2017
01.04
Portrait of a handsome young man listening to music

【BLOG】祝20周年!見続けたから語りたい”Skoop On Somebody”

ARTIST, BLOG, VIDEO

いま日本では星野源やSuchmosなどブラックミュージックのフレーバーを感じる音楽が大活躍している。もしかしたらブラックミュージックがどういうものかということを考えながら聴いている人は少ないのかもしれない。だが少なくとも能動的にこの記事を読んでくれている人には、昔のぼくがそうであったように1つのきっかけとして、日本におけるブラックミュージックを語る上で外せないであろうバンドを紹介したい。

2017年2月21日をもってデビュー20周年を迎えるSkoop On Somebody。2011年にはドラムのKO-HEYが脱退し、現在ではボーカルのTAKEとキーボードのKO-ICHIROの2人で活動している。ぼくが能動的に音楽に関わり深く没頭していくきっかけになったのは彼らの音楽だった。
出会いは高校1年のとき。ローカルテレビ局の深夜にあった番組で『eternal snow』のミュージックビデオを観た。番組といっても出演者がいるわけではなく、放送終了までの数分間ミュージックビデオを流すといった言わばエンドロール的なものだ。
彼らのバンドとしての魅力から言えば、MISIAや平井堅のプロデュースなどで有名な松原憲を作詞・作曲・アレンジ・プロデュースという制作の根幹に迎えたこの曲は、彼らの代表曲とは言い難く商業路線とも言えるものだった。それでも音楽の世界がトップ10チャートに収まる広さしかないと思っていた15歳のぼくには十分に魅力的で、約半年後に出たアルバム『Key of Love』を買い愛聴していた。そのアルバムは今でも聴いている。

 

 

 

インターネットの普及はリスナーのアンテナを退化させたと思う。当時情報を得る手段は専らテレビ番組か雑誌で、インターネットは今ほど生活の一部にはなっていなかった。それが20年近く経って情報を得る手段はインターネットに変わり、雑誌のような紙媒体のメディアはこういったWEBメディアにシフトしていっている。リスナーは発信されてくる情報を意識的に受け取らなくてもPCやスマホなどで検索すれば欲しい情報は手に入れられるようになった。その結果、能動的に関わりを持とうとする人間以外は自分の中にある情報でしか関わりを持たなくなり、そのアンテナを退化させた。
もしかしたらこれを読んでくれている人は「テレビやラジオがあるじゃないか」と考えるかもしれない。しかしオリコン初登場54位の曲をピックアップするテレビやラジオが今どれくらいあるだろうか。
まだ音楽市場が今ほど絶望的ではない時代、しかもまだまだ多感な思春期に、ポピュラー路線の曲とはいえ彼らに出会えていたことは、ぼくが音楽と関わっていく上でとても大きかった。彼らのフェイバリットやカバー曲を聴けばルーツを知ることができたし、そのエッセンスを昇華した曲はこういう音楽が世の中にはあるということも教えてくれた。インターネットがまだ普及していなかった世の中においてこのことは音楽をより深く掘り下げるための、当時のぼくからするとあまりにも大きな糸口だった。

 

 

上でも少し触れたが、彼らの魅力はパフォーマンスはもちろん、作詞・作曲・アレンジ・プロデュースに至るまですべて自分たちで完結してしまうオールラウンダーぶりだ。一般的にはセルフ・コンテインド・バンドといわれ、高いレベルでの音楽の咀嚼が必要なため日本人では珍しい。
彼らがその片鱗を見せるのがシングルのカップリングやライブパフォーマンス。『club S.O.S.』と題された、できる限りミニマムな、ほぼメンバーだけで演奏されるアレンジがある。引き算のシンプルな構成から奏でられる音は、パフォーマンスにおいてもアレンジにおいてもごまかしの利くものではなく、この形態で聴く彼らの音楽が1番素晴らしいと思えるくらいには完成されてプロデュースされている。

 

『club S.O.S.』アレンジの楽曲が多く収められたコンセプトアルバム『undressed〜club SOS〜』

15年来のファンとしてはここで動画で紹介したような曲ではなく、彼らが影響を受けたブラックミュージックの色を見せる曲をぜひ聴いてほしい。

前身であるSKOOP名義での3枚のアルバム『SKOOP』『Mood 4 Luv』『Where do we go』では当時珍しかったブラックミュージックバンドとしての彼らを見ることができる。3人での最後のアルバムとなった『SKOOP ON SOMEBODY』は、長らくポピュラーミュージックの一部になってしまっていた彼らを払拭し、心地いい「聴後感」が得られる記念碑的なアルバムだった。

 

3人での最後のアルバムとなった『SKOOP ON SOMEBODY』

 

ぼくは今でも彼らが大好きだ。だからこそ彼らに、また取り巻く環境に思うこともある。もうぼくを音楽に引きずり込んだ彼らの音楽は聴けないのだろうか。
前身SKOOP時代に出した3枚のアルバムは恐らく今ならリリースできていないだろう。どんなに面白いルーツを持っているミュージシャンも商業路線の音楽にされ送り出される時代である。日本では希少なバンド形態でのブラックミュージックもまた時代の移り変わりとともにポピュラライズされてしまった。
2000年前後の彼らは間違いなくカッコよかった。