2017
05.24
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コリーン・クラーク『アズ・ザ・クロウ・フライズ』 – ひとりの女性の濃密な8年間を綴った記録 –

ARTIST, BLOG

コリーン・クラークは、アメリカの女性シンガーソングライターで現在32歳(1984年8月生まれ)。ミュージシャンであると同時にプロのオーディオ・エンジニアでもあり、現在もメリーランド州のソールズベリー大学で学生達にオーディオ・エンジニアリングを教えている。

『アズ・ザ・クロウ・フライズ』は、コリーンが29歳のときにリリースしたファースト・アルバムだ。1曲を除いてすべてが彼女のオリジナルであり、プロデュースからミックスまでも自分で行っている。「このアルバムを作るまでの8年間、私は普通じゃない時間を過ごしてきた。これはその間に書きためた曲のコレクションなの」とコリーンは言う。

自然体の歌と演奏。秀逸なメロディーライン。自叙伝的な歌詞が胸をちくりと刺す。それぞれ違う時期に書かれた歌は、異なる表情を浮かべながらも、共通した空気をまとっている。その空気とは、自らの過去に向けられた暖かなまなざしだ。コリーンはこのアルバムを通じて、過ぎ去った日々を振り返り、受け止め、未来の希望へと繋げることに成功している。

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彼女は歌う。「ひとりぼっちにしないで」と。あるいは「他の誰かをさがして」と。そうした逡巡を繰り返した後、彼女は自分を許してくれた人に告白する。「あなたの存在がこの雨を降らす理由。夜が昼に変わる理由。私がずっとさがし求め、離れることのできない理由」と。出逢いと別れがあり、やがて雨は上がる。そしてラスト。彼女は車を走らせている。きっと天気の良い爽やかな1日で、窓を開けて風を感じながらハンドルを握っている。「私たちはラッキーよ」というフレーズが繰り返される。隣りには誰かいるのだろうか?それともひとりなのだろうか?それはわからない。ただわかるのは、彼女が成長したということだ。

サウンドはシンプルなのに豊かで、言いようのない柔らかな空気がアルバム全体を包んでいる。歌は始まると風のようにそよぎ、終わるとまた元の場所に戻ってくる。このアルバムを聴くたび、僕はひとりの女性の人生の一部を旅したような気持ちになる。それはポジティヴなメッセージとして、心を柔らかな光で照らすのだ。

アルバム・タイトルの「アズ・ザ・クロウ・フライズ 」とは「2点間の最短距離」という意味の慣用句だ。しかし、歌詞にこのフレーズが直接出てくる曲はない。コリーンにタイトルの由来を訊ねると、彼女はこんな風に答えてくれた。「ここに収められた歌はどれも私の人生の中の特定の場所、特定の感情、特定のフィーリングにダイレクトに繋がるルートのように思えるの。このタイトルはそのことをうまく表していると思う」と。なるほど。やはり音楽はすべてを超えてゆけるのだ。

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【リリース情報】

アルバム:『アズ・ザ・クロウ・フライズ』(As the Crow Flies
アーティスト:

Colleen Clark
価格:2,315円+税
ライナーノーツ:宮井 章裕
歌詞対訳:佐藤 幸恵

<購入・試聴>
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