2017
01.29

サブスクリプションは我々の味方か!? -定額サービスで聴ける入手困難盤をピックアップ

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夜な夜な名盤の噂を聴きつけ、匂いを嗅ぎつけ、検索にかける。リンクをクリックする。最高の音楽体験はすぐそこだ。期待に三半規管を膨らませながら商品ページを開く。

 

だがあろうことか、その名盤には出品者のタイプミスではないかという値段が付けられている…

良質な音楽に飢えた愛好家なら何度も体験してきただろう。その名盤はいわゆるレア盤だったのだ。

 

初回プレスのロットが少なすぎたのか、何年もの時を経て膨大なCDのガレキの中から奇跡的に再発見・再評価されたのか、不運にも良質であるがゆえに法外とも思える値段が付けられた入手困難盤たち。

誰にでも同じ値段で同じ質のものを提供できるという稀有な芸術体系こそが音楽の真髄であるにもかかわらず、資本主義のヘドロの中でそんな値段が付けられてしまったのだ。仮に高い金を払ったところでミュージシャンにもレコード会社にも儲けはない。転売屋たちが二重アゴを揺らしてほくそ笑むだけだ。

あまりの不条理に、「違法ダウンロードでもしてやろうかな」なんて魔が差すのも無理からぬ話。
だが、今や違法な手段に訴える必要は無い。時代の潮流は音楽愛好家の望む方へ流れている。

配信そしてサブスクリプション(定額)音楽サービスの登場である。

 

ここで、一般音楽市場で高値が付けられているものの、配信乃至定額サービス内で自由に楽しめるようになった名盤たちをいくつかご紹介しよう。

※尚、今回はサービスの有用性を強調したいためなるべく有名な盤からチョイスした。ミーハーだ。などという批判はご遠慮いただきたい。(参考価格は1/13時点でのamazonの価格を参照した。)

 

『CITY FOLK』/LEO今井

参考価格¥48,000

今やMETAFIVEにて高橋幸宏、コーネリアス、テイトウワといったビッグネームたちと文字通り肩を並べるようになったLEO今井のファーストアルバム。

当初から注目株ではあったものの、まさかデビューから10年ほどでここまでくるとは本人も思っていなかったであろう。

常軌を逸した価格設定だが、始まりから彼のスタイルが確立されていたことがまざまざと聴き取れる名盤である。

 

『サッポロOMOIDE IN MY HEAD状態』/NUMBER GIRL

参考価格¥9,258

説明不要のナンバーガール、ラストアルバム。THA BLUE HERBにも言及した札幌ならではのMCからの、代表曲「OMOIDE IN MY HEAD」への流れは今も語り草である。

しかし、当時のライブチケットの三倍の値段だ。

 

『100% RAP』/鎮座DOPENESS

参考価格¥7,945

フリースタイルで大いに名を馳せた鎮座DOPENESSだが最初から彼の真骨頂は練りに練ったリリックにある。

その始まりから誰にも似ていないオリジナリティの塊であったことを証明できる名盤。

 

『詩種』/スガダイロー・志人

参考価格¥7,662

ジャズピアニスト、スガダイローのピアノに乗せてラッパー志人の言葉が踊る唯一無二の作品。

ジャズを元ネタに使うラッパーは数多居ても、実際ジャズのリズムにリリックを乗せられるラッパーはそういない。

 

『あかりfrom here』/clammbon feat THA BLUE HERB

参考価格¥8,000
この作品に関してはアルバムではない。カップリングすらない1トラックシングルである。

日本のヒップホップの王座に座す王者の王者らしからぬ慈愛に満ちたリリックとこのリリックにを乗せられるのはこの音だけだろと言い切れるクラムボンのサウンドとコーラスワーク。

定価は¥500だったと記憶しているが、上乗せされた1,500%の”税金”は誰の懐を温めているのか。

クラムボンのアルバム「2010」収録。

 

いかがだっただろうか。数年前までは泣く泣く諦めるしかなかった名盤たちも今や庶民の耳の届くところで鳴っているのである。

 

ただ、プレミア価格がついていてもまだデジタル配信されていなかったり、iTunesなどでは単体販売されていてもApple Musicの定額サービス内では聴けない、というような楽曲もたくさんある。

この、まだ新しい定額サービスという流れが、これからより大きな奔流となって法外な取引を淘汰してくれることを願うばかりである。

 

文/沢田シュウ