2016
06.08
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【INTERVIEW】PunPunCircle「ぱっと見たときの“自分が気持ち良い感覚”をいつも求めているんだと思います。」

INTERVIEW, LIVE, NEWS, RELEASE, VIDEO

PunPunCircleは、バンドNew Houseのギターを担当していたPunPunのソロプロジェクトだ。彼を知る音楽ファンは、この時をずっと待っていたのではないだろうか。

本作『Pun!』は、作品として新しく、かつ本質的な作品ではないか。イントロからラスト「Naku Naru」までのストーリーを辿れば、“ここではない、どこか”と言うよりも“ここかもしれない、どこか”という感覚さえ与えてくれる。この、得体の知れない“上質なリズムと音のパラダイス”は、自分自身の脳内だけでごった煮された、正真正銘の「ポップ」だからこそ有り得る。

それなのに、彼は「洗濯物を済ませてから向かいますー。」などと、ふらりとやってきた。そんな彼と才能が、僕はたまらなく好きなのだ。

インタビューはPunPunCircle自身の大切な場所・三軒茶屋のカフェ「ニコラ」にて行われた。此処は彼を知るにはこの上ない場所の一つで、僕らはそのカフェの陽光が優しく差し込む窓際のソファにそっと腰掛け、いつものコーヒーを飲みながら、どうでも良いことまで話をした。時間の許す限り、ずっと…

 

Photo / 貯金

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——ソロ待望のフルアルバムが、遂にリリースされますね。

 

Pun 一人で制作、孤独すぎたので、よく一人で某ドトールに行ってたんです。町のコーヒーショップってそういう人が多いと思います(笑)

 

——確かに、家にいると何にもできない状況ってありますよね。

 

Pun そうなんですよ。だから僕はメールは絶対ドトールで返すようにしてるんですよ。…なんで机の前にいるのにメールひとつ返せないんだろう?

 

——サウンドクラウドとかね、ハマっちゃうと抜けられらないんですよね。

 

Pun そうそう!

 

——で、ドトールにいる女子に告白ができないっていう話(笑)。

 

Pun Sさんっていうんですけどね(笑)。

 

——ここで言っちゃえば?

 

Pun もう二度と行けなくなるから!ドトールに行くと、いつもメールの返信かスマホで一時間くらいYouTube見てるだけなんです。で、(彼女が)来たらチラチラ…。

 

——それを何年も?

 

Pun 「この人は高嶺の花だな…」みたいな(笑)。やめましょうね、ドトールの話はね(笑)。

 

一同笑

 

——現在はソロのみの活動で?

 

Pun 今NEW HOUSEは活動していないんです。20代前半からずっとやってきたんですけど、バンドって同じ感じではできなくなる場合があるんですよね。

 

——ソロ活動としては?

 

Pun 引き語りのライブとかでは少し活動していたんですけど、今回リリースすることになったのは、去年僕の7inchシングルリリースしてくれたde-te-ri-o-ra-tion(http://deterioration.me/)っていうレーベルの橋本竜樹さんからアルバム作ろうってずっと誘われていて、AWDR/LR2さんにも協力いただいて本腰入れてやり始めました。

 

 

 

——それは凄いことですよね。誰もが一度は橋本竜樹さんの音楽を耳にしているはず。

 

Pun 本当に橋本さんは凄いですよ!今日は橋本さんも呼びたいくらいですよ!

今作のアートワーク写真や映像に6歳のお子さんが出てくるんですけど、その子は橋本さんのお子さんなんです。以前リリースしたカセットのジャケットの子供たちもそう。

 

——お子さんと絡んだ時は楽しめましたか?

 

Pun 楽しかったですよ!なんかね、僕の昔の写真を橋本さんに見せたら、「Punがうちの息子に似てる!」っていう話をされたんです。そしたら昔の自分をその子に投影し始めちゃって、余計に可愛く思えてきちゃって!

 

 

——6歳くらいのPun少年はどんな少年でした?

 

Pun 6歳くらいはね、こんな感じで(当時の写真を見せながら)靴下が片方ズルッとなっちゃっているような子でした(笑)。未だにそんな感じですけどね。音楽でいうと、オカンがピアノの先生だったので、習わされていました。女の子の中に一人混じってピアノスクールに行かされるのが嫌でしたけど、なぜか続けていましたね。でも中学くらいで「ギター買ってくれ。」って。

 

——ギターを始めたんですね。

 

Pun 「もう女の子に混じってやるのはいい加減嫌だ!」って言ったのが中学生の頃。それまでなぜか毎日練習していましたね。自覚していませんでしたが、どこかでピアノが好きだったんでしょうかね。

 

——右手5回、左手5回、両手10回、みたいな?

 

Pun そうです。まさにそんな感じの練習ですね。

 

——そう考えると、現在進行形でずいぶん型破りな音楽をされていますよね。ルールがあって、ルールを守ってきたわけだから。

 

Pun (笑)そうなんですよ。今はルールが何もないんです。今回は、マンドリンとかシロフォンとか、いろんな楽器を入れたんですけど、全然やったことがない楽器をできるようにしようとしただけで、型が全くないんですよ。本場の人が聞いたら怒られるくらい。

 

——そう言った方向に興味がいったのはいくつくらいですか?

 

Pun そうだなあ…もう高校生くらいから好きだったのかな。もともとRadioheadとか、そういう楽器やジャンルに捉われないオルタナティブな音楽が好きだったんですよ。アニコレ(Animal Collective)とかが「民族音楽とかを自由に取り入れちゃいました」みたいなことをしているとかゴッタ煮感が当時はすごく刺激的だったんですよね。

 

——なるほど。自由な取り入れ方をする方は確かに大勢いますけども、ヴォーカル一つとってもPunさんの場合はまた個性的ですよね。素材に合わせるよりは(僕?)の音楽に感覚で合わせる。

 

Pun そうしている気がする。頭に何かがあって、それに向かっていくことをやらないですね。例えば、服を買う時に「こういう感じのがいい」ってイメージを固めるのは、自分がやるとコスプレみたいで気持ち悪くなっちゃうんですよ。別に他人のは気にならないのに。ぱっと見たときの“自分が気持ち良い感覚”をいつも求めているんだと思います。まあ、楽器の使い方がわからないっていうのもありますけどね(笑)。元々ある楽器をこねくり回しているうちに「使っちゃえー!」って感じですかね。

 

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Pun 僕は結構行き当たりばったりでやってるから、このアルバムを作っているときは「次はもう何も思い浮かばない」っていう感じになりました。今は何となく次にやりたいことが出てきたんですけどね。だから、勉強して何がやりたいのかをハッキリさせられる人の方が、長く続けるには良いかもしれないですね。僕は実際、マンドリン一つとっても音のアイディアとしてしか入れてなかったんで「じゃあ、マンドリンをまた使おうか。」ってなったら、もう少し練習しないと今回以上の事はできないなぁと。

 

——マンドリンといえば、ヴォーカルがまるでマンドリン。

 

Pun やっぱり民謡・フォークみたいな感覚が好きな気がする。

 

——高音で気張らないところにオリジナリティを感じますね。

 

Pun それもね、勉強してないからなんですよ。マンドリンもそうですけど、さっきの話のように憧れはあるもののコスプレ感が自分に合わないし、やっているうちにどうせ本来の通りにはできないんだからと、何となく自分の気持ち良い感覚に向かってると、楽しくなってくるんじゃないかな。

 

——PunPunCircleとしては、どうしてもNEW HOUSEの音やアニマルコレクティヴ等と比較されることも多いと思うんです。

 

Pun やっぱりそうなんですよね。

 

——そこからPunPunCircleさんの音楽を紹介するときに、それに加えてシティポップサウンド、やティンパン近辺の作品を例に紹介したほうがトレンドでもあるし、確かにわかりやすい。でも、お一人になった時の作品は、ある意味トレンドを無視しているというか、より個人的で庶民的な音を追求されているようにも感じます。産業に遠いメロディやビートに積極的に組み込んでいる。

 

Pun すげー聴いてくださってますね。でも、もしかしたらそうですね。NEW HOUSE時代に築いてきたものの延長のつもりですけど、そっちの方面の方が濃いかもしれないですね。

 

——もともとNEW HOUSE時代の作品も、本当に膨大な音楽サンプルから厳選することから始まって、突き詰めると何者なのか説明がつかない。

 

Pun そうなんですよね。一番困るのが、音楽をやらない人に「ジャンルは何?」って訊かれるのが一番困りますね。なんて言ったらいいんですかね。

 

——「民謡的」とか言ってもアウトでしょう。誤解しかない(笑)。

 

Pun そうなんですよ。でも「民謡っぽい」とも言われますしね。1曲めのイントロとか、割とそんな感じに作っちゃったんでね。

 

——「Intro」ならぬ「Puntro」。どうしてでしょう(笑)?

 

一同笑

 

Pun いやあ、タイトルを『Pun!』にしちゃったし、「Intro」っていうのも格好つけすぎてる感じだし。三味線みたいな音から始まるんですけど、あれも最初は結構迷いましたね。パッと聴いた時に「あ、民謡の人だ!」って思われるんじゃないかっていうくらいの感じでやっちゃったから。でも、元々ああいう感じのが僕の中にあるんです。

 

——だからでしょうか、カフェなどの近い距離でのライヴもしっくりくるんでしょうね。「誰でも参加できる」と言ったら語弊があるけれど、楽器でなくても音楽が成立するだけの説得力が楽曲そのものにある。

 

Pun YouTubeとかであがっている、どこかの国の村の祭りとか、そんな光景にすごく憧れますけどね。

 

——『Pun!』のジャケも目を引きますよね!そして、ポップなイメージも含めて音楽を忠実に表現されている感じがします。

 

Pun 草編み帽子がコテコテだから、キラキラした都会的な物を合わせたいなと思ってたら、写真を撮ってくれた三吉さんが提案してくれたんです。

 

——そして、6月26日には、ここ「ニコラ」でライヴを?

 

Pun アルバムを作っているときによくここに橋本さんと来ていて、アルバムのイベントをやりたいって言ったときに、お店の人が「まずはここでやろうよ。」って言ってくれたんです。このアルバムは、割と周りの人に助けてもらいながらできたから、そういう人たちに向けてもお披露目したい気持ちも込めて、此処でやろうと思いました。もちろんお客さんに向けてるイベントですけどね。

ゲストで出てくれるmay.eさんは、彼女の前のアルバムの時にここでイベントを開いてて、是非やってもらいたいなと思って。

 

——それは楽しみですね。いずれはバンドスタイルでもお披露目されるんですか?

 

Pun そうですね。今は調整中なんですけど、少ししたらやろうと思っています。多分5〜6人の編成で、まずはその人数でどうやって再現しようか…っていうところから始めなければならないんですけど、その作業がまだ半分しか終わっていない。あとの半分をこれから急ぎでやるところです。

 

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机の上で作る感覚とは全然違うんで、聴く印象としてはちょっと違うものになるんじゃないかなあ、と思いますね。例えば、このアルバムにはほとんどマンドリンが入っているんですけど、バンドでは使わないで、アコーディオンとかが入ったりする。

 

——宅録でも聞き応えのある音楽っていうのはよく出ていると思いますけど、音源で楽しむだけでなく、ライヴでの楽しみ方やそれを利用してまたリメイクする楽しみ方…今は本当に一曲のもつ表情をいくつも楽しめる時代だとも思うんです。

 

Pun そうですね。自分の音楽も音源とライヴでは全く違う音楽になると思うんでね。でも、それが悩みでもあるんです。とにかく一人だと自分の気持ちがいいように作っちゃうので、それをバンドメンバーに伝えていくっていう作業が去年はめちゃめちゃ苦労したんです。それが原因で、なかなかライヴに踏み切れなかったし、それに引っ張られてアルバム制作も難航したんです。

ずっと聴いていた自分のアレンジに果たして近づけるのがいいのか、別としてやるのがいいのか…っていうところに、まず答えが見えない。僕は譜面とか書くタイプでもないしね。

 

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Pun 悩みすぎて、取り敢えず逆に新曲を作ってみる試みをしたんですけど、何にも出てこない。曲を作っても「全然よくない!」って思っちゃう。

 

——アルバムが完成した後にも、産みの苦しみと闘っているんですね。ところで、作品をよく見ると、曲名も詞と同様日本語で。でもローマ字。

 

Pun 一曲だけ違いますけど、あとはそうですね。

 

——それは日本語に馴染みのない、海外のリスナーへの配慮?

 

Pun 確か「Haru Baru Kuru」が最初だったと思うんですけど、そういう言葉をまず日本語にしてみた時に、変に意味を持ってしまう、と思ったんですよね。

 

——そうですよね。更に漢字がイメージを確定させますね。

 

Pun そう。でもローマ字にすると記号になるんです。僕の歌詞は特にメッセージ性もなく、普段の何でもないことを曲にして消化してあげよう、っていう思いがあるんで、記号的なのがちょうどいいんです。

 

——あとね、最後にこれは訊いておかないと。どうしてPunPun?

 

Pun 昔、友達がmixiで俺のアカウントを勝手に「ぷんぷん丸」で登録したんですよ。それからいきなりみんなが俺を「プンプン」って呼ぶようになったんです。だから、PunPunCircleは「プンプンマル」なんですよ(笑)。

 

——NEW HOUSEのつけ方とほぼ変わらないですね(笑)。

 

Pun そう言われるとそうですね(笑)。この名前にしてから、どこからか「是非プンプンサークルさんのサークルメンバーを募ってご参加ください」っていう、謎のイベントのお誘いメールとか来ますよ(笑)。

 

 撮影協力 / ニコラ

 

【リリース情報】

アーティスト:PunPunCircle

アルバム:Pun!

リリース日:2016.6.8

価格:¥2,300+tax

 

PunPunCircle Web

http://punpuncircle.com/