2016
12.06

【レポ】12.4 MASH FIGHT! Vol.5 FINAL AUDITION 「優勝はこのバンドだ!」

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THE ORAL CIGARETTES、フレデリック、LAMP IN TERREN、パノラマパナマタウンを輩出してきたオーディション&育成プロジェクト「MASH A&R」5回目となる2016年の「MASH FIGHT! Vol.5」が12月4日(日)、渋谷WWWで開催された。今までの中で最多、年間通して1000組を遥かに超える応募の中から選ばれたファイナリスト7組が集い、熱戦を繰り広げた。

 

まずオーディションの口火を切ったのは、神戸を中心に活動している「the cibo」。初っ端からはちきれんばかりの轟音を鳴らすと客席には髪を振り乱しながら盛り上がる姿も見え、一瞬にしてオーディエンスを自分達の世界に引き込んだ。

MCで病気によるドラムの脱退(今回はサポートメンバーを率いての出演)を受け、バンドが直面した葛藤や苦悩を描いたことが語られた “今宵、駆け落ちる前に”。前川翔吾(V&G)と壬生竜矢(B)の愚直なシャウトは否応なしに観客の心を鷲掴みにする。抑揚の効いたメロディと大サビでの爆発力の絶妙なコントラストが会場の温度を一気にあげ、MASH FIGHT!Vol.5の華々しいオープニングを見事に務めあげた。

 

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2組目に呼び込まれたのは大阪を中心に活動を展開している「ザ・モアイズユー」。今年4月と7月にマンスリーアーティストとして選出されている3ピースロックバンドだ。

おおらかな落ち着いたテンションでアクトをスタートさせると、本田真央(V&G)の骨太なセクシーさを帯びた歌声が響き渡る。「俺の心を全部置いていきます、弱さも強さになるってことを歌います」と、シンガロングを誘うような親しみやすいシンプルなメロディが軽快な “歌う声は”を披露。時折泣き叫ぶようにも聴こえる歌声とギターが、情けない男臭さとそれさえも愛したくなるような人なつっこさを感じさせる。自分の隣で、自分のために歌ってくれているような“トーキョー・トレイン”では夕焼けを感じさせる大きな景色を思わせる心地よいメロディを鳴り響かせた。

 

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3組目は京都を中心に活動する「LINE wanna be Anchors」。ステージに上がった瞬間から独特のナルシズムが溢れ出し、ライヴ以上にショーとしての要素が詰まっていた。

1曲目“アンチヒーロー”はヴォーカルからの入りにアレンジが施され、妖艶で伸びやかな阿部将也(V&G)の歌声が会場に響き渡る。「ザ・モアイズユー」の夕焼け色の余韻が残る会場を、キレのある硬質なサウンドと前へ前へ伸びていく妖艶でパワフルな歌声で疾走感溢れる独自の世界に塗り替えた。

楽曲の随所に軽快なノリとハネたリズムや心地よいジャジーな要素も散りばめれられており、ザクザクした音色で踊るようにギターをかき鳴らす姿がとても印象的。アシッドジャズやファンクな要素もちりばめたナンバーを器用にこなしたと思えば、ラスト“Good Night Mrs.Moon”ではドストレートなロックを披露。スキルフルな演奏とMCまでもエンターテイメントとしてきちんと昇華した完全なる15分間を終え、ロックバンドとして非常に高い完成度を見せつけた。

 

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折り返し地点でもある4組目はファイナリスト唯一のガールズバンド、「Split end」が登場。メンバーの年齢は21、2歳ながら結成して7年のキャリアを持つ奈良のバンドだ。

エモーショナルなバンドサウンドに、アンバランスとも思えるほどスウィートで清涼感溢れる北奈菜未(V&G)の歌声が抜群の存在感を放つ“レインコート”。時に危うささえ感じるほど青々しく純真な彼女達の音楽は、ストレートに聴く者の胸に届く。パワフルかつタイトなビートに乗っかるリピートされる歌詞がクセになり、ラストでは口ずさみながらリズムに身を任せるオーディエンスも多く見られた。「誰かを愛した時のあたたかい心」、「海が見たいと」物語のような言葉が紡がれるMCから“ロストシー”へ流れ込み、実直に歌を、メッセージを届けようと伸びていくヴォーカルの歌声、そして綺麗にハーモニーを響かせるコーラスが会場に爽やかな風を吹かせた。

 

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5組目は大阪出身3ピースバンド、「Saucy Dog」。

3ピースながら自由で遊び心のあるリズム隊と少年性を感じさせる石原慎也(V&G)の歌声は知らず知らずのうちに聴き入ってしまう中毒のような不思議な魅力に満ちている。

「夢みたいな舞台だけど、僕は僕の音楽を貫き通したいと思っているから……縁があるとかないとかで埋められるような距離を残したくなくて」と静かに、しかし力強く語ると石原はカウント代わりに地面を強く蹴り鳴らした。純粋でまっすぐな歌声がダイレクトに届く“いつか”は、今まで纏っていたSaucy Dogのキラキラと陽気でポップなオーラからは一転して、ハートフルで力強い壮大なバラードナンバーで彼らのショーを締めくくった。「またいつかあなたに会えるように!」と深くお辞儀をし、会場からは盛大な拍手が送られた。

 

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いよいよ後半戦。6組目は夏のMASH FIGHT!セミファイナル大阪編の優勝バンドとして、このファイナルへの出場権を手に入れた「スノーマン」。

彼らにしか表現できないエネルギッシュでポップな世界観はそのままに、幹葉(V)のディーバとしての存在感が夏のセミファイナル時からぐっと増していて、驚くほど歌の説得力が増しており

ステージを飛びだしてバンドのメッセージが胸に手渡しで届いてくる。

思わずシンガロング、ハンズアップしたくなるハッピーな4つ打ちの“ココロノアリカ”では、勢いを増すように打ち鳴らされるリズムがフロアの温度をぐんぐん上げていく。「スノーマンは自分達を変えに来ました! みんなで一緒に生まれ変わりましょう!」とラストのナンバーでは声量も熱量もぐっと増し、完全にフルスロットル。

ステージぎりぎりに立ってオーディエンスを煽る真摯な姿はステージを飛び出して聴く人の心に染み渡る、ストリーミング配信でのレスポンスもとても高いものとなった。

 

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遂に7組目、最後のオーディションアクトは、これまた夏のMASH FIGHT!セミファイナルの東京編の優勝バンドであるYAJICO GIRL。

彼らは相変わらずステージでの抜け感がとてもあり、バックビートが小気味よいとても血色のいいサウンドが会場を包んだ“レトロシティ”。

皮肉たっぷりな歌詞を、軽快なギターとリズムで歌い上げる“いえろう”は四方颯人(V)の脱力感と不敵さが炸裂し、イエローに照らし出された会場がさながらMVのようで不思議な高揚感をもたらした。音楽への自由なアプローチ、そして自分達の中で確立されている「カッコいい」の定義を叩きつけるかのように“Casablanca”では、やや大げさなリズムがゆったりと会場を乗せていく。

楽曲単位での個性がきちんと表現されていて、俺達はまだまだこんなものじゃない、と余裕と伸びしろを感じさせるアクトを見せた。

 

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オーディションバンド7組の熱い演奏が終わり、投票タイムへ。投票用紙を持った会場のお客さんによる投票、Web投票、そしてMASH A&R審査員による協議が行われた。

その結果を待つ間、ステージにはゲストとして去年のグランプリバンド、パノラマパナマタウンが登場。昨年は挑戦者として、今年は先輩として迎え入れる立場として出演となった。日頃のライヴではラストに披露することが多い“世界最後になる歌は”をど頭に持ってきてまさに臨戦態勢モード。

 

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「よろしく!」と軽快に叫ぶと、エンジンがかかったように岩渕の口上が滑らかに進んでいく。ロックとヒップホップを融合した異質なサウンドが異様な熱気を孕んで会場を彼らの世界に巻き込んでいく。昨年の彼らには想像もできないほど濃厚で新鮮な音楽体験を積んだ1年だったことが、演奏の厚みとこのバンドが持ち続ける純粋な攻撃性が物語っていた。「(MASH FIGHT!Vol.4で優勝した)1年前から僕達満足していないです。パノラマパナマタウンがいるMASH A&Rって言われたいんで、全員ついてきてください」とギラついた情熱を瞳に灯し、先日のツアーから披露され始めた新曲の“Odyssey”を演奏。大人と少年の間のような複雑で曖昧な感情が音像に表れたようなミドルなナンバーがとても新鮮で彼らの新たな魅力が見えた。続いて浪越の放つレーザーのように鋭いギターサウンドに撃たれるように岩渕が体をくねらせる“RANDOM BEAT”では再びフロアに降り立ち、会場は沸点を超えて盛り上がりを見せる。1年前のステージでも演奏された“SHINKAICHI”は確実に頼もしくなって響き渡り、先輩として圧巻のライヴとなった。

 

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パノラマパナマタウンの余韻を残しつつ、いよいよ結果発表へ。MCの藤田琢己が再びステージに登ってMASH A&R審査員を呼び込んだ。

全ての参加者、そして出場バンドが息をも飲み込みながら発表を待った今回のグランプリは————なんと「Saucy Dog」、「YAJICO GIRL」の2組という今までにない異例の事態に!

5年目を迎え、オーディションへ応募するアーティストのスピリット、クオリティが上がったことにより今回の選考はとても難航したとの選考理由が述べられた。その今回の選考の決め手に関して、「Saucy Dog」は「オーディション応募曲を演奏しなかったことを含め、いい意味でイメージを裏切られた。新曲もよかったし、これからも期待を越えていく存在になるのでは」という言葉が送られた。そして「YAJICO GIRL」には、「今年のアマチュアバンドコンテストの多くでグランプリ等の賞を勝ち取った彼らのライヴは、楽曲やグルーヴを含め、これからに期待したいと思わせる独特のオーラとイメージがある」という言葉が授けられた。

異例のグランプリ2組によって一つしか用意していなかったトロフィーを両者に分け合ってもらう事態になる中、喜びを表すそれぞれのメンバーに、会場からも割れんばかりの温かな拍手が送られた。

今回グランプリを獲得した「Saucy Dog」、「YAJICO GIRL」も出演する恒例のイベント、MASH A&R 5th ANNIVERSARY「MASHROOM 2017」」は1月15日(日)、LIQUIDROOM ebisuにて開催する。出演は5年間のファイナルオーディションで栄光を掴み、今やロックシーンの鍵を握り締めているTHE ORAL CIGARETTES、フレデリック、LAMP IN TERREN、そして本日のゲストでもあったパノラマパナマタウンの4組。2017年の年間を通したオーディションと共に、こちらのパーティーも、ぜひお楽しみにして欲しい。