2017
07.05
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【pick up】多様性は美しい。Bhi Bhimanから見えるUS原風景

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2017年2月、あるニューヨークのレストランのレシートが俄かに話題となった。トランプ政権の移民政策により世論が紛糾していた(今もしてるが)時期である。レシートの末尾にはこんなメッセージが印字されていた。

 

「移民がアメリカを偉大にします。今日の料理を作ったのも、お出ししたのも移民です」

 

アメリカ新大統領の支持者にしろ反対者にしろ、「移民がアメリカを偉大にする」というこの文言を安易に否定することはできないだろう。もちろん、当記事で異国の政治を云々するつもりは毛頭ない。とはいえ、Bhi Bhimanの音楽について思う時、どうしても上記のエピソードが思い出されるのである。

 

 

Bhi Bhimanはアメリカのシンガーソングライターで、Hippie Grenadeというバンドでの音楽活動を経て現在は主にソロで音楽活動を行っている。やや耳慣れないその名前から察せられる通り、スリランカにルーツを持つ移民の子である。

 

音楽的なルーツとしてはBlack SabbathやAC/DC、グランジシーンからの影響があったそうだが、現在の彼のサウンドを聞けば、全体を通して非常に穏やかな音像で彩られており、どちらかというとそのサウンドから見えてくるのはジャズ、カントリー、ブルーズのような「古き良きアメリカ」のイメージである。

 

と言っても、上記のような現在のスタイルと比較すると意外な気もする音楽的ルーツの片鱗は下記の”Moving to Brissels”のPVのオープニングで垣間見ることができる。(ビデオの内容は映画『セッション(原題Whiplash)』のオマージュで偏執的な音楽教師から不条理なほどのシゴキを受けるというもの)

 

 

確かに、Bhi Bhimanがギターで奏で歌うその憧憬は王道のアメリカ音楽そのものだ。生まれも育ちもアメリカだそうなのできっとそれが当然なのだろう。とはいえ、どこにルーツを持つ者であっても受け入れてきたかつてのアメリカの寛大さが、彼の音楽を通してなんとなく見えてくるような気がするのは私だけだろうか。

 

文 / 沢田シュウ