2017
05.06
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リック・ロスに認められたラッパー・Isa Muhammadとは

ARTIST, BLOG, VIDEO

ヒップホップの軸となるものは成り上がりだ。ゲットーのような状況からスキル一本でのし上がることが美徳とされている。この考えは黒人への人種差別と貧困が激しかった70年代ヒップホップ黎明期から続くいわば伝統のようなものだ。バイヤーになるかラッパーになるかという究極の選択を迫られていた時代だ。現在は過去ほど過酷ではなくなったものの、成り上がりは受け継がれている。今回紹介するIsa Muhammadも、そんなサクセスストーリーの序章にいる。

まずは純粋に音楽を聞いて欲しい。

 

 

昨今のヒップホップの流行でもある、トラップ系のサウンドにも軽やかに乗り、耳の中で跳ねるようなフロウを見せている。それだけではなく、声の緩急も気持ちよく、ドープの一言に尽きる。何より気になるのは、フューチャリングにいるリック・ロスの存在だ。スモーキーで唯一無二の王者の風格さえ感じる声、ファットなフロウといい、曲に絶妙な合いの手を入れている。しかし、その中でも全く押されることなく渡り歩いているIsa Muhammadも中々のもの。

次にあげる曲はLowなサウンドにスモーキーなフロウが絶妙だ。

 

 

今度はこの曲を聴いてみて欲しい。ハーフスネアなど流行を積極的に加えたLowなサウンドに、Isa Muhammadのスモーキーで聴き応えのある歌声がバッチリとハマっている。それだけではなく、感情表現も豊かでフロウが平坦ではなく、聴いてて楽しい。コレほどまでにスキルフルなラッパーではあるが、現在ほぼ無名だ。なぜこの無名なラッパーの曲にリック・ロスがフューチャリングしているのか。その謎を紐解いていこう。

 

 

Isa Muhammadは元ホームレスだ。Isa Muhammadもアメリカの貧困の波に飲まれ家を失い、食もままらない人物の1人だった。そんなIsa Muhammadはカリフォルニア州のヴェニスビーチにいた時に運命を変える出会いをする。その人物こそリック・ロスだ。

たまたまカリフォルニア州のヴェニスビーチに訪れていたリック・ロスに、Isa Muhammadは群衆を集めリック・ロスに対し、フリースタイルラップを始めたのだ。その時の映像が下記のものだ。

 

 

動画は3分もある。その間Isa Muhammadはほとんど止まることなくラップをやり続けている。そのラップにもヴァイブスだけではなく、韻やフロウなど持てるスキルを余すことなく出している。その様子をリック・ロスはくさすことなく聴き続け、時折賞賛の混じった笑みを見せているのがわかるだろう。

 

 

3分にも思うフリースタイルラップ。持てる限りを出し続ける姿。リック・ロスもプロフェッショナルだ。ただしゃべるだけのラップで動かせるような人物ではない。しかし、Isa Muhammadはそんなリック・ロスをスキルフルなラップで認めさせたのだ。そして、Isa Muhammadはリック・ロスの持つインディーレーベル『MMG』との契約を掴み取り、ホームレス生活から別れを告げた。

 

Isa Muhammadは2016年の終わりにMMGと契約することとなった。しかし、重要なのはそこから同活躍するのかということだ。まだここまでの物語はサクセスストーリーの序章に過ぎない。これからIsa Muhammadがどんなストーリーを作るのかに注目だ。

 

文 / 海金ヒロキ