2017
08.27
Iced Coffee and Espresso in Warm Cafe

珈琲と音楽〈2〉アムステルダムよりNosoyoの涼風とコールドブリュの深み

ARTIST, BLOG

米国仕込みのサードウェーヴコーヒー界隈からよく聞こえる“コールドブリュ”とは、いわゆる“水出し珈琲”のことだ。水分を全体に染み渡らせながらじっくりと抽出する製法だから、水出しで作ればたいていの珈琲はうまくなる。僕が本当の意味で珈琲に惚れこんだのも水出し珈琲だった。

 

レトロな喫茶店/Ordinary coffee shop

 

僕が個人的に気に入っているのは、マンデリントバコの水出し珈琲だ。一般的に“マンデリン”とはインドネシアはスマトラ島で作られるアラビカ種のことをそう呼ぶことが多いが、中でもトバ山噴火によって生まれた火山性土壌で生育された、ちょっと特別な豆は“マンデリントバコ”と名付けられている。

 

Hills and fields in golden evening light, close to the gorge of the Harau valley

 

酸味や苦味よりも深いコクとスパイスのような香りが特徴で、夏になると、僕はマンデリントバコを馴染みの店で丁寧にシティローストしてもらった豆を自宅の簡易装置にセットする。より全体に染み渡るように、水とセットする前に少量の水で全体滝に水分を行き渡らることが店主に教わったやり方だ。

 

水出し

 

3時間もすれば水出し珈琲は出来上がる。その後、冷蔵庫で熟成させて見たり、空気を含ませて見たりして、香りの開きや口当たりの変化をチビチビと、その時々で楽しむのだ。まるでブランデーのようなまろやかさと香りに衝撃を受けた僕は、以来珈琲の虜になった。まるでワインだ。

 

Beautiful view with cup coffee

2017年も夏の終わり、例えば僕が、音楽と共に熟成されたマンデリントバコを楽しむのなら、夏の終わり(8月30日)にリリースされるTempalayの2ndアルバム『from JAPAN2』だろうか。

そしてもう一枚は、アムステルダムから届けられたNosoyoのデビューアルバム『Resonate』をパートナーに迎えたい。この作品は2017年春前にリリースされたものだが、オランダからドイツなど、ヨーロッパを自在に巡るバンドの性質が音に表れるように、Nosoyoの作風は日本の節季にもよく似合う。

 

 

ヴォーカル/ギターのDonata Kramarzの歌声からは時代を選ばない天性のポップネスが、ドラムス/サンプリングのDaim de Rijkeは、先進性と実験性が相まって“現代”を示す。彼らの熟成されたミックスマジックは まるで熟成された“トバコ”だ。

2017年の夏もやがて別れを告げていく。変わりゆく目の前の景色と風のニオイを感じる夜長には、是非Nosoyoにそばにいてほしい。…今年の夏も無事で何より。

 

文 / 田中 サユカ