2016
09.15
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【INTERVIEW】TENDOUJI「浅野企画は、音楽で食っていく決意表明」

ARTIST, INTERVIEW, NEWS, VIDEO

先日の巨大リリースパーティーも大成功、おそらく現在「都内インディー好感度No.1バンド」と言えるだろうTENDUOJI(テンドウジ)。前回は親友Tempalayのために一肌脱いでもらったが、今回はいよいよ単独インタビューで登場する。

もともとロックは大衆のために生まれ育ち、大衆のための酒場でラフに踊り・酔いしれる最高のパートナーであった。その体感として繁栄したのが、日本でもすっかり定着した“フェス文化”だが、例えばこの夏あなたの中でフィーバーした所謂「フェス熱」は、秋の訪れによって冷ます必要もなく、ライヴ選びさえ失敗しなければ毎週…いや毎晩でもライヴハウスで味わうことができるワケです。

そんな都内の小さなライヴ界隈で、とりわけ演奏に長けているわけでも複雑な曲構成でないが「単純に音楽を楽しむための空間」にコミットされた、最も信頼できるバンドの一つがTENDOUJIだと思っている。

オープンすぎるノリに加えて、オールドスタイルなポップロックの独自解釈による荒削りさが、返って“永遠の青春”を感じさせてくれる。TENDOUJIのライヴを素直に味わっているうちに「そういえば、クオリーメン時代のビートルズの対バン相手は誰だったか」、或いは「バンドとギャラリーが互いに単に笑顔を交換しながら踊り狂う、今のような風景がキャバーンでも見られたのだろうか…」等、思わず小っ恥ずかしい妄想をしてしまうのである。

 

さて、この取材はTENDOUJIの聖地(地元)・千葉県は新松戸の大規模な夏祭りで、TENDOUJI恒例の焼きそば屋台を出しているタイミングで行った。

そこではTENDOUJIのこれまでとこれから、自主レーベル「浅野企画」の設立経緯までの様々を語ってもらったが、伺っているうちに往年のライヴ事情までが浮き彫りになり、興味深いインタビューとなった。

“TENDOUJI絡み”について、最後にもう一つ書いておきたいことがある。

それは「音楽で食っていきたい」思いを形にするために、なりふり構わず“ぶつかり中”のリアリティーがTENDOUJIにあるのは、彼らが誰よりもアクションを起こしているからに他ならない、ということ。

こういった新しいものの未熟さをつついては、寄ってたかって潰すような風潮がある、などとつい最近もある評論家が仰っていたが、僕もそういう風潮(?)は、どうにかできないものかと密かに感じています。

 

 

 

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浅野 (祭りの人混みを離れて)いやあ…すごいんすよ、この町!この後ライブステージとかもあって。

 

——TENDOUJIは出ないの?

 

浅野 出たかったんですけど、機材が持ち込みなんすよ〜(笑)。

 

——おそらく、自治体の方は「バンドやってるから機材も一式持ってるだろう」と思い込んでるんだろうね。

 

浅野 そうなんす、持ってないっすよ〜!来年は出たいと思ってるんですけどね。今日は友達のお父さんのところ(バンド)が「翼をください」とか演ってるらしいですけどね。

 

——ならば「あの素晴らしい愛をもう一度」も、かな?

 

浅野 あ!演ってたわ(笑)!

 

一同笑

 

——さて、酒が合うバンドと言ったらTENDOUJIでしょう。酒の旨さを知っている人は料理が上手いように、酒の旨さを知ってるバンドは旨い音楽を作るのだろうか、と。それとも逆だろうか。なんせバンドマンがみんなTENDOUJIを大好きだからね。

 

浅野 どうなんでしょうね、あんまり意識してないっすけどね、でも、それは嬉しいですね。多分結局、コレ(酒)の延長でバンドやってるから。

もともと俺らはバンドの経験ないんですよ。27歳で急にやり始めたから、バンドっていうものがキッズ的な感覚だとは思ってはいたけど、やってみたら俺たちがすげーマイノリティだと思った。だから多分、バンドマンから慕ってもらえてるのは、そういうところなんじゃないかと思う。

 

——この前、あるバンドのインタビューで友達の話題になったのだけど、彼らは友達が全然いない中で「TENDOUJIは友達だ!」と話してくれた。でも校正上、残念ながらカットになってしまったけれどね。

 

浅野 嬉しいっすよね〜!多分、俺ら今年30歳なんですけど、年齢的にもバランスが良かったんでしょうね。

今となってはバンドの友達たくさんいますけど、今日の祭りで集まってくれてる友達と過ごした中学時代が楽しすぎて、高校以降の友達って一人もいななかったんです、全員。だから、ずっとこのメンバーで遊んでるし、俺も高校には殆ど行ってない。それで、いきなりバンドをやり始めた。

 

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浅野 基本的に俺らはあんまり人の目を気にしないんです。例えば、何歳でバンドを始めたとか、社会的に見てクズでも自分が楽しかったらいい、とか。

俺が30(歳)までずっとバイトをやっていたり、いきなりバンド始めたっていう行動を周りが好意的にとってくれたのが俺らも嬉しくて、こうしてバンド仲間の友達が増えていったんです。

 

——自分でレーベル『浅野企画』を始めようと思ったのは?

 

浅野 レーベルは、俺らが「これ(音楽)以外は基本的にやりたくない」っていう決意の表れ。これで飯食えるようになりたい。でも「年齢は関係ない」とは思っていても、どうしても関係してくるじゃないすか。35歳を過ぎて趣味でバンドやってるのか、何かを発信したくてバンドやってんのか…二つは全然違うと思ってるんです。

例えば、仲が良いから例に出すけど、前回対談したTempalayとか、今注目されている若手バンドよりも俺たちは年齢が上だから、賞味期限としてはどうしても短い印象を与えてしまう。飯を食うまでの流れを読んだ時に、大手インディーレーベルで(CD)出せば広告とかもやってくれるけど、どうしても金銭配分的なことは少なくなっちゃうから、食えないじゃないですか。そこからいろんな人に見てもらって売れるっていう路線があるかもしれないですけど、俺らがもし今、大手インディーレーベルでCDを出して、1年後大きなところを目指すっていう方法だと、どうしても遅いんですよ。

 

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浅野 そしたら最初から、失敗してもしなくても、自分達でレーベルを出して、食っていけるように頑張りたい。結局こういう人生を歩んでしまったら、うまくいくときはうまくいくし、うまくいかないときはうまくいかない、絶対に。

おっきいところで出しても、コケたらどの道、飯が食えないんすから!だったらロマン求めてやってもいいんじゃないかな。

 

——今作『breakfast』のMV2本も仲間が才能を持ち寄って作られた話題作。

 

浅野 あれの監督は、もともと対バンだった「船の上」っていうバンドのモトっていうんですけど、アイツは日芸行ってて、そこのつながりで撮影班を集めてくれたんです。リリースパーティの撮影班もアイツが集めてくれた。ありがたいっすよね!

 

——(MVでの)事故は偶然でしょう?

 

浅野 偶然(笑)!

 

——スタントレベル!よく撮ってたね。

 

浅野 ワハハハ!そうっすね。後になって「自分のこういう性格は良くないな」と思ったんですけど、落ちた瞬間は「よっしゃ!」と思ったっすよ。落ちながら、すげー冷静に「みんないい感じに騒いでるな〜、とりあえず頭だけは守ろう」って。それで落ちた直後、とっさに「撮った?」って訊いた。

 

——どこで撮影を?

 

浅野 あれは奥多摩の秋川渓谷。緑の感じがいいっすよね!あれが撮れるまでは「これ、撮れ高的にどうなの?」って心配だったから、ちょっとはしゃごうと思って…そしたら起きたやつ。

 

——病院まで映っている。

 

浅野 次はもう、アッチ系は死ぬしかないね(笑)!俺は落ちた本人だからなんとも思わなかったんですけど、他のメンバーはこの映像を見た時、ビックリして「これはショッキングだからやめよう…」って言い出したから、うまく上の方にズラして、なるべくショッキングっぽくなくしましたね。

それよりもむしろ、落ちる前の方がガチで溺れてるんで、あっちの方が死ぬかと思いましたよ。…あれは死ぬかと思った!

 

——崖はどれくらいの高さでした?

 

浅野 団地の3階くらいじゃないすか?背中から落ちて2〜3回転しましたよ。

 

 

 

——アルバムについてですが、出すと決めてから作った?

 

浅野 決めてから。今回は全部まとめて録りましたね。オレ達、実は曲のストックがあんまりないから、まとめて録った場合に同じような曲ばっかりできるんじゃないかと心配していたんですけど、実際に録ってみたらよくできたんで、7曲全部出しちゃおうって。

 

——リード曲は「Skippy」で合っている?

 

浅野 ちょっとTempalayの「from JAPAN」の感じをパクリましたね(笑)。1曲じゃなくて、3~5曲めくらいのPVを撮っておいて、リードも分かりづらい感じ。あんまり“どリード”っていう感じは作りたくなかった。

 

 

——TENDOUJIは、ファンとも仲が良い。

 

浅野 オレ達はバンドをやったことがないので、バンドとファンの距離感っていうのが全くわからない。だから「来てくれた人はみんな友達」になっちゃう。TENDOUJIっていうのがどこまで認識されているのかが客観的に認識しづらい。

 

——TENDOUJIという巨大コミュニティのようにも。

 

浅野 そんな感じで、みんなだいたい顔がわかるのもいいっすけどね。

俺らはそもそもバンドでも居酒屋でもなんでも良かったんですけど、中学の頃にずっと一緒に遊んできた仲間のユートピアを作りたい」っていう気持ちがずっと強かった。でも、店を出したりするのは金銭的にキツい。

 

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浅野 ある時TVを観ていたら、フェスのバックヤードでアーティストとかがサッカーとかをやっていたんです。それを見て「これじゃね?」と思って、バンドをすることに決めたんです。

だから、目標としてはバンドとして売れて、アイツらをフェスに全員ゲストで入れて、裏でサッカーがしたい!

 

——ということは、今日はTENDOUJIのユートピアにお邪魔したことになるんだね。

 

浅野 そう。今日のこのお祭りもずっと続けたい!

 

——それは本当に来て良かった!アーティスティックさも魅せ方としてはスタイリッシュだとは思うけど、調いすぎた空間と音に違和感を感じることもある。TENDOUJIはこうしてLIFEと密着していてほしい願望があるなあ!

 

浅野 ありがとうございます!でも、俺もそう思うようになったのは最近ですね。“バンドの見え方”って、みんなスゲー考えると思うんですけど、俺らもスゲー考える時期があった。でも割と、こう言うラフな感覚自体がマイノリティーだったりもするんで、今は「この感じいいね!」っていう人を増やして、ヌルッとメインストリームに入っていけたらいいなあって思ってます。

 

——TENDOUJIが大好きだっていうバンドや関係者も、本当はそういうスタイルが好きなのかもね。

 

浅野 そう、そういう感じですね!仲のいいバンドは特に! でも、これからはただライヴイベントに出るんじゃなくて、もっとわかりやすくバンドのイベントを打たなくちゃいけないなあって思いますね。

イベントを打つ時、自分が飯を食う視点で考えると、どうしてもバンド単体じゃないですか。だからイベントを重視したいんです。

 

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浅野 この間Tempalay とドミコ主催のイベント「ビーチトマトヌードル」の視察に同行したんですけど、さすがに焦りましたね。こいつらはコレを主催でやってんのに、俺らも何かやらないと!って。…いやあ、あれは東京から距離はあるけど、来たら絶対に楽しいんですよ!相当いいっすよ!

プールがあって、バーベキューがあって、海があって、音楽があって、テントも張れる。めっちゃイイっすよ!意外とそんなに遠くないし。あれは来てほしいなあ〜!

 

 

——今後はイベントにも力を入れる?

 

浅野 そうっすね。ライヴハウスでイベントをやるのはもちろんイイと思うし、続けなけらばならないことだと思うけど、それで終わってしまうと何にもならないというか、それをやってるだけになっちゃう。もっと視点を変えていろいろやっていかないと!

 

 

——浅野企画としては?

 

浅野 今考えてんのは、TENDOUJIは早いうちにもう一枚アルバムを出したい。その後ももちろんTENDOUJIは同じ調子で活動を続けていきますけど、フィジカルはそれで一旦良しとして、来年は浅野企画として他のバンドを入れることを考えて、飯が食えるまでの道筋が見えるところまで持っていきたいっすね。当然、これだけで生活をするっていうのが目標なんでね。

 

——今、例えばどんなバンドに注目してる?

 

浅野 ルーキーが決まったから乗っかる訳じゃないんですけど、MONO NO AWAREは割と一緒に演っていて、何か三ヶ月くらい前から急にライヴと新曲がメッチャ良くなったんですよ!だから、ルーキーが決まった時は「ふざけんな!」ってのと「おめでとう!」っていう、ちょうど半分くらいでした(笑)。

 

一同笑

 

——確かにバンドが急に“化ける瞬間”ってある。TENDOUJIも挫折や転機が何度かあったんじゃない?

 

浅野 そうですね、完全に四人全員が凹んだライブが二回ありましたね。

一回目は去年の3月、高円寺MISSION’Sっていう場所で演った時「テコの原理」っていうバンドがいて、俺らとは全然違うテイストのバンドだったんですけど、上手いしヴォーカルに存在感がありすぎた。俺らはバンドを演ったことがなかったんで、エフェクターとかも知らないし、直アンで全部演ってて、音のことなんて何も考えてなかったんすよ。その状態で観たから「これはヤバイ!」ってなって、帰ってエフェクターを買った。そうして音のことを考えるようになりましたね。

 

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浅野 二回目はこの間のTempalayとドミコとの対談があった直後のライヴっすね。

あの時、正直に言うと「Tempalayもドミコも友達だし、平日だから客もそんなに入んないだろう」って、割とライヴを舐めてたんすよ。

でも出たら客が意外にも入ってて、変に焦ってあんま良くないライヴして、一方でドミコとTempalayは緊張もしてたと思うけど、ちゃんと演って見せた。そこで俺らとは違うと思って、もう一回ちゃんと練習をしようと思った。

 

——あの時だったのか…。

 

浅野 そう。全然打ち上げも盛り上がれなかったし。

 

——ちゃんと打ち上げは出るんだね。

 

浅野 あ、打ち上げは出ます、楽しいから(笑)。…でも、あの時は結構凹みましたね。

 

——あの日の話をすると、何気なく話しかけたお客さんはだいたいTENDOUJIを見に来てた。それで「彼らの今日のライヴの出来はどうでした?」と質問をすると、だいたい「全然ダメ」と答えてきた。

 

浅野 あーやっぱり!みんな思ってたんすね。

 

——でもね、その後「また観に来るんすか?」と訊くと、だいたい「また行く〜!」と答えてた。その時、愛されているバンドだと思った。

 

浅野 できるだけ減らしたいですけどね、ダメなライヴはね(笑)。

この界隈の大きな問題点って、どことどこのバンドが一緒にやるから…っていう話。でも、対バン相手として気をつけていることは、ただチケットが売れるからといって同じようなバンドと一緒にやるんじゃなくて、例えばダンスロックとかやっているライヴにも顔を出していこう、というテーマも俺たちは持ってる。

この間HIGH FLUXっていうザチャレ(ザ・チャレンジ)のベースの方が参加しているバンドのライヴに出たんですけど、結構ウケが良かったんですよね。

“オシャレ感”っていう言葉はあんまり好きじゃないんですけど、音楽やってる奴らって、どこかカルチャーと繋がっているところがある。元々センスがいい奴らが集まってるから、メロディが良かったりすればちゃんとどこでもウケるんですよね。

 

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みんな同じようなメンツで対バンしてるけど、それだとなかなか広がりがない。お客さんもわかってるから「このバンドがやるときには行こう」ってなる、そうすると対バン相手で全然売れ行きが変わってくる。今後のライブ活動はそういう構造が崩せる方法を考えたいっすね。

 

【リリース情報】

アーティスト:TENDOUJI

アルバム:breakfast

価格:¥1,500(税込)

レーベル:浅野企画

 

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http://domico1234.wixsite.com/beachtomatonoodle

 

TENDOUJI Web

http://thetendouji.com/