2016
08.14
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【in state×スタジオアイアンベル】低予算&ハイクオリティなMVを作る方法について

INTERVIEW

事の発端は、編集部に相次いで寄せられる「MV(ミュージックビデオ)を低予算で作ってくれる業者を紹介してくれ!」という若手ミュージシャンの相談だった。しかも予算を伺っても相場が全くわからないという。

音楽家のシゴトとして新曲リリースと同時にMV公開が欠かせなくなった昨今、ただでさえ作品作りに費用も時間もかさむ上にハイクオリティの動画を作成する時間や予算、人材(あるいはその技術を習得する気力や時間、ソフトや機材)を確保することは確かに容易な事ではないだろうと思う。人気インディーのMVでも大手が関わっていることは少なくなく、その額は到底Wワークを続けるバンドマンが支払える額ではない。

そこでVEEMOBの共同企画としてTV番組や映画撮影などを手がける鈴木鉄男氏(株式会社スタジオアイアンベル代表取締役)に話を持ちかけた。

「全国の若手ミュージシャンのために、限りなく低予算でプロの機材と技術を駆使したMVのディレクション企画を一緒に考えていただけないだろうか。」と。

なんと鈴木氏は快諾。新機材の実験使用を条件に、極限価格5万円の予算で制作可能な撮影・編集プランとスケジュールを考案、in stateの新曲リリースのタイミングでなんとMV3本分のプロジェクトが組まれることとなった。

このメイキングインタビューでは、代表としてin state リーダー・タカイ氏に語っていただいたが、その前にスタジオアイアイアンベル側には多忙を極める中、その合間を縫いながらも細部まで本当にじっくりとおつきあいいただいたことにまず心から感謝申し上げておきたい。そして、この企画がMV産業においてささやかな参考資料となれば、私としても幸いである。

 

Photo / 田中 サユカ

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——MVは実際にカメラで撮る前が大事だとか。

 

タカイ 大事!初打ち合わせから考えると、だいぶ前から打ち合わせてます。

 

——カメラ担当の鈴木さんと初めて会ったのは?

 

タカイ 多分、田中さんに話をもらったのが3月末。それからメールで何回かやりとりをして、1ヶ月後くらいに鈴木さんと初打ち合わせ。

今回はMV3本分を一気に撮ることになったんですけど、撮影の前にメンバーがある程度の絵コンテを描いて鈴木さんに投げましたね。

その後、絵コンテの直しが入ったり。打ち合わせも2回。実際に撮り始めたのは、そこからまた1ヶ月後のことですね。

 

——今回3本撮った理由は、コスト面を考えてのことですか?

 

タカイ そうそう。というのもMVを撮るとなると、まず課題に上がるのがコスト面じゃないですか。

だから、今回のプロジェクトの大きなテーマの一つとして、コストを最小限に抑えることが絶対だった。

 

——そしてもう一つのテーマは、クオリティをできるだけ落とさないこと。

 

タカイ それはもちろん。結果的に3本分を1日では案の定撮れなくて、2日使って撮った。ロケは埼玉の所沢のロケ場所をカメラチームがおさえてくれて、二箇所めは都内。もう一箇所はバンドサイドの知り合いのビルの屋上を使わせてもらった。

 

——やっぱり撮影場所を確保する作業が最も苦労した点の一つですか?

 

タカイ ほんとそう。MVはモニターの音に合わせて当て振りで撮るんですけど、ソロシンガーのMVだったらスマホで音を流しながらできるねんけど。バンドだと、どれだけミュートしても、特にドラムの音が鳴ってしまう。

最初は、撮影チームがモニターの音楽をスマホで出そうとしていたんですけど、まずヴォーカルが歌った時点で、そんな程度じゃ絶対に聞こえない。

 

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タカイ だから、すぐ自分でbluetoothのスピーカーを買ってきたけど、それでも聞き取れないことがあるくらいだった。野外で鳴らすとどうしても音が散るんで、しょうがないけど。

 

——in stateはバンドの演奏力が魅力の一つですから、MVでも演奏シーンが多くなるでしょう。

 

タカイ そうそう、やっぱり演奏シーンがメインで。この前に渡したライヴDVDも自分達で全部編集したものだし、これまでのMVも自分らで撮って編集してきたから。自分たちではMV製作をどうすればいいかが、大体わかってるけど。今回は、まずカメラが全然違う。撮り手さんもプロなんで、一つのカットを見るだけでもやっぱり画が全然違う。そこがすごくびっくりした。

 

——今回はドローンも使用したんですよね。

 

タカイ ドローンでも撮った!演奏中にドローンがウィーン…って蚊が飛んでるような音で近づいてくるから「虫が?虫が?」ってなったなあ(笑)。でも凄かったなあ!3本目はクレーンで撮ったしね。

 

——それは大掛かりだ!許可はどんな風に取られたんですか?

 

タカイ ドローンに関しては特にそれ自体の許可が要るんです。だから、MV撮影をする時には、同時に撮影予定地を管理している場所も同時に調べた方が良い!今回、ドローンの許可はカメラチームが撮影予定場所の管理をしている所沢市役所に出した。

 

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タカイ 最初はドローン使用を断られたらしいんですけど、「お願いします!」って食い下がって、やっと許可をもらった。撮影中はずっと市の職員が立ち会っていましたよ。所沢の中でも結構山中のど田舎だったから、近所の畑仕事をしているような通りすがりのおじいちゃんとかが「何してんの?」ってすげー話しかけてきた(笑)。

 

——フランクな方が宣伝しやすいし、好意的に受け取ってもらえるんじゃないですか?

 

タカイ 所沢市も職員が撮影中の風景を撮影してくれて「所沢のfacebookに載せていいですか?」って言ってくれた。

 

——インディーのMV撮影と言えば、ゲリラ的に行う方法が一般的ともいえるでしょうが、一手間増えてもきちんと許可を取るとメリットが多いものですね。

 

タカイ ロケーション次第かな。メジャーで大手だったら許可が取れる幅も全然違うんでしょうけどね。自分たちがやるとなったらどうしても許可が取れない場所っていうのもありますからね。「音出すな。」っていう条件が本当に多いし。…でも音は絶対出てしまうからなあ…。

 

——そうですね。特に演奏シーンともなればね。シネマっぽいイメージVだったらまだしも。

 

タカイ そうね。実は今回演奏シーン0のイメージVも1本撮ってる。これはまだ上がった画も見ていないし、もう一回だけ撮影するらしい。

 

——となると、全部で撮影は3日。それでもタイトな方じゃないですか?1本あたり1日。

 

タカイ 1日目のスケジュールで言うと、まず朝9時から12時まで1本撮ってから、移動してイメージ映像を撮った。その後ロケ地を一緒に見に行った。…所沢に朝9時はまあまあ地獄やった…前日ライヴで(笑)!

「顔が腫れるから打ち上げも出んと、はよ寝ろ!」ってことだったんですけど、結局俺とベースは一睡もできずに、家でシャワーだけ浴びて、朝6時に集合。

 

——機材を積んで車で現地まで向かわなければならないから。まさか電車で向かうわけにはいかない(笑)。

 

タカイ 電車で行けない(笑)!しかも1台じゃ機材が乗りきらんから2台で動いた。いやぁ、でもそれにしては顔は腫れてなかったなあ(笑)。

今、「new world」の仮MVができてるけど、見てみてよ。

(映像を見ながら)映像はすっごく綺麗だけど、ずっと横に滑らかなままだから、どこかでパツっと合わせて、縦にガッとなる部分をこれからつけたりしたいんよね。

 

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——(映像を観ながら)確かに。音楽は縦ノリですが、映像は横ノリですね。

撮る人の聴き方もあるんでしょうか。もう少しメリハリが欲しいかも知れないですね。例えば、ドラムのフィルインに合わせて変化をつける、とか。

 

タカイ 全くその通り!お互い音楽好きやなあ〜(笑)。

 

——ワハハ!in stateのライヴは縦ノリですしね。クライマックスもドラマティックにいきたいですね。

 

タカイ 前半のスーっと流れる感じはいいんだけど、俺らの音楽は縦にノッて欲しいんよね。

あとは、YouTubeのMV観る時って、だいたいサビが終わった後の間奏とかで次のMVに飛んじゃう。

 

タカイ 楽曲を提供している人間も映像を作る人間もその辺を頭に置いておきたい。これだけ動画が溢れている状況でどれだけ頭一つ抜けるか、っていうのを常に考えながらやらないと!

 

——出だしのインパクトも。

 

タカイ 出だしのインパクトと言えば、当初、冒頭に「ホーホケキョ」っていう鳥の声が入ってて。インパクト的には凄かったんだけど、速攻で「ホーホケキョはナシで」ってメールした(笑)。

 

——タカイさんはわりと相手を選ばずに誰にでもはっきりと言う方だとは思うんですけど…

 

タカイ どういう意味やねん(笑)!

 

——いやいや(笑)、MVを作る上で技術以上に大事なのは映像を作る側とのコミュニケーションじゃないですか?

 

タカイ 大事!

 

——「“ホーホケキョ”ナシで。」を普通にリクエストできる信頼関係を築く努力をするかどうか。

 

タカイ そうね。今回のいろんな要望は、俺がいっぺんに集めて、俺がまとめて先方に送った。

 

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タカイ 確か、鈴木さんは今日までめっちゃ忙しかったんじゃないかな。メールが来てた。やっぱり意思疎通が大事だからね。来週はもう鈴木さんの事務所に行って、メンバーが立ち会いで「new world」の修正をするんですけど、そこで最終決定するといいなあ。

 

——全く別の畑にいた人々が突然出会って一つの作品を作る行為ですから、そもそも意見や考え方の癖も違うのが当たり前だと考えた方が正解なわけで。

 

タカイ 鈴木さんは、打ち合わせだけじゃなくスタジオにも来て、すごく楽しそうに演奏を観てくれた。

 

——そうなんですか!ライヴも行ったとか?

 

タカイ 来てくれた!鈴木さん、真面目だなあ…。でも、真面目な人がいいと思う(笑)。

 

——そしてin stateには愛があるしね(笑)。最高だ。

 

 

 

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