2016
12.02
%e4%b8%89%e5%91%b3%e7%b7%9a

【BLOG】和弦楽器で奏でる洋楽ロックを探せ!

BLOG, VIDEO

三味線や箏といえば、いわずと知れた日本の伝統的な和楽器だ。三味線は民謡や長唄などの伝統的音楽を中心に、また箏は近代日本の純邦楽曲などでもよく使用されている。日本人の情緒に触れる魅力的な音色の楽器だが、ポップミュージックのフィールドでフィーチャーされることはまだまだ少ないといわざるを得ない。

そんな状況を打破し、日本の伝統楽器に新たな可能性を追求するアーティストたちもいる。今回はそんな中から、三味線や筝で洋楽を奏でている動画を選んでみた。

 

【人気コラム】伝説のバンド「54-71」(ごじゅうよんのななじゅういち)のこと

 

Kraftwerk on shamisen The Man Machine 宮澤やすみ

原曲は徹底的に無機質だが、この演奏者は小唄のお師匠さんだそうで、江戸川乱歩あたりにも通じる妖艶な雰囲気が漂っている。最後のほうの三味線ソロは即興演奏のスリリングさがあり必聴。再び唄が始まっても一人だけ先走っている感がたまらない。ケレン味たっぷりの津軽三味線とは違った、抑制を効かせつつ暴走していく感覚はやはりジャーマン特有のサイケデリック。クラウトロックならぬクラウト小唄である。

フェイクなうんちくが綴られるこの動画の演奏者は、ほかにも「ブラックサバス小唄」など普通の暮らしをしていたら思いつかないネーミングのネタを投下している。もはや「イエロー・サブマリン音頭」を超えた!?

 

Tool – Lateralus – Koto Ensemble Version 箏衛門

筝による洋楽ロックのカバーでは、ツェッペリンの「天国への階段」やクラプトンの「いとしのレイラ」など、皆が知っているような有名曲がYoutubeにはアップされている。だがこの動画で演奏されているのはなんと、知る人ぞ知るプログレッシヴなメタル・バンドの最高峰のひとつ、あのトゥールですよTool! いったい誰が考えたんですかこの企画。

しかしこのバンドやプログレメタルを知らなくても、聞いているうちになんかすごいぞとテンションがあがってくること間違いない。筝というと正月によく聴くというイメージのある、雅(みやび)な楽器だ。だがここで演奏されている曲は、エレガントというよりはミステリアス、華やかというよりは壮大、雅というよりはコズミック。圧倒的な迫力を持つ力強い演奏にぐいぐい引き込まれていく。

 

【人気コラム】指揮者が突然倒れる!?マウリシオ・カーゲルのユニークすぎる楽譜

 

ポップ三味線 マーサ☆リノイエ

洋楽ロックの日本語カバーで知られる王様の「湖上の煙」を演奏している。三味線教室の方のようで、なんだか楽しそうである。あまり肩肘張らない、どことなくアマチュアなノリも好印象。

原曲のディープ・パープル「Smoke on the Water」は、Youtube上ではほかにも三味線(常磐津節)によるカバーがアップされている。テレビの録画モノなので動画自体の紹介は控えるが、純邦楽とハードロックが意外と相性がいいことがわかる。純邦楽史的にもロック史的にもかなり価値の高い動画で、一聴をおすすめする。「お江戸の火消し」で検索すると出てきます。

 

【話題コラム】勝っちゃったトランプ氏を支持したミュージシャン総まとめ

 

Kevin Kmetz Jimi Hendrix PURPLE HAZE

海外(アメリカ)の三味線プレイヤーもご紹介したい。CDリリースもしている津軽三味線奏者のケヴィン・メッツはYoutubeに多数動画をアップしており、民謡のみならずロックや「ドラえもん」などのアニメ曲、きゃりーぱみゅぱみゅなど、なんでもアリ状態。なかでもこのジミヘンはひたすらかっこよく、ディープ・パープルと同様、三味線がハードロックと相性のいいことを証明している。最後に棹を振るところなどシビれるかぎりだ。

ほかにも筆者の好きなアイアン・メイデンをプレイしている動画などあり、どれを紹介するか迷ったが、見た目のキャッチーさでこちらにした。アメリカにお弟子さんもいるようで、三味線の新たな可能性のために期待したい一人だ。

 

【INTERVIEW】岡田徹、初の全曲歌モノで魅せた現在の「自画像」に迫る

 

Mike Penny The Girl From Ipanema played on shamisen

もう一人。マイク・ペニーは上記のケヴィン・メッツに三味線を習った人。ここでは師匠と一緒にボサノヴァの名曲「イパネマの娘」を演奏している。この手の異種混合モノの場合、あまりマッチしてないなと感じることも多いが、意外としっくり馴染んでいる。ホテルのロビーなどで流れていてもよさそうな、ラウンジ津軽三味線ミュージックである。

 

ワールドミュージックに目を向けると、ケルト音楽やアラブ音楽などはポップミュージックとの融合に成功していることに異論はないだろう。日本の伝統音楽や楽器も、現在のポップスやロックなどとの相性はいいはずである。一部では他ジャンルの音楽との融合が試みられてはいるのだが、一部ではなくもっと大々的にやってほしいもの。必ず世界的に成功すると筆者は信じている。