稿界隈でよく聞かれるジャンルに「リップシンク」がある。有名曲に合わせて口パクで歌うというもので、動画投稿サイトには、一般人や有名人が投稿したさまざまなリップシンク動画がある。

またアメリカでは「リップシンク・バトル」という、口パク選手権みたいなテレビ番組が人気を集めており、今年4月からは日本のMTVでも放映されている。

公式ミュージックビデオでも、これと同じようなものがたまに制作されている。つまりヴォーカル本人の代わりに別人が歌っているものだが、今回は特に、海外の有名俳優が口パクをしているPVを取り上げてみる。

 

Carly Rae Jepsen – I Really Like You

 

近年でスターが口パク出演しているPVといえば、まずはトム・ハンクスが出演したこれ。曲は大ヒットし、ビデオも大いに話題になった。乙女心が込められたキュートな恋愛告白ソングを歌うおっさん。けっこう衝撃である。

前半の起床シーンはさすが名優、なかなかチャーミングで、できればそのまま乙女キャラで突っ走ってほしかったが…。その後は少々化粧のノリが悪いというか、ちょっとやつれているように見えるのが気になってしまう。

ちなみに後半、歌手ジャスティン・ビーバーもほとんどエキストラ扱いで出演している。ふだんはお騒がせセレブとしてゴシップ誌を賑わせている彼も、大スターの前では場を弁えているようでなによりだ。

Paul Simon – You Can Call Me Al

 

PVでヴォーカル以外が口パクで歌うのは、最近始まったことではない。ポール・サイモンの1986年発表のこの曲では、コメディ俳優のチェヴィ・チェイスが「代わり」をつとめている。この紹介文の参考にとウィキペディアを眺めていたら、チェイスはスティーリー・ダン結成前のドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーとバンドを組んでいたのだという。なんと元ミュージシャンだったのだ。

しかしチェイスとサイモンのデコボコぶりときたら、合成を間違えてるのではないかと思うくらいだ。チェイスは身長192cmとのこと。そういえばサイモンの元相棒、アート・ガーファンクルもけっこうでかかった。

 

Snow Patrol – Called Out In The Dark

本物のヴォーカルの代わりに(なりすまして?)歌っているのは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズで知られるジャック・ダヴェンポート。基本的に身体を傾けて立ってるだけなのだが、それでサマになっているところがさすが。PVの雰囲気にも合っており、もうこのバンドのヴォーカルはこの人でいいのではないかと思わせるものがある。

 

Kanye West – Can’t Tell Me Nothing

 

見れば見るほどじわじわとくるPVである。農場でカメラに向かってただ歩いているだけ、ただトラクターに乗っているだけ、ただラップしているだけで、これほどまでに強烈な印象を残すとは。そして少女たちのダンスシーンは、叙情性すら感じられる。オールタイムベストに入れたい作品のひとつだ。

大柄なほうの男性は、アカデミー賞を受賞した「バードマン」にも出演しているコメディ俳優のザック・ガリフィアナキス。フィオナ・アップルの「Not About Love」のPVでも口パクで歌っている。

もうひとりは、オルタナ・フォーク歌手のボニー・“プリンス”・ビリー。映像での鋭角的な変人っぽい雰囲気からは想像できない、心に沁みる優しい曲を書く人である。こんなところでなにしてんだ?という感じだ。

 

 

Jon Spencer Blues Explosion – Talk About the Blues

 

ジョンスペといえば、むさくるしく男臭いモダン・ブルーズ・ロックの代表格。だがここでヴォーカルを演じているのは、華奢で可憐なイメージのある女優のウィノナ・ライダー。これがものすごくかっこいい。最高に決まっている。ロックに男も女も関係ないですね。男臭いとか言ってすみません。もうこのバンドのヴォーカルは彼女でいいのではないか。

ギター役は「アバター」や「テッド」などの個性派ジョヴァンニ・リビシ。ドラム役の俳優ジョン・C・ライリーは、ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトのレーベルからシングルをリリースしたこともある。

 

こうして見ていると、さすがは本職の俳優、存在感が抜群である。パフォーマンスも素晴らしい。ミュージシャンは作曲や演奏に専念して、PVは俳優で…というのも、アリなのかもしれない。

そういえば日本でもGRAPEVINEの「アダバナ」では、俳優の荒川良良がヴォーカル、バナナマンの日村と設楽がそれぞれギターとドラム役をやっていて、ワイルドでロックなプレイを見せてくれていた。こちらも必見である。

 

 

番外編(歌わないでみた)

 

Pixies – Here Comes Your Man

 

当然のことなのだが、PVで歌う場面は実際は口パクで撮影しており、声を出して歌っていてもそのときの歌声が録音されるわけではない。それを逆手にとったような内容がこれ。ヴォーカルのブラック・フランシスはただ口を開けているだけで動かさず、「ほんとは歌ってないよ」をアピール。コーラスのキム・ディールも同様だ。

花弁が散りばめられたセットは所属レーベルの4AD的な耽美を連想させるがそっち方面には行かず、独特のユーモアを感じる奇妙な映像になっている。