2016
11.25
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【BLOG】ジュリア・ジャックリンが『Don’t Let the Kids Win』で証明したドリーミー・ポップのオルタナティブな中毒性

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スニーカーの歌姫、とでも呼ぶのがふさわしいだろうか。カントリーやポップ、フォークにオルタナを足したオーストラリア発のシンガー・ソング・ライター、Julia Jacklin(ジュリア・ジャックリン)がデビュー盤「Don’t Let The Kids Win」を今年10月7日にリリースした。現代版ジョニ・ミッチェルかのような物語の語り手っぽいたたずまいがまず印象に残る、その繊細かつ力強いドリーミーな歌唱。

フィオナ・アップルのような大人と子供を併せ持ち使い分ける女性らしさと、ラナ・デル・レイのような程良い抑制、そしてヴァセリンズっぽくもある適度な脱力感に中毒性が感じられる。歌詞もミュージックビデオもどこか不思議でウィットに富んでおり思わず見入ってしまう。

まだメジャーデビュー直後とあって、リスナーに確固たるイメージを植え付けるほどのインパクトのあるビデオではないが、ジュリアの「自然体でありながらどこか奇妙で、夢の中のよう」なノスタルジックな世界観を味わうにはぴったりだ。

 

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一見して昭和のニューミュージック風なお行儀の良さともとれる音楽性の曲が前面に押し出されているようだが、ジュリア・ジャックリンの魅力は自然ににじみ出るオルタナ感。「Coming of Age(カミング・オブ・エイジ)」では心地よいリズムのバンドサウンドの中で潔い歌声を聴かせ、アルバムタイトル曲にしてラストの「Don’t Let The Kids Win(ドント・レット・ザ・キッズ・ウィン)」では「その子たちを勝たせないで、負けさせて/どうせ何も学びはしないわ」から始まる歌詞で人として成熟していくことへの決意とも取れる心情を覗かせる。

 


浮遊感のある音楽だが、基本的にシンプルな楽器編成の曲が多いせいもあってボーカル・コントロールの上手さが光る。というのもジュリアは子供の頃、オーストラリアのブルーマウンテンズという緑豊かな内陸部で育ち、ブリトニー・スピアーズやアブリル・ラヴィーン、エヴァネッセンスなど当時のヒットチャート曲を聴き歌いながら、クラッシックの声楽レッスンに通っていたのだとか。

地方であるがゆえに他の種類のレッスンが無かったのだそうだが、これも今のジュリアの音楽的な奥行きに一役買う結果になっているようだ。

 

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メジャーデビュー直後にして現在、ドイツやイギリスなど世界各国を回るツアー中のジュリアだが、ほんの少し前までシドニーのエッセンシャル・オイル(ハーブなどから抽出する天然オイル)を作る工場のラインで働いていたことを隠さない自然体も魅力。

自身の音楽的な下積みや年齢的な焦りを感じたこと、アイデンティティについて臆さず語る姿勢も、彼女の豊かで独特な声で歌にすれば奇妙に美しい一編の物語になるから不思議だ。
ニュージーランドのスタジオで制作したという今回のアルバムで、ノスタルジックにジワっと光る「原石」感を見せつけたジュリア・ジャックリンの今後に要注目だ。

 

Julia Jacklin公式サイト

http://www.juliajacklin.com

 

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