2017
06.17
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【pick up】Doe Boy ―オハイオ発アトランタ経由のTrap男―

ARTIST, BLOG

Trapサウンドが発祥の地アトランタを飛び出し、全国的なヒップホップの主流となって4年近く経つだろうか。この流れはピークを越え、すでにやり尽くされた感すら漂い出した今日この頃。当のアトランタのラッパーやプロデューサーたちも、各々にサウンドを発展させ始め、かつてのような”どれを聴いてもTrapばかり”な状況は終わりつつある。

 

このように数年おきに主流となるサウンドが移り変わっていくのが本場のヒップホップの面白さではあるが、同時にこのサイクルの速さを寂しく感じる人も少なからずいるはずだ。まだまだあのダークでダーティな、アトランタ直系のTrapを掘り下げたい…そんなコアなファンにおすすめしたいのがこの男、Doe Boyだ。

 

 

オハイオ州クリーブランド出身で、2012年よりアトランタの人気ラッパーFutureが主宰するレーベル、Freebandzに所属しているDoe Boy。今年4月にMVが公開されたこの曲は、レーベルメイトであるDJ Escoとの共演曲。ビートを手掛けたのはEscoではなくYung Cokeというプロデューサーだが、彼もまたEscoと同じくアトランタを拠点にしている人物。地元勢なだけあり、純度100%なTrapサウンドを聴かせている。

 

更にほぼ同じタイミングでDoeの新作ミックステープ”Codeine Confessions”がリリースされており、こちらでもまだまだ同様のサウンドが楽しめる。中でもレーベルメイトのYoung Scooterを招いた“Kick A Door”での不穏な空気は、両者のサグなキャラクターをより一層引き立てる。これまでTravis PorterやPeewee Longwayなど、やはり”そっち側”のラッパーを多数手掛けてきたTimmy Da Hitmanとの相性も抜群の一曲だ。

 

 

一方で、過去には意外な組み合わせとも思えるMachine Gun Kellyとの共演も。共に地元はクリーブランドであるため、同郷同士のコラボと言ってしまえばそれまでだが、MGK寄りの雰囲気の中抜群の異物感で切り進むDoeのフロウは痛快。この起用でねちっこいラップは、格上ラッパーたちを相手にしても十分張り合えている。

 

 

Trapがシーンに定着・定番化し、主要なア-ティストはほぼ出尽くしたと感じている国内のヒップホップファンは多いだろう。だがDoe Boyのような中堅クラスのラッパーでありながら、日本ではあまり知られていない存在はまだまだいる。

アトランタ関連の動きに飽きたと言うには、少し早そうだ。

 

         文/ Kaytee Da Shade