2016
10.08
roji_3

【INTERVIEW】路地、結成2年でのデビューアルバムから紐解く、それぞれのスピリッツ

ARTIST, INTERVIEW, RELEASE

“自分らしさ”が“バンドさしさ”でもあり“バンドらしさ”が“自分らしさ”でもある。

メンバーから次々と湧き出るトークを受け止めながら、そんなことを思った。

 

既に世界中の音楽を体験できる環境にある今、この場に集まったメンバーが拾ってきた音もリズムも違うことはもはや“必然”でもあるわけだが、路地のメンバーはその“摩擦”を当たり前に喜び、当たり前に楽しめている。

それは「路地」そのものでもなかろうか。土の道、アスファルトの道、混みあう道、人気のない道——世界中に様々な表情をした「路地」が存在し、その道を必要とする人々の歩みを映し出しているからだ。

さて、彼らの育てるバンド「路地」は、いよいよ思春期を迎え、バンドとしてのアイデンティティを更に確立させようとしているようだ。

彼らが辿り着いた景色を共に見たいと、僕は今から期待を膨らませている。

 

photo /記者撮影

roji_1_2

メンバー:左から 梢 / 久保田  / 鈴木 / 飯田

 

 

——「路地のことはあまり世間に知られていないんじゃないか?」言っていましたけども、何年に結成されたんですか?

 

鈴木 2014年の1月くらいです。

 

——それでも2年は経ってる。今回ファーストアルバムをリリースされたタイミングですが、これに至るまでにどんな事があったんですか?

 

飯田 うーん、音源作ってライヴやって…ていう感じですかね(笑)。

 

——普通だな!

 

一同笑

 

鈴木 飯田くんが喋ると面白いなあ(笑)!

 

飯田 うーん、2年の間ねえ…。

 

鈴木 最初は僕と飯田くんで始めたんです。でも二人では活動ができないから飯田さんが梢さんを見つけてきてくれた。

 

 最初は友人として飯田さんを紹介されたんです。

 

飯田 その時は音楽の話を一切しなかったんですけど、帰りの車で「私、実は音楽やってるんですよ〜。」「へえ〜。」っていう感じで、ライヴの映像を見せてもらったら、そんな世間話で“音楽やってる”音楽のうまさじゃ全然なくて!ゆうぞう(鈴木)に「すごい奴がいるぞ!」って伝えたのがスタートだよね。

 

鈴木 うん。

 

——じゃあ「路地」はまず梢さんありき、みたいなところがある?

 

鈴木 そうですね。

 

飯田 うん。

 

——今のこのサウンドスタイルは梢さんの声に基づいてもいる?

 

飯田 そうですね。ありきって言えばありきだよね。

 

 

久保田 基本的には梢さん以外の僕ら3人(鈴木・飯田・久保田)で曲を書いているんですよ。みんな好きな音楽も全然違うので全く違うものが出来上がるんですけど、それを梢さんが歌うとシュッとまとまる。

 

——確かに!さりげなくも露骨に尖っていたりとか、ね。

 

久保田 あれ、どう思いました(笑)?

 

——個性を出そうとするから面白みが生まれてくるわけで。個人的にはどんどん挑戦すべきだと思うし、その過程も含めて、それがバンドの魅力に繋がっていくと思うけどもね。

 

久保田 ありがとうございます!

 

——でも、最初にマブイ感じのギターソロを聴いた時は、確かにびっくりしました(笑)。

 

一同笑

 

roji_9_2

 

——「70年代の日本のロックやポップに憧れた若者が作った音楽」で終わらせるには勿体無い。この曲は誰が?

 

鈴木 僕が作った曲にノスケ(久保田)さんが乗っけてくれたんです。

 

久保田 やらされたんです(笑)。

 

一同笑

 

鈴木 元々僕が作ったデモはあんなに激しくなかったんです。でも、コード進行は「もっとオルタナにすると絶対面白い」っていう話になった。そうなるとノスケさんはオルタナ上がりなんでウズウズしたんでしょうね。「こんなコード進行どうでしょうか?」って、持ってきてくれたのが出来上がりの路線です。「いいねえ!確かにあったら面白いかもね。」って採用された。

 

——これまでどれくらい自主で音源を発表されてきたんですか?

 

鈴木 エンジニアとかも入れないで、本当に自分たちで作った3曲入りのデモを作った。ちょうど一年前だったかな。

 

飯田 ミキシングの仕方とかね、本を買って勉強したよね。

 

鈴木 うん、やったね。

 

——そして今回、こうしてリリースに踏み切ったのは?

 

飯田 一つは自分達でデモを配るだけだと聴いてもらえる層が広がらないじゃないですか。それで、信頼できる流通先を通して出した方がいろんな人に届くんじゃないか?っていう話になった。

もう一つは“自己満足でやるだけでは楽しくない”っていう気持ち。僕らも働きながらやっているので、長く続けていくにはある程度インカムも必要。そう考えた時に、僕たちが世間でどう評価されるかを一回見ておいた方がいいと思ったんです。

 

鈴木 それが去年の夏くらいかな。

 

久保田 年末くらい。

 

鈴木 すいません、嘘つきました(笑)。

 

一同笑

 

鈴木 確か…去年の年末にドラムが抜けちゃって、この先どうするかを考えていた時に話したね。僕はとにかく「路地」を長く続けたい。続けるにはどうしたらいいか、とうことは常に考えていますね。

 

——「路地」というバンド名は?

 

飯田 あれ、なんでだっけ?まだノスケ(久保田)さんも入っていない頃、飲み屋で候補出し合って「路地」がしっくりきたんだよね。

 

鈴木 そう。新宿のスタジオに入った帰りにね。

 

 でも、まだ確定はしてないです。

 

一同 ええーっ!?

 

鈴木 そうなの!?

 

 その時は「とりあえず“路地”にしようか。また良いのがあったらね。」って、そうなったじゃん。

 

鈴木 確かに、流通担当の人も「路地って、ネット検索で出てこないんだよね」って。例えば「ラッキーオールドサン」と打てば、すぐに出てくる。僕らはそういうマーケティング力に欠けているのかもしれないね(笑)。でも、あんまり現代っぽくなくて、現代短くて、町っぽくて…路地、最高じゃない?

 

一同笑

 

roji_11_2

 

——久保田さんはどのようにバンドに参加したんですか?

 

久保田 (鈴木さんが)先輩なんで「やれ」と言われて(笑)。

 

——そんな感じ?

 

鈴木 俺、そんな体育会系みたいな感じ?

 

一同笑

 

久保田 オトトイのインタビューではめっちゃ良い人そうだったんで、こっちではちょっと…(笑)。

 

鈴木 おいおいおい(笑)!

 

一同笑

 

久保田 卒業して(鈴木さんの)ライヴを観に行ったら、ちょうど「路地」を始めるタイミングだったんで、誘ってもらいました。

「路地」のデモテープを渡されて聞いてから社交辞令で「良いですね。」って言ったら入ることになっちゃっいました(笑)。

 

一同笑

 

鈴木 嘘!?

 

久保田 だって、先輩のバンドは「良い」っていうしかないじゃないですかー(笑)!

 

鈴木 ここまで付き合ってくれてありがとう(笑)。

 

久保田 あ!でも、すげえ好きですっ!

 

飯田 今、社交辞令って言っちゃったからね(笑)。

 

一同笑

 

——メンバー間でここまで冗談が言い合えるとは羨ましい!結果的に久保田さんが参加することで、これだけバラエティに富んだ音が出来上がったわけだし、メンバーになって大正解だね。

 

飯田 それに、ノスケ(笑)さんが作る曲は、ものすごく良いんですよ。

 

鈴木 入って一ヶ月でライヴに入ってもらったよね。短期間ですごい沢山の曲を覚えてもらった。

 

 

——ところで、アルバムを作ることになってから用意した曲もあるんですか?

 

鈴木 それはないですね。

 

——アルバムが出来た率直な感想としては?

 

鈴木 「ようやくこれまでのことを形にできた。早く次のことがしたい!」っていう心境ですね。みんなは?俺は、人生初のアルバムだからもっと感極まるかと思ったら、そんなでもなかった。

 

飯田 全然、感極まらなかった。

 

 うん。そうですね。

 

久保田 録ってから音を聴いた時に「もうちょっとやれたな。」っていう感じはありましたね。

 

鈴木 わかる!

 

久保田 本格的な録音が初めてだったから、マイクの立て方とか混ぜ方とか、2枚目はもっとそこも踏まえたい。

 

——スタジオライブをそのまま収録したような聞こえ方がしましたよ。ヴォーカルも立って聞こえない。それは狙ってなのかが知りたかった。

 

飯田 EQも作り込んでないし、生のままの音がすごく多いと思います。あとは、使ったギターアンプの型が結構古くてナチュラルに歪むアンプなので、そう言ったことも聞こえ方に影響しているのかもしれないですね。

 

roji_12

 

飯田 割とJ-POPだとコンプをかけまくったり、イコライザーで中~高域のメリハリをつけたりすると思うんですけど、今回はそういう手をあまり加えないで作った。

 

久保田 一曲目の冒頭とか、家で録ったものをそのまま使ったし、確かにアナログな作りにはなっていると思う。

 

鈴木 路地って、梢さんのヴォーカルはもちろん最高だけど、ヴォーカルのバンドではなく、「ヴォーカルも楽器の一部」っていうテーマもあるんですよね。

 

飯田 1枚目のデモを作った時に「ヴォーカルを下げろ!」って、すごく言われたのを覚えてる。その時は「ヴォーカルがうまいんだから、もっと前にだせば良いのに」って思っていたけど。結果的にすごく良くなったね。

 

——伸びやかで透明感のある声だからね。グルーブ感のあるハーモニーも素晴らしい。歌詞は梢さんが書いている?

 

梢 いや、作曲した人が作詞も。

 

——発案者が責任を取る形?

 

久保田 そう言う感じです。

 

——それが、一枚の作品としてかなりまとまっている。

 

鈴木 全部梢さんが歌ってくれてるからです。

 

 ありがとうございます…!

 

——歌詞で言えば、「記憶」とか「思い出」だとか、時間の経過を感じる言葉が印象に残りましたよ。過ごした時間を行き来できるような。

 

飯田 僕は歌詞を書く時、あんまり未来のことは考えていないんです。昔のこととか、歌詞の世界と今描いている自分の世界っていうのが言葉に出るのかもしれないですね。

 

roji_5_2

 

飯田 3人とも全然違う人間なんですけど、詞に共通しているのは「儚さ」という点だと思うんですね。みんな嬉しくて終わらないんですよ。それは自分の過去の経験や普遍的なことが多いから。そういう言葉尻がそう言った印象に繋がるんじゃないかなって思いました。

 

——梢さんも歌詞を書いたりしないんですか?

 

梢 実は…

 

鈴木 言ったれ!言ったれ!

 

 1曲だけ私が作った曲があって、それを明日のリリースパーティで配るデモの中に入っていまして。

 

——お!作ってみてどうでした?

 

 まず、私の音楽性について説明しておきたいんですけど、私はずっとR&Bばかり歌っていたんです。でもある時、専門学校の先生に「梢ちゃん、あなたはR&B向きじゃないね。」って言われたんですね。声も雰囲気も全然違うって言われて「なるほど、自分が良いと思うものとみんなが思う私の印象や声は違うんだ…」と、いろいろ考えた時期があったんです。そう言った過去も経て、このバンドに入ることになった。

 

roji_8_2

 

 路地に入ってからは、私が良いと思う曲はみんなが「うーん」ってなって、みんなが良いと思う曲は私が「うーん」ってなる時期が暫くあった。「これを歌って」と渡された曲が私にとっては「何これ?絶対歌えないんだけど!」って。とにかく畑が全然違うから、最初はすごく戸惑った。試行錯誤をしたり、時には歌いやすいようにちょっと曲を変えてもらったりして、私なりに路地への理解を深めていく努力してみたんです。

 

——それで1枚のアルバムを作るのに2年もかかった、ということもあるのかなあ。

 

一同 うん。

 

 でも、やっとここ最近、私が路地で自分らしく歌えるように、私自身が馴染んできたような気がするんですよね。

 

鈴木 そうだね。

 

 で、明日のリリースパーティで配るデモの中に入れた一曲は、シンプルに私が良いと思ったものを作ってみたものだから、全然これまでの「路地」とはイメージが違ってしまうかもしれないけれど、どうしても聞いて欲しかったから「一曲だけ!」っていう感じで作ってみたんです。

 

——(曲を聴いてみて)なるほど!地に足がついた伸びやかな発声やグルーヴはここから来ていて、それを丁寧にポップに乗せると益々深みが増すことが確認できました。だからこそ透明感でこの滑らかさが出ると思うと、梢さんが本当に路地で歌っていてよかったんだろうなあ。

 

鈴木 確かに声はR&Bっぽくはないけれど、リズムがめちゃくちゃR&Bなんで、それがまた良いよね!

 

飯田 今の曲だって普通のエイトビートだから、梢さんが歌わなかったら平凡な歌になっちゃう。

 

——この曲から受け取れる梢さんの大切な引き出しはまた“路地色”の一つとして、メンバーで手を加えながら成長していくのかもしれませんね。

 

roji_6_3

 

飯田 ノスケさんが作った曲も明日配布するデモに入っているんですけど、それもまた違う曲で。

 

 そう!だから明日配る3曲はすごいよね!私の声も3つとも全部違うよね。

 

久保田 明日のデモは今までの路地じゃない面を見せていけたら。

 

 次に繋がるデモになれればいいと思う。

 

飯田 多分、路地のデモを聴いてくれた人って「路地って一体何がしたいんだろう?」って思うと思う。それが良いことなのかどうか考えたりもしたけど、だってそれがしたいし、何でもやりたいからね!

 

——「路地」がこれからどんなバンドに成長していくのか、本当に楽しみだ!

 

 

取材場所/新宿某所

 

【リリース情報】

アーティスト:路地

アルバム:窓におきてがみ

リリース日:2016/09/07

価格:¥1,500+税

 

路地 オフィシャルWeb

http://rojibandhome.tumblr.com/