2017
08.07
Male teenager Sitting alone on a bench in the park under a tree .

反“破壊”、iiahが継ぎ合わせるロックミュージックの風景

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ロックミュージック、特にパンクロックというものは破壊を是とする特異な芸術体系であり、SHAM69が“Kids Are Unite”でしたように、ごく稀に融和と友愛を説くバンドもあったものの、全体としては体制や価値観への破壊を試み、最終的には自らを破壊して終わってしまったムーブメントとも言える。

 

そのようなムーブメントが長く続かないというのは自明の理であるが、腐りゆく果実が中に種を宿しているように、それらの終わってしまったロックミュージックも後に新しい価値を残しているのではないか、iiahの音楽を聴いてふとそんなことを考えてしまった。

 

 

iiahは2013年に結成され、オーストラリアのアデレードを拠点に活動する、Tim Day (Vo, Key)、 Matthew Stedman (Dr, Vo)、Nick Rivett (Gt),、Ben Twartz (Gt,Vo),、Luke Lendrum (Ba,Vo).の5人によるポストロック/マスロックバンドである。

 

今年2017年にフルアルバム「Distances」をリリース。全6曲と書くとやや短そうな印象を受けるが5分から8分ほどの楽曲で構成されているためボリューム不足は全く感じない。一つ一つの楽曲がエレキギターのアルペジオを中心に丁寧にじっくりと組み立てられ、深められていく様子はGodspeed You! Black EmperorやMogwaiなどを彷彿とさせるかもしれない。

 

 

中心的な役割を担う4曲目“Kintsugi”は日本の“金継ぎ”を指すと思われるが、この“金継ぎ”というのは割れた、あるいは割った陶器の器を文字通り金でつなぎ合わせ、以前とは違った形で器として再生させるという技法である。(Death Cab For Cutieに同名のアルバムが存在する)

 

iiahは金継ぎのようにロックミュージックの先人たちが散々にぶっ壊した価値観、ないしはロックミュージックそのものをあえてつなぎ合わせて再生させようとしているのでは…というのは些か飛躍した憶測だろうか。

 

ともかく、既存のロックミュージックとは大きな隔たりを感じるこのニューカマー、これからの展開にもぜひご注目いただきたい。

文 / 沢田シュウ