2016
12.15
jfk08

【INTERVIEW】”IN YA MELLOW TONE”とは何か。モンスターコンピの生みの親・寿福知之(a.k.a. JFK)が聖地/渋谷で語る、激動の10年。

INTERVIEW

日本が誇るヒップホップコンピシリーズ『IN YA MELLOW TONE』が始まってから10年が経ったそうだ。

その記念に筆を取ろうとも、2016年に発表した『IN YA MELLOW TONE 10』で寿福氏が発した約750文字のメッセージに勝る文章が、残念ながら僕には一向に書けそうにもない。

考えたら無理もないのかもしれない。本当に長い間、僕はヒップホップとボタンをかけ違えていた。その縺れを綺麗に解いていくれたのが『IN YA MELLOW TONE』、つまり寿福氏であったのだから。

そしてあの時寿福氏が「ヒップホップはカルチャーであると同時に“音楽”なんだ」と僕らに言った通り、今回の10周年記念には その重みがずっしりと詰まっている。

今回そんな僕が寿福氏をインタビューするならば、より遠い音楽ファンにむけてフランクに語りかけることが可能だ、と自分なりに察した。ヒップホップを聴くにはもちろん資格はいらないし、良い曲は必ず多くの人に愛される権利を持っている。それらを淡々と証明し続けてきた『IN YA MELLOW TONE』の10年を改めて辿りながら、エピソードやレーベルの現在地を大いに語ってもらおうじゃないか!

さて、真っ昼間からコロナ片手に冗談ばかり抜かす寿福氏であったが、「ヒップホップとは、自分の現在地から広く見渡すこと」——そう言っているようにも聞こえて、また気持ちが熱くなった。多分、このボスはこれからもずっとカッコいい!

 photo / 記者撮影

 

jfk01

 

JFK(寿福 以下:JFK) へいへいへい、寿福で〜す!

 

——ところで、何故今日の取材はここ(渋谷)を選ばれたんですか?

 

JFK GOON TRAXはここで始まったからね。今歩いているこの道から、タクシーに乗ってよく恵比寿BATICAまで行ったんだよ。ほら、並木橋ですよ〜。

 

jfk03

 

 

JFK この先で屋台をやってた時にメディアファクトリー(現KADOKAWA)を知って、紆余曲折の後、金王八幡宮前のこのビルでレーベルをスタートさせたんだよね。学生の頃から数えると、20年くらい渋谷の住人だったのかなあ…。

 

——ちなみに、GOON TRAXが最初に手掛けたアーティストは、NYの2人組 The Good Peaopleのデビュー盤でしたよね?

 

JFK そうそう。そいつから昨日、久々にメールが来たんだよね。「10周年おめでとう!」って。新しい音源を送れって言っておいた(笑)。

 

——もしかして疎遠だったんですか?

 

JFK そんな気まずくはないけど、デビューはウチ(GOON TRAX)から一枚出して、その後に違うレーベルが良いディールを出したからそっちに行っちゃったの。ちょっと嬉しかったな…覚えてんだなぁって。

 

——その頃、ヒップホップシーンで寿福さん自身が感じていたことはどんなことですか?

 

JFK 2006年?すごく参入しやすくなったと思ったよ。アンダーグラウンド・ヒップホップが世界各地で流行り始めたから「これはチャンスだ!」って思ったんだよね。

 

jfk06

 

JFK GOON TRAX やる前からやっていたロックのレーベルも、始めた当初は、インディーズのバンドがビルボードのトップ10に入るようになったのがきっかけだった。メジャーとインディーの垣根をユーザーが意識しなくなった頃だね。

 

——その頃はどんな手応えがありましたか?

 

JFK すごくあったよ、レコードの生産が間に合わないくらいね。「これは儲かるぜ!」ってね(笑)。あの頃は本当にレコードがバンバン売れたんだよ。アルバムを出す前にまずは12インチを切って、宣伝代わりにリリースしてからアルバムCDを出す流れ。その12インチはもちろん即完。今思うと、そんな夢みたいな時代があったんだね。

あの頃はみんなミックスCDとかミックステープをバンバン出してて、ミックスCDでさえも3,000枚とか平気でイニシャル・オーダーがついてて。そう考えると、どんだけ荒稼ぎしたんだよ、某○○さんは(笑)!

 

——2009年に発表した『IN YA MELLOW TONE 3』はシリーズを語る上で必ず登場しますよね。

 

JFK 懐かしいなあ!そうだよね。あれはre:plusを一番頭にして勝負したやつ。世代交代している感がね。

 

——ビレッジヴァンガードでも売り出して…

 

JFK そうそう、ビレッジヴァンガードで売り始めた。一番売れたのはシリーズ5(2010)あたりだな。シリーズ4(2010)で少しセールスが落ちて、これでまたグッと上がった。

 

 

——勝因は?

 

JFK ジャケットが良かったんじゃない?ピンクでチャラい感じが(笑)。

 

——まったく…でも、なるほど。それにRobert de Boronの名作シリーズ「Shine A Light」が生まれた時だ。

 

JFK そう。これで一気に息を吹き返しだんだよね。雑貨屋さんでも完璧に認知された。ビジネス的な話になっちゃうけど、今まで卸業者を一社挟んでいたのが、このタイミングからビレッジヴァンガードさんと直接取引を始めたんだよね。

 

——お店がプッシュをしてくれたのもあるんですね。

 

JFK そう。しかもあの頃のビレッジは今ほど積極的にCDを扱ってなかったんだよね。ヴィレッジヴァンガードの販売力に気が付いているメーカーがそこまでなくて、全国で売り場を確保するのも比較的容易だった。

 

 

——これだけでも歴史を感じますよね。

 

JFK 感じるよ、本当に!

 

——この頃からいわゆるライトユーザーから熱烈な支持を獲得するわけですが、音楽に“ライトユーザー”とか“ヘビーユーザー”とかいう顧客の呼び名をつけるのって、特に日本のヒップホップシーンじゃないですか?聴く人を分別している感がある。リスナーにDJが多いからというところもあるし。玄人向きとか素人向きとか、そういう認識仕方は良く言うと敷居が高い。悪く言うと閉鎖的。

 

JFK ね、そういのが馬鹿らしいと思うよ、本当に。そういう呼び方って。

 

——寿福さんのしてきたことは、日本で初めて真面目に、しかも本当の意味でその壁を壊しそうとした人だと思うんですよ。そして、成功している。

 

JFK その分よく「何してんだ、アイツは!」ってよく言われているんだろうけどね(笑)。

 

——そんなことはないと思いますよ。まずは非常に冷静だと思うんです。リスナー人口は明らかにいわゆる”ライト“が多い。

 

JFK そうだね。そのおかげで続けられているんだと思うんだ、本当に。

 

—— 一方で所謂“ヘビー(玄人)”と自覚している人々から邪道扱いされることもあるのでは?

 

JFK そうそう。

 

——でもだからと言って、ポップで薄めて質を落としているわけではない。割り切っているのではなく、むしろ時間を労力をかけてリスナーを育てていく。しかも、リスナー本人が楽しく知らぬうちに。

 

JFK それはやってますよ、必死に!

 

——恵比寿BATICAで定期開催していたイベントもそうですし、音楽のイベントで何故かバーベキューとか、一見なんなんだ?という空間で交流を深めることで音楽への理解も育っていく。

 

JFK 何やってんだと思うよね(笑)。フルーツパーティもやったからね。「何?フルーツパーティって」とか訊かれて「フルーツパーティはフルーツパーティだよ!」って良く言ってやったなあ(笑)。

 

——代官山でのイベントですね。

 

JFK そう。フタバフルーツっていう会社がフルーツを提供してくれるから、フルーツを食べながらお酒を飲んで楽しむ会。で、音楽レーベルのイベントなのにライブはなし。逆に新しいよね(笑)。

 

——イベントをやり始めたのは確か2010年でしたっけ?

 

JFK 『NEW AGE OF BEATS』っていう、re:plus × Robert de Boron × HIDETAKE TAKAYAMAのスプリットを作って、そのリリパが最初。『IN YA~』でいうとシリーズ6の頃だ。

 

——そうでしたね。この3人のスターが『IN YA~』から完全に誕生した瞬間でもありましたね。このリリパはもの凄かったんですよね?

 

JFK まさかのtribe / Hydeout Productionsのイベントと被ったからね。数ある週末で 何で被るかな~って(笑)。でもいざオープンを迎えてみたら、会場から渋谷東急ハンズの奥の方まで人がブワーって並んでた。嘘でしょ!?って思ったよ。

 

——その時の告知戦略は?

 

JFK CDとTwitterだけ。まぁ、初めてのイベントだったからね。まずは一度テストの意味も含めてやってみようかな、って。蓋開けてみたらあんなに沢山の人が来てくれたのにはビックリした。ま、でもイベントを始めるのが遅かったよね。『IN YA~ 3』あたりで始めておけばよかったんだよ。

 

——何故イベントを早めに始めなかったんですか?

 

JFK なんかね…昔はもっと「何もしないのがカッコイイ」っていう風潮があったんだよね。特に日本のこのシーンはね。宣伝しない、押し付けがましいキャッチコピーは書かない—— 当時はそれ系のアーティストを集めてUNITとかAIRとかでやっていた『bathroom』っていう大きいイベントがあったし、他のレーベルのイベントに呼ばれたりもしていたし、ウチがわざわざやらなくてもいいかなって思っていたんだよ。

 

jfk04

 

JFK それでズルズルと行っていたら『IN YA~ 6』の頃なんて他のレーベルがほとんどなくなっちゃった。もしかしたらこのまま俺たちも無くなるかもしれない。それでやっとイベントをやろうと思った。

 

——そうだったんですね。”Jazzy-Hip&Hop“と呼ばれる音楽が急速に衰退した時期でもあったんですね。

 

JFK その”Jazzy-Hip&Hop“っていう言葉自体もなくなって行ったしね。

 

——GOON TRAXの描くヒップホップが生き残った音楽的な要因としては、ジャジーよりもメロウだから、ではないかと思っています。

 

JFK メロウって、“Mellow”がタイトルについてるから、勝手にお店の人がキャッチでつけたんじゃない?俺は一言も言った記憶がないんだもん。

 

——というのも、寿福さんが『IN YA~ 10』のセルフライナーノーツを書いた部分で、世界に向けた超感動的な文章を書かれていたんですよ。

 

JFK え?どんな良いコトを書いたっけ?…まあ、これが全てですね(笑)。

 

——要するに、ヒップホップは政治的に弾圧された米国の、非常に深く重い歴史を背負った音楽であるけども、これまで生きてきた環境の全く我々が模範するにも限界がある。

 

 

JFK うん、絶対に無理がある。真似するのは俺も好きだし真似することによって吸収できることがあるけど、同じことをする必要はない。世の中いきなりトラップのビートが広がったとしたら、日本じゃ猫も杓子もトラップになって、しまいにはライミングも一緒になる。俺はそれを見ているのが本当に馬鹿らしくなる。そこまで真似してどーすんだよ!

 

——そうですね。ヒップホップを愛するならば、我々が(日本人が)鳴らすべきヒップホップとは何だろうか。その問いの全力の答えが『IN YA~ 』なんですね。先ほどのメロウとは「歌謡」という意味にも寄っています。特に生のピアノとストリングスで装飾された美しいを愛する国々が鳴らす、透明感のあるヒップホップ。

 

JFK ズバリ、そうです!でも昔はさあ、こういう生バンドのヒップホップってあんまりなかったから新しく見えたって言うのもある。ロバート・グラスパーが世界的に有名になって今はまた違う側面から注目されてるよね。うち(GOON TRAX )が始めた頃は、日本のヒップホップシーンには生楽器をガッツリ取り入れるグループは殆ど居なかったから新しく見えたのかもね。あとは、日本だとサンプリングの問題もあるし。

 

——厳しいんですか?

 

JFK 厳しいどころじゃない、許諾がおりない。だからみんな、許諾を取らずにやってトラブルが起きている。ウチも一回あったけどね。

 

jfk09_2

 

——ちなみにその時はどのように終結させたんですか?

 

JFK その時は250万かな、500万だったけ?お支払いしましたよ。随分前に発表した作品なんだけど、サンプリング元のギタリストの作品が日本でリイシューされた時に日本のレーベルが気づいたらしく、本人から連絡が来て「金払え!」って!困る〜う(笑)。俺もこれは何かのサンプリングですか?みたいな確認してなかったし。その事件がGOON TRAXを始める前にあったから、自分がレーベルをやる時はトラブルを避けるためにサンプリングじゃなくて生楽器でやろうって思ってた。これも大きいよね。

 

——今回の2枚組にも入っているGEMNIやacro jazz laboratoriesが元々やっていたバンドが生楽器を取り入れた初の作品ですか?

 

JFK そうそう。Cradle Orchestraっていうバンド。そんなサンプリング問題を踏まえて、Cradle Orchestraはサンプリング主でなく生楽器ベースでやったんだよね。

 

——着実に経験を踏まえてますね。

 

JFK そう、アブねー!っつってね(笑)。今GOON TRAXは小さな母体でやってるけど、当時はポケモンとかも扱っているデカイ会社に属していたから、外人から見てもすぐにわかっちゃう。だから当時は法外な請求ができたんだとも思う。まぁ、でもサンプリングでの使用に明確な価格設定がないからね。これは著作者と原盤保有者の話合いしかない。原盤使用料と共同著作者としてクレジットを入れる話し合いをするんだけど、まず原盤保有しているジャズピアニストとかまでたどり着けないことも多い。だから難しいよね、ライセンスをちゃんととって作るって。Dragon AshとかThe Verveとか、有名なアーティストでもサンプリング・クリアランスでトラブル起きることもあるし。

 

jfk10

 

——もう一つ触れておかなければならないのは”韓国”ですね。

 

JFK そう、韓国のキムチが好きなので。

 

——それ絶対関係ないですね(笑)。

 

JFK 韓国ではシリーズ1と2の頃からこの手の音が流行っていた。日本と同様にNujabesとかもすごく聴かれていたし。これに入っている、Nieveの「Chronic Intoxication」のリミックスが、あっち(韓国)で超売れたんだよ。その後暫くしぼみ始めて、シリーズ6、7くらいでまた盛り返して来たんだよね。で、ここまでの間に、完全に韓国ではダウンロードとCDショップが無くなってるんだよな。

 

——日本でも同じ現象が起きるらしいですね。

 

JFK 日本でもダウロードは無くなると思う。で、韓国市場が完全にストリーミングになったところ(『IN YA ~6』)で、ドカンときた。

 

 

JFK この辺りからコリアン・アメリカンのアーティストを『IN YA〜』に入れるようになって来たことも大きいんだよね。どの国にも“コリアンタウン”ってあるじゃやない? そのコミュニティって、黒人の「Yo! ブラザー」的な関係性よりも深い繋がりがあって。だから、俺が例えばコリアン・アメリカンのアーティストをフックアップすると、GOON TRAXを通して韓国で人気が出る。その現象がスッゲー面白かった!

 

——サム・オックを初めてライブで拝見した時は衝撃でしたね。こんな透明感のあるヒップホップアーティスト見たことがない。

 

JFK 俺もサムのビジュアルを見た時にびっくりしたけどね(笑)。でもあのビジュアルのおかげで、ももクロのファンはシンパシーを感じてくれたんだと思う。横浜アリーナの入場曲?で使ってくれたみたいだけど、それを俺は知らなかったから、次の日いきなり大量のバックオーダーが来てビックリしたな~。

 

——発掘当初のMVも印象的だったそうですね。

 

JFK ひどかった(笑)!完全DIYのPV。コイツ絶対自分で刈り上げてんなっていうくらい、雑な刈り上げの髪型で(笑)

 

——ライブはチェックしたんですか?

 

JFK するわけないじゃん。初めて見たのは呼んだ時だよ。会場のキャパが小さすぎて全然入れなかったけど。

 

——評判やアーティストのキャリアではなく、絶対的に自分の耳を信用して見つける主義ですよね。

 

JFK そう、自信はないけど自分の耳しか信じないから。サムにも感謝してもらわなきゃ(笑)

 

——そうですよねぇ。今じゃサム・スミスかサム・オックか(笑)。

 

一同笑

 

JFK それは言い過ぎだけどさ、シリーズ6でアジア・コミュニティーを意識し始めて、10年続ける中で、日本ではブームが廃れて来ていても、今度は予想もしていなかったアジアで盛り上がり始めた。いい循環だね。

 

 

——韓国はヒップホップのレベルがすごく高いですよね。

 

JFK 高い、高い!全然日本の比じゃないよ。俺も聴いていて恥ずかしくなる。

日本では去年ぐらいから「フリースタイル・ダンジョン」が流行っているけど、韓国では「SHOW ME THE MONEY」っていう番組が結構昔からあって、ゴールデンタイムにがんがんラッパーが出てる。

 

——韓国音楽は全般的にすごく洗練されているイメージがあります。

 

JFK 日本は自国の中である程度ビジネスが成立するからあまり外に出て行かなかったけど、韓国は国が小さいから最初から国外でも稼ごうって意識があるんだよね。

 

——韓国は日本の半分も人口がいないそうですね。自国では完全に稼げないのですか?

 

JFK 稼げなくはないと思うけど、音楽だけじゃなくて芸能人にならないとキツいだろうね。サム・オックをリリースしてから、韓国の音楽に詳しい日本の人達と繋がって、それがきっかけで、韓国の1LLONAIRE RecordsのDok2とThe Quiettの来日公演で、うちのCHIKAがバックDJするようになったんだよね。あの二人は稼いでるな(笑)

 

——え?ものすっごいスターじゃないですか!

 

JFK もう何回か来日してるよ。韓国では本当にスターだし、USツアーもやってて。でも日本ではそこまで知られてないよね。もう一つ大きなレーベルでHI-LITE RECORDSっていうレーベルの初来日公演もGOON TRAXと共同でオールナイト・イベントやったんよね。元々Keith Apeが居たレーベルとしても有名。CJ E&Mっていう巨大な総合エンターテイメント会社の傘下になったから、これからもっとデカくなると思う。GOON TRAXは海外とも結構色々やってるんですよ(笑)。

 

jfk11_2

 

——この10年という節目を迎えて、『IN YA~』及びレーベルの次のフェーズとしては益々海外、特に韓国とのつながりが深まっていく期待をしても良いですかね?

 

JFK つながりは常に深めたいよね。ただ、ラッパーの人をフューチャリングするっていうのはまだハードルが高くてさ。こっち(日本)では、日本人のラップは当たり前だけど、韓国語のラップってあまり耳にする機会がないでしょ?K-POPを聴いている人たちは何の違和感もないだろうけど。

 

——確かに。そもそも日本はK-POPの広め方を最初から間違えた気もするんですよ。

 

JFK そうかもね

 

——冬ソナ(冬のソナタ)とヨン様キッカケですから。別に人の趣味ですからいいんですけど、美男子と恋愛とお涙で、主題歌「最初から今まで」っていう邦題を聞かされただけで、残念ながら何も入ってこなかった。実は、それで結構ナメていた節があるんですよ、反省してます(笑)。子育てが終わったおばさまと腐女子がハマるジャンルだとあの時思ってしまった先入観が結構最近まで引きずってしまった。

 

JFK それ書いてね(笑)。ひどいインタビュアーだ(笑)。

 

——あれあれ?でも同じ間違いした人いるでしょう?だって、今でもそうだからK-POPっていう特殊ジャンル扱いなんですよ。

 

JFK でもそんなことないんですよ。BIGBANGとか超クオリティ高いじゃん?

 

——そのBIGBANGでさえ、あれだけ表に出ているのにしばらく先入観で耳に入ってこなかった。思い込みの力を思い知った瞬間でもあったし、メディアをやっている我々は規模の大小に関わらず気をつけなければなあ、と反省しましたね。『IN YA~』がなければどうなっていたことか。

 

JFK イメージと言えば、レーベル始めた頃にあった他のレーベルがみんな無くなった途端、ウチが凄くセルアウトしている印象になっているのも面白いよね。不思議じゃない?他にもセルアウトしてるレーベル沢山あったのに(笑)。俺は10年ずっと同じことしてるだけなのにな~。イメージって不思議だよね。

 

jfk07

 

——ところで、韓国やアメリカでは店舗もダウンロードもない、とのくだりで、ダウンロードはなくなっても店舗の消滅は否定しませんでしたね。

 

JFK 昔は店頭で試聴機に入って、ポップがついて展開してもらって…すごくお店に力があって、音楽が好きな人は音楽と出会うためにわざわざお店に行って試聴したりした。今はお店に人がいないじゃん?

 

——いませんね。今はストリーミングサービスのピックアップに選ばれましたっていうやつですね。

 

JFK そうそう。売り方のスタンダードは変わっちゃったけど、実際今も一年かけてうちのCDを売り出してくれるお店もあるから、俺はまだお店の力ってあると、今でも信じているね。

 

——そういえば、今回の2枚組には新しいアーティストがやっぱり入っていますね。これは素晴らしい!!

 

JFK KYTEね。俺も超好きで、彼にはフロントに立ってグイグイパフォーマウンスできそうなところにも期待しているんだよね。頑張ってほしいな。2017年はKYTEとツアーをやりたい。

 

——初めて聞いた時、あまりの完成度に興奮して寿福さんに思わず「ジャパンの人ですか?」って訊いた人ですね。

 

JFK そう、じゃぽんの人ね。

 

——この前リリースしたばかりの「On This Journey」もしっかり入っています。

 

JFK そう。Steph Pocketsも付き合いが長いなぁ。いちばん長いんじゃないの?15年くらい。来年1月に来日するしね。

 

——そういえば、もともと『IN YA~』はGOON TRAXのベストアルバムのようなものだって言っていましたね。

 

JFK そう。でもね、今回はあんまりそういうのを気にしないで作っちゃった。自分で好きなのを入れちゃえ!って(笑)。

 

——でも曲順は考えているでしょう?

 

JFK 超・考えてる!一曲目と最後だけ最初に決めて、あとは自分の中のルールに従ってはめこんでいった。でもデザインも大事だから、例えば”S”で始まるアーティストの下にまた”S”から始まるアーティストっていうのは嫌だから、めっちゃ迷うんだよね。お客さんにはどうでもいい所だろうけどね(笑)。

 

——re:plusを頭に持って来たのは、何か思い入れがあるのかと思いました。

 

JFK 確か、瀬葉さん(Nujabes)が亡くなった直後にこのアルバムが出たんだけど、絵に描いたように爆発的に売れたんだよ。PVを作った「Time Goes By」の中に、「自分たちのヒーローはみんな逝っちゃった」っていう内容のリリックがあって。それが妙にフラッシュバックした。

 

 

JFK 実際のコメントでも「これは偶然なのか?」みたいな書き込みしている海外の人もいて。本当の偶然だけどさ。ちなみに、re:plusの「Tome Goes By 」と「Everlasting Truth」は彼と最初に出会った時からあった曲なんだよ。

 

——その二曲は彼の代表曲になっていますね。

 

JFK そう。思い出すよ…実家にお邪魔して色々話をしたこともね(笑)。

 

——ディスク1とディスク2で分けたのは?

 

JFK インストと歌入り。前に一般の人を呼んで『IN YA~』の選曲会をやっていた時にインストだけのアルバムを出してほしいって良く言われたんだよ。それを思い出して、このタイミングでやろうと思ったんだよね。

 

——そうでした、選曲会なんていうイベントもありましたね、

 

JFK そうそう、楽しいよね、あれ。今回は「ベストアルバムは俺が決めるわ」って言って、勝手に決めちゃったけどね(笑)。

 

——CDリリースという、こんなタイミングで訊くのもなんですが、この前お会いした時に「CDはもう嫌だよ」っておっしゃっていましたね。

 

JFK やだよー、俺はレコードがいい。もうCDを買わないし、新譜でもレコードで出ていればレコードを買う。それにスポティファイとかアップルミュージックの方が実際使いやすいしね。すぐに調べられるじゃん。

CDは作れるうちは作りたいけど、できればレコードも作りたい。欲を言えばカセットも作りたい(笑)!

 

——それは何故ですか?寿福さんがDJだからですか?

 

JFK うーん、単純に好きだからじゃない?レコードってでかいし。でかいと大切にしたくなる。だからね、IN YAのCDジャケットはレコードっぽくなるようにニスを塗っているの。

 

——気づかなかった!

 

JFK こだわっているでしょ?時間が経って3年とか5年とか経つと、古い

レコードみたいにいい感じに色が褪せてくる。そうやってボロボロになると、新しいのを買ってくれるでしょ?

 

一同爆笑

 

——いい話にはもれなくオチが、ね(笑)。作りましょうよ、アナログで。

 

JFK 作りたいなあ〜。クラウドファンディングでもやろうかな。曲数がなあ…作るならディスク1とディスク2で別々だな。

 

jfkomake01

 

——ちなみに夜景はどこから買ってるんですか?

 

JFK これ絵です。

 

——え?嘘でしょ?

 

JFK 嘘です。これは企業秘密。

 

——なぬっ?ずっと思っていたんですよ。でも金を使えば良いってもんじゃないことを知っている寿福さんのことだから、フリーでいい感じの画像をどこかからか見つけて来たのかな、とか思ったりして(笑)。

 

JFK 失礼なっ(笑)!でも俺が撮ったジャケットもあるよ。これとか(『IN YA ~ 2.5 』これ、渋谷だから(笑)。今はこの夜景のジャケもパクリみたいなのがたくさんあるけどね。

 

——このジャケットで作品自体に強烈にイメージ付けされましたね。夜のドライブ音楽の決定盤って。

 

JFK そんなこと俺は一言も言ってないのにね…勝手に言われちゃうんですよ。

 

——総合的にこれからどんな展開を考えていますか?

 

JFK 新しいことは多分やらない。今までどおり、好きなアーティストを出していく。唯一思っているのは、トラックメイカーだけじゃなくて、表に立てるラッパーやシンガーを育てたい。

 

——それが待望のKYTE!

 

JFK 待っててね、今アルバム制作中だから。ちなみに、曲を作っているのはStill CaravanのベースのRyosuke Kojima。来年1月にリリースするStillのアルバムもトンでもない内容になってるから期待しててください。

 

jfk02

 

JFK これはあくまでも個人的な予想だけど、またうちのレーベルのような音が息を吹き返す気がするんだよね。ここ5年くらいはずっと日本はダメだったけど、その期間は海外で盛り上がっていて。ブームって5年、10年の周期でまわるじゃない?その波がまた日本にも来る気がしてるんだよね。日本のリスナーが、ハードなトラップとかEDMとかに疲れて、心に響く楽曲を求めるようになるんじゃないかなって。

 

 

 

gtxa-001_iymt-best%e3%82%b7%e3%82%99%e3%83%a3%e3%82%b1%e5%86%99_%e8%bb%bd

【リリース情報】

IN YA MELLOW TONE GOON TRAX 10th Anniversary Best

リリース日: 2016/12/14

価格:¥2,000(税別)

IN YA MELLOW TONE iTunes

 

 


 

■ IN YA MELLOW TONE TOUR with Stehph Pockets


 2017/01/29(日) 渋谷 Glad

OPEN & START 18:00 / ADV¥3,500 DOOR¥4,000

【LIVE】Steph Pockets / and more!

【DJ】DJ PIRO / SASAKI JUSWANNACHIL / and more!

%e3%83%aa%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%82%9a%e3%83%bc%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%83%95%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%a4%e3%83%bc