2017
01.15
Berlin, Germany – October 7, 2016: Memorial plaque to David Bowie to his former home in Berlin Schoeneberg. David Bowie lived from 1976-1978 in the house in the Hauptstrasse 155.

デヴィット・ボウイが教えてくれたこと

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ロレンハーゲンは“死においては全てが平等”って言うけど、嘘だと思う。だって2016年を振り返った時に「誰の死が一番ショックだったか」と考えてしまうし、私の場合は「デビット・ボウイだ」と即答してしまう。スターは死んでも平等じゃない。

デヴィット・ボウイといえばスターダストだろうか。それともレッツダンスだろうか。 私にとってのデヴィット・ボウイはコレだ。

 

 

<映画『ベルベットゴールドマイン』ネタバレなあらすじ>

狂言自殺をしてファンを失望させ失踪した伝説のロック歌手、ブライアン・スレイド。彼について調べ始める記者アーサーはかつてブライアンの熱狂的なファンだった。アーサーはブライアンの活躍していた70年代へ想いを馳せつつ、やがて現代の国民的ポップ歌手トミー・ストーンがブライアンなのではないか疑いを持つ—

 

この映画に登場する伝説のロック歌手ブライアン・スレイドのモデルはデヴィット・ボウイだ。 デヴィット・ボウイはグラムロックの代表格に成り上がるも次々と新しい挑戦を続け、アクターでミュージシャンでファッショニスタ、そしてベルリンでは平和のメッセンジャーとなり、大衆から愛されるスターになった。しかしこれは寛容的な見方だ。熱狂的なファンからすれば彼の挑戦は裏切りでもあったわけだ。

『ベルベットゴールドマイン』ではブライアン・スレイドが公然と男同士で愛し合い、その姿に主人公がセクシャルマイノリティを自覚していく様が描かれている。デヴィット・ボウイもかつてイギー・ポップと噂になっていたし、70年代を共にした元妻アンジーによればデヴィット・ボウイとミック・ジャガーはベッドイン済みだ。この映画の監督であるトッド・ヘインズはゲイを公言しており、映画の主人公と共通するところがあったのだろう。だから映画ではブライアン・スレイドを狂言自殺させたのだと思う。それクラスの失望感を抱いたに違いない。この映画はデヴィット・ボウイへの強烈な愛憎劇だ。

 

この映画がきっかけで私はデヴィット・ボウイの生き様に興味を持った。そして、なんてタフなのだろうかと感嘆した。よく「人に嫌われる勇気を持ちなさい」なんて言葉を耳にするけれど、デヴィット・ボウイの場合は好きと嫌いが表裏一体であることを体現していた。だからデヴィット・ボウイは人から嫌われるのを厭わずにやりたいことをやった人にも見えるけれど、人から好かれたい怖がりなエンターティナーにも見える。どちらにせよ、彼の生き様で明確なのは、彼が「新しいことをやる」のをやめなかった点だ。

新しいことをやる為には情報を仕入れるアンテナが必要なわけだから、常に自身のセンスを高感度に研ぎ澄ませておかなければならない。それから勉強も努力も勇気も必要だ。そういうものが揃って初めて「新しいこと」ができるのだと思う。 「さあ、やってみよう」という、その一歩を踏み出すことの大切さ。それがデヴィット・ボウイが教えてくれたことだ。