2016
06.04
111

【INTERVIEW】9年ぶり!underslowjams繋いだ手から広がったアルバム『PHONETIC CODE』

INTERVIEW, RELEASE, VIDEO

この作品で諭されることが苦くて甘い。見につけたものや置いてきたものに自覚を持つことそれが大人になる覚悟ではなかろうか自分自身のロクでもない人生に曲を投影させながら、夜風を肴に味わいたいクラブミュージック集これは、紆余曲折すぎて再始動したunderslowjamsの約9年ぶりのオリジナルアルバム『PHONETIC CODE』のこと。本作の聴きどころは、以前より高温や派手さを抑えた大人のクリエイションを示しただけではない。

こうでありたい目的地へ進もうとする一方でこうであったらという思いが逆に自分自身を苦しめていたあの頃から、そのままの自分を味わうことから始めた現在のunderslowjamsは、彼らが自覚するよりもずっと深くて強い。今回それらの総てが濃い血の巡った音流として、直に放たれたのである。あなたにも感じるだろうか

メンバー/ rag(ラップ) yoshiro(ヴォーカル) take-c(TRACK MAKE & DRUMS) SUI (プロデューシングエンジニア)


——おめでとうございます!

yoshiro ありがとうございます!長かったですね。

——そうですよね。実は私自身も「ZIONの森」を愛聴していた一人なのです。

yoshiro そうなんですか!?嬉しいですね。

——ファンからしたらもう、それは、待ち望んでいたことではないでしょうか。今日はそんなファンの皆さんに向けてもお届けしたい。

yoshiro 単純に、居なくなってた印象ですよね(笑)。

take-c うん(笑)。

——今日はまずファンを代表して「おせーよぉ!今まで何してたんだよ~!」的な声にお応えいただきたいと思いまして(笑)。

take-c 2008年くらいでunderslowjamsとしての活動を一旦中止しようっていうことになってからは本当に何もしていなかったんですけど、yoshiroとオレでアコースティックライヴを演ったり

yoshiro ragちゃんはtakeちゃんと演ったり。

take-c underslowjamsとはまた違うベクトルを向いてそれぞれ音楽の活動をしていたんです。

yoshiro あとは、ライヴとかにはたまに呼ばれてunderslowjamsで出てた感じだよね。

take-c うん。2010に「IN THE RAIN」っていう曲をマンハッタンさんから出させていただいてそれからだいぶ経つよね。6年くらい(笑)。

yoshiro でも「IN THE RAIN」が出来てからは、普通に活動しているつもりではいたんですけどね。作品(アルバム)は出さずにライヴばっかりやっていたら5~6年経っちゃった。何をしていたんだろうね。

——アルバムを出そうという予定はあったんですか?

yoshiro 出したいな、とは思っていました。でも、毎日が過ぎ去っていったね。

take-c うん。そうだね。2013の末くらいに僕とSUI君でトラックを作ったんですけど、そのうちの1曲がunderslowjamsに合いそうだった。

yoshiro それが今回の2曲の「夜の色」になるデモトラックだったんですけど、それを俺とragちゃんが聴いて「カッケーな!」って興奮したのがキッカケ。それからアルバムに向けて本格的なエンジンがかかった感じだよね。

take-c そうだね。

——SUIさんが本格的に加わったのがその頃ですね。SUIさん加入によってunderslowjamsにもたらした変化は?

3人 いやあ、もう!

take-c 全てと言っても過言じゃない。

yoshiro かなりありますね。まず、underslowjamstake-cがすごくちゃんとしてて

take-c いや、そんなことはないんですけど(笑)。

yoshiro いや、トラックもいっぱいあげてくれるんです。その真面目サイドと、僕とragちゃんの感覚で動くサイドで構成されてる若干歪なところに、SUIくんが真面目サイドに入って2:2ですごく良いバランスになった。ガタガタだった車に車輪がついた感じです。もちろん、サウンド面とか専門的なことろでもすごく力になってくれているけれどね。

take-c プロデューサーと言う立場として、楽曲やヴォーカルのディレクション面で僕ができなかったこととかをやってくれたし。

yoshiro あと、トラックがある程度できてきたあたりで、僕とragちゃんがすぐわがままを言うんですけど、結構大幅な変更とかもtakeちゃんとSUIくんの二人にかかるとすぐに出来るんです。実際は大変だったと思うけど、それがすごかったよね。そういうトラックが結構いっぱいあって、でもその過程がなかったらこの作品はできていなかったよね。

SUI ほぼ、でしょ。

yoshiro そうだね。

SUI 最初に書き出したトラックと最終的なトラックはほとんど別物なんですよ。

——今回の作品には既にシングルで発表されているものも何曲か含まれていますけれど、それもまた表情を変えて収録されていますよね。

yoshiro そうですね。下手したら一曲だけで一枚アルバムができるんじゃないか?って言うくらいはあるからね。

SUI 「第二快感」なんか10バージョンある。

——それだけあれば、ライヴひとつでも「今日は何バージョンだった」なんていう楽しみ方もできますね。バージョンに呼び方はあるんですか?

take-c 俺達の間だけで、だいたい略して呼んだりしてるよね。

——それはファンの間でも是非共有したい。SUIさんはunderslowjamsに出会った時のことをどんな風に覚えていますか?

SUI 加わる前にtake-cとは2年くらい一緒にトラックを作っていたんです。だから、その流れっていうこともあるね。

take-c IN THE RAIN」と「いかれたBABY」と「City Lights」を出した時のエンジニアがSUI君だったんです。

——私がまず注目したのはイントロの部分です。これはもう、underslowjamsの原点を彷彿せずには入られない。

rag あれはファースト『Hot Jams』の一曲目をサンプリングしてるんです。

yoshiro 知っている人には嬉しい。

——そうですね。「This is underslowjams」は曲のタイトルにもなっていますしね。このアイディアはどのように?

rag 実は、あれは結構後付けだよね。最後に「イントロどうしよっか?」みたいになって、SUIくんとtake-cでサクサク動いてくれた。

take-c Hot Jams』のイントロを使うのはSUIくんのアイディア。

——それは本当にアツい!

yoshiro あれは本当に良かったよね。

——今作に関しては素晴らしいインタビューが他にも上がっていて、これは合わせてオススメしたいのですが、それによると「いかれたBABY」は前のバージョンを採用しているとか。

yoshiro そうなんですよ。歌を録り直したんですけど、60点くらいだった(笑)。

一同笑

——この際伺いしたいのですが、「いかれたBABY」はフィッシュマンズの名曲として本当にいろんな方がカバーされていますよね。この曲をあえて選んだのは?

yoshiro マンハッタンさんとunderslowjamsを繋げてくれた笹村さんという人が「IN THE RAIN」を出す時に提案してくれたんですよ。そしたら結構ハマった。

SUI 僕はマンハッタンレコードに居たんですけど、笹村っていうのは元々その頃の同期なんですよ。彼は僕とunderslowjamsも引き合わせてくれたんです。彼はずっとunderslowjamsが好きで、いろんなところに紹介して回っていたんです。

yoshiro 天才プロデューサーだな!

SUI だね!

——今ここでお話を伺っている場所自体が、underslowjamsにとっては縁の深い場所なんですね。

yoshiro そうですね。最初の「IN THE RAIN」を出すことになったのも偶然ここで出会って決まったし。

rag そうそう!take-cと居たよね。

その日はマンハッタンレコードの近くでドラムンベースのパーティをやってたんすよ。コンビニに何か買いに行こうとしてちょっと表に出た時、ちょうどマンハッタンレコードの下で笹村さんに話しかけられた。

underslowjamsだよね?」「そうです。」「やりたいんですけど。」っていう話を面識もないのにいきなりしてくれたんだよね。そこからちゃんと説明してくれて、「再始動しないの?」っていう話をされたんだけど、その時はいろんな事情があったから「今のところはない」って返した。でも、そこからちょっと経って「IN THE RAIN」を録ることになった。

take-c その時に動けたのが俺ら3人で、エンジニアにSUI君。

——なるほど!笹村さんはかなりのキーパーソン。

take-c 今考えるとそうですね。もっと遡ると、ファーストアルバム『Hot Jams』の流通をやってくれたのがレキシントンさん。だから、何気に縁が繋がってがある。

——本当にそうですね。ところで、皆さんは音楽以外にも色々とされてきたと伺いましたが、4曲めのインタールードではスケボーの音が採用されていますね。2回めのインタールード「ヒトマズマカセナ」は、ちょっとどうしてもわからなかったのですがすみません!

一同爆笑

rag そのリアクション、欲しかったです!

——作品の中には一貫として皆さんの培ってきたものが丁寧に詰まっているじゃないですか。でも、ここだけは何回聴いてもよくわからないまま過ぎていくんです。

take-c 僕らって計算して作るタイプじゃないんですよ。そこでSUIくんがいることで噛み合う。僕は結構「降りてこないとできない」っていうタイプで。

yoshiro 曲のつながりもSUI君が指摘してくれたりね。

SUI 「ヒトマズマカセナ」っていうインタールードについては、ragちゃんが役者みたいなこともやっていたこともあって、もともとは寸劇を入れる予定だったんですよ。そこで彼らの日常的な会話を入れようとしたけども、実際はうまく録れなかったんだよね。

rag 謎のまま入れたら「謎の感じもいっかな!」みたいな(笑)。インタールードを入れるとアルバム全体が締まるから、そういう効果自体を狙ってるよね。

SUI あれは本当に意味不明なことが役割。

rag 俺たちの頭の中(笑)。意味わかんない感じ!

一同笑

——さらにその後は「タイムカード」というかなり現実的な曲につながるんです。それでタイトルを確認すると「ヒトマズマカセナ」っていう、たいそうなことが書いてある。「何が?」となるわけです。

SUI そう考えて欲しかったんですよ。要するに曲のメッセージ性が強いから、あまりそういうものを並べすぎると重すぎちゃう。だから「なんだこれ?」みたいなものをあえて入れたかったんです。だからそれは正解です。

——そうだったんですね!これは面白い。一方でスケボーの方は非常にしっくりきましたね。

 

rag underslowjamsでずっと一緒にやっていた、もう一人のラッパー、池ノ上ケイタがプロスケーターで、ケイタが滑っている音です。ケイタが千葉でやってるスケボーショップの名前「TIZZ」っていうのをそのまま曲のタイトルにした。あのインタールードは良いですよね!

take-c あれは最高だよね!ケイタくんが滑ってるところが見たい!ってなる。

rag うん。俺らはケイタを知ってるから、ケイタが滑ってるところしか思い浮かばない。

——音の入具合も紳士なんですよね。近すぎず、遠すぎず。重心が軽くさりげなく左右に流れる。

SUI メンバーが結構「今日は滑りに行く」とか言ってたからね。そういうのも“underslowjams”として入れたらいいんじゃないかと思ってね。あとは僕自身97年のFESN“東西南北っていうスケボーのビデオに影響を受けてトラックを作り始めたとか、映像に音を付けたいと思ってたところがあって、スケボーの音とビートってなるとちょっとこだわりがあるっていう(笑)

rag takeちゃんとかもスケボー行くよね。あとは俺か。ちゃんとしたスケボーパークが最近は多くできてるから、最近はパークで滑る事が多いですね。

——曲のラインナップについてですが、今回は「酩酊」がリード曲としてまず挙げられています。この曲は今作のジャケット・アートワークも手がけるFRANKさんと組んだMVが話題になって、バンド自体のイメージもだいぶ変わりましたね。

yoshiro ragちゃんがFRANKの一員なんで、いろいろやってくれた感じ。

rag CD出すって言ったら、職場のみんなが手伝ってくれたんです。主にアムステルダムのスティック・ストックっていうオランダ人が絵を描いているんですけど、このイメージがハマりましたね。

rag アルバムもジャケットと中身が噛み合ってる感があって、リリースしてから周りが「良い」って言ってくれるのはその部分もあるのかなって思います。音楽を作って、アートワークも自分たちで作って、それが形になっていくのは嬉しいですよね。

——私の中ではすでにunderslowjams自体がFRANKチームのアートで統一されているイメージですが、これは狙って?

rag これも流れですけどね。CDを出す事になった時、自分がお願いしたというよりは、周りの先輩達とかがすすんでいろいろ動いてくれた。

SUI プラス、日々遊んだりしてる人たちが、歳もとって結構いろんなことができるようになって、いざ頼んでみたらクオリティの高い物ができた。仲間でやった感じだよね。

rag 結構俺たちも勉強させてもらった部分が多いですね。やりたいことを反映させてもらうためにたくさん話しもできた。今までは業者さんに頼んだりしてて、踏み込んだやりとりができなかったですからね。今回からはDIYの楽しさもわかってきた。あとはSUIくんのアレですかね!

SUI アレって何だよ!今日はヨイショ感ハンパないな(笑)。

——なんて言ったって、SUIさんはこの作品の他にも、近日リリースされるYEN TOWN BANDの新譜MURO’S LOVERS MIXエンジニアとして参加されていますしね!これは余談ですが、アガリポイントでしょう。

yoshiro YEN TOWN BANDは世代だしね。

take-c 時期的には10曲めの「タイムカード」をやってる時ですかね?

SUI そうだね。take-cにギターを弾いてもらってね。

——electric foundation」の中の歌詞で「甲州街道を抜けて少し行けば、見えるはずさ 夢とその情熱が 時が経ったって何も変わらないよ」というフレーズがとても印象的です。皆さん自身は変わりましたか?

yoshiro いや、俺はビックリするほど変わってない。周りはみんな大人になっているし、環境はいろいろと変わっていますけど、自分の中では何にも変わってなさすぎてやばいかな(笑)。音楽的にはこれでいいんですけど、自分的にはね。

SUI 変わりたいの?

yoshiro もう無理じゃないすか?

SUI それは諦めてるの?

yoshiro 諦めてるっていうかもう変わらない。でも変わらなかった部分を大事にして、それを音楽で出していけたらいいかな、と思いますね。

——そうですね。歌(「IN THE RAIN」)にもありますしね。

take-c そうだよ、それをしなかったらヤバい(笑)!

yoshiro ヤバい、ヤバい!

take-c 僕は、あんまりガツガツしなくなったかな。冷静さが加わった感じ。気持ちがフラットというか。でも変わらないのはyoshiroと一緒。僕は音楽を聴くよりもプレーする方が好きなんですけど、そこは全然変わらない。歳をとると尚更楽器を辞めて行く人が多いんですけど、僕は変わらず続けてるかな。

rag 建物もそうだし、とにかく景色がめまぐるしく変わりまくってますね。事件も一つ起きたら次の事件が来る。でも俺自身は変わってない。それが良いのか悪いのかはわからないんですけどね。あと、自分は物事が続かない奴だと思ってたんですけど、ふと考えると「あれ?バンドはずっとやってんなあそこは続いてんじゃん!」そう思うとやっぱり何にも変わってないな、と思う。underslowjamsも、もう10年経つ。

yoshiro そうだね。

take-c 11年半ですね。

——憧れのMILK(恵比寿に在ったクラブの名称)からですかね。

rag お世話になりましたね。俺らも憧れでしたよ、本当に!良い箱でしたよね。

yoshiro 先週、代官山を通って恵比寿に行こうとした時に、あの裏の公園とか通ったんだけど、懐かしかった!

rag ヤバいね!だって、たまにMILKがあった方とか見て遠い目をしてるヤツとかいるもん。

SUI わかる!

一同笑

yoshiro 懐かしいなあ、あの公園!

——あの公園によくいました?

rag 居ましたねー!

take-c MILKに入って、公園行って、リハやって、公園行って、ライヴやって

rag で、別の日も公園行って!

——これからunderslowjamsというバンドはどこへ向かうのでしょうね。ちなみにもう次作の構想はありますか?

yoshiro アルバムを作ると考えると果てしなすぎるので、EPとかをなるはやで出したいとは思っています。トラックもいっぱい出来てきてるし、書き出してる最中ですね。

SUI なるはやって言うけどさあ、それって宇宙時間じゃない?地球の時間じゃないよね(笑)?

yoshiro まあ、そうだけど(笑)。9年は開かないと思います!

——年内ですかね?

yoshiro そうすね、いや、年内はわからないいや、わからないですよ?年内かも(笑)!?

一同笑

yoshiro でも、これを出したことによって「次も出そう」っていう気持ちが高まっています。

rag 高まってるよね、確かに!

——今作は名門マンハッタンからのリリースですが、特にポップやロックを好むリスナーにも広く受け入れられるような、ストレートで粋なアルバムになったと思うんです。メロディもキャッチーさのバランスがとても心地よくて、表面的にはクラブミュージックとしての顔をしているけれども、その人の日常を共にするポップでもある。これはリスナーかunderslowjamsのどちらが歩み寄っているのか

SUI 僕から見たunderslowjams「ビジネスに乗らない、リスナーの事もあまり考えられない(笑)けれど、そのぶん自分たちの音楽で返してくる人たち」と言うようなイメージ。そこで音的に聴きやすいとか、間口を広くとるっていうのは、僕の仕事だと思っているんです。だから、やればやるほど広がるようにしたいな、と思っています。

ちょっと今では時代錯誤な存在かもしれないけど、本当に音楽が好きな人たちにはきっと響く。そこを少しずつ広げていければ、流行り廃りじゃないところで愛してもらえるんじゃないかと思いますね。

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【リリース情報】

アルバム:PHONETIC CODE

リリース日:2016.05.18

価格:2,400+

underslowjams OFFICIAL HP

http://underslowjams.syncl.jp/?p=info&id=31611

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