2017
01.05
Bearded hipster playing acoustic guitar in nature

映像的音楽を奏でるmol-74がアコースティックライブをやる意味

ARTIST, BLOG, VIDEO

独特の世界観でファンを増やしているmol-74(モルカルマイナスナナジュウヨン)が、2017年1月、初の単独アコースティックライブを行う。 彼らの音楽を一度でも耳にしていれば、「なぜアコースティックライブなのか」と疑問を持つだろう。mol-74最大の魅力が、繊細で美しい音風景と共に紡がれるストーリーにあるからだ。音数が減ればその分、風景は描きにくくなる。

 

mol-74初の全国版アルバム『越冬のマーチ』(2015年1月)は「冬」をテーマに、聴く者の聴覚から視覚をジャックした。収録曲の中には音風景を徹底的に追及する音づくりの原点、『赤い頬』がある。 楽曲制作はフロントマンである武市和希が骨組みを作り、そこから井上雄斗(Gt/Cho)、坂東志洋(Dr/Cho)と共にメンバー全員で肉付けして曲を完成させている。『赤い頬』は武市が描いた風景にメンバーが共鳴し、その過程でmol-74の特徴との言えるあのファルセットボイスが鳴った。

 

 

例えどれほど素晴らしい曲を武市が作っても、音風景がメンバー全員で合致しなければ未完となる。メンバー全員が観たサウンドエスケープだから、聴き手は彼らの音楽に映像を観る。そして曲のストーリーに酔い、まるで一本のショートフィルムを観ているような感覚に陥るのだ。

 

音楽を始めたばかりの頃の武市はASIAN KANG-FU GENERATIONやBUMP OF CHICKENに触発されており、自然、J-ROCK色が強い楽曲を好んでいた。その後、COLD PLAYを入り口に洋楽の魅力にハマり、アイスランド出身のシガー・ロスへと辿り着く。そうして、澄んだ氷の中に暖かいものが隠れているような、そんなmol-74の音楽が生まれた。

 

 

 

『越冬のマーチ』の次作『まるで幻の月をみていたような』(2015年11月)から、彼らの音楽は広がりをみせる。サウンドエスケープに付随するエモさが深みを増して、聴き手の心にふわりと触れる。曲調もバラエティに富んでいて、武市の愛する北欧音楽からどこか新しい世界へと足を向ける様子がうかがえる。

 

 

 

次のアルバム『kanki』(2016年8月)では外へと駆け出すような楽曲が発表された。 シガー・ロスから影響を受けた内向的な雰囲気や透明感、繊細さを抱えたままJ-ROCKへと変身したとでもいうべきか。『越冬のマーチ』からいきなり『kanki』を聞けば、取り残されたような感覚に陥るかもしれない。

 

 

『kanki』には、「喚起」「歓喜」「換気」など様々なメッセージが含められているが、彼らにとっての音楽が「歓喜」であるならば、道半ばの「ki→kan(帰還)」を意味しているアルバムなのかもしれない。 J-ROCKの影響を大きく受けた時期から北欧音楽を感じさせる楽曲へ移行し、音楽の厚みを増して原点へ帰還する。「帰還」はスタート地点となり、ここからmol-74が次のステップへ進んでいくのではないだろうか。

 

武市はアコースティックライブにあたって「曲の原点を知ってほしい」と語っている。 彼らの楽曲づくりの原点を知る機会になるだろうし、音数が極限まで消失したサウンドからmol-74のルーツを感じることが出来るだろう。 新しいステージへと向かう彼らだからこそ、ここで原点を披露する必要があるのだ。

mol-74初の単独アコースティックライブ『mol-74 acoustic one-man live』は2017年1月から京都・大阪・東京で開催される。