2017
08.17
Static noise on the old TV screen in the dark.

10年代のポストパンク・Destrends、原点回帰の3ピースで

ARTIST, BLOG, VIDEO

ポストパンクの代表格というとやはりイギリスのジョイ・ディヴィジョンあたりが真っ先に思い浮かぶが、今回はそのイメージを裏切らない2010年代の南半球発のポストパンク・バンド「デストレンズ」をピックアップする。

タイトなジーンズにドクターマーチン、歪んだギター、ジョイ・ディヴィジョンのイアン・カーティスを彷彿させる低いトーンで抑制の効いたボーカル。デストレンズは、ベースボーカルのマット・サベージとドラムのネイサン・サベージ兄弟と、ギターのビリー・ワッツによるスリーピースのインディーバンドで、オーストラリア南東部の都市メルボルンを拠点に活動中だ。

 

 

決して速い曲でなくともドライブ感のあるベースが体に心地よく響く。1970年代後半から80年代の仄暗いポストパンクのエッセンスをふんだんに盛り込んだ曲が多く、歌詞の方も「パパ、嫌いにならないで/あなたが必要だから」(Papa)、「あなたが死ぬ日、私を思い出して欲しい」(Lousy Lover)など、ちょっとダークなテイストだ。イアン・カーティス風の「病んだ」個性を持つ、聴く人によっては不快感さえ呼び起こすような世界観を、シンプルなポストパンク・サウンドが妖しく彩る。それでいて下品でも下劣でもない、どこか高貴な孤高さまで称えているのは、ベースボーカルのマットの個性ゆえかもしれない。
彼らは現在、新たなアルバム「ラウジーラバー(Lousy Lover)」を携えて、オーストラリア東海岸の各都市をめぐるレコ発ツアー中だ。

 

 

 

ダウナーな印象の曲が多い一方、元祖ポストパンクといえばレインコーツやトーキング・ヘッズのような奇妙な明るさをまとったバンドもある。デストレンズの「マイフレンド」のイギーポップのような上半身裸のビデオクリップなどは、振り切った明るさに溢れた仕上がりになっている。ボーカルのマットは真っ白な部屋で「新しい親友ができたよ/頭の中にいるよ」と繰り返しながら無数の黒い風船を蹴散らす。

 

 

 

 

ポストパンクと一言で表しても、そこにカテゴライズされるバンドのカラーはさまざまだが、その多くの要素を取り込み消化し、完全に自分たちのものにしているデストレンズは、現代の音楽シーンにおいては稀有な存在かもしれない。いそうでいない存在感、とでも言おうか。

彼らの楽曲の全容は視聴サイト・サウンドクラウド(https://soundcloud.com/destrends)であますことなく確認することができるが、YouTubeで観られるライブ動画も、現地での生演奏の空気を肌で感じられ、デストレンズの鬼才ぶりにより深く触れることができそうだ。

文 / 水田真梨

 

【Destrends関連情報はこちら】

Bandcamp: https://destrends.bandcamp.com

Facebook: https://www.facebook.com/destrends/