2017
09.06
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【INTERVIEW】鳥クルッテル.incが描く、音と空間とカルチャーと。

ARTIST, INTERVIEW

異色のサラウンドDJイベント「渡り鳥」を主催していることでも話題になった “鳥クルッテル.inc”が、また新たなプロジェクトを始動させた。それは“インスタレーション”による音楽表現、という試み。それは果たして、直前まで行なっていたイベントプロジェクトとどう繋がっているのか?いや、そもそも”鳥クルッテル.inc“とは何なのか!?

そんな尽きぬ疑問を抱えながら、都内で展示会「Kachōfūgetsu 時鳥 〜トキドリ〜」の準備に没頭するJimi&インドウコンビの元へと急いだ。

取材・文 / 田中 サユカ

 

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( 写真: 左/インドウ 右/Jimi )

 

——インドウさんは音楽に関わるあらゆる分野を経験されているんですね。演奏までも!

 

インドウ そうですね。今までは演奏以外全部やってきたんですけど、流れというか、演奏もするようになってしまいましたね(笑)。

 

——何をしている時の自分が一番好きですか?

 

インドウ うーん…頭を使うのはマネージャーをやっている時、フィジカルを使う時はバンドをやっている時。この“鳥クルッテル.incに関しては、本当に素の自分でやっていますね。もちろん、それぞれのプロジェクトは意義のあるもので、大切にしているんですけどね。でもこれ(鳥クルッテル.inc)は普通に生活の延長線上にあるもだから続けて行けるんだとも思うんですよね。Jimiちゃんによって面白い生き方をさせてもらってる感じですね。

 

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——様々なものに挑戦されてきたわけですが、揺るぎない理念というか、ずっと核にあるものは?

 

Jimi とにかく僕はツーカーが好きなので、彼とやることが大前提。もちろん一つ一つのプロジェクトで誰かの助けを借りたり、参加者と一緒に作ってる意識はあるんですけど、“鳥クルッテル.inc”に関しては彼と二人でやるって決めている。なので これからも面白いと思ったことをどんどん僕たちのフィルターをとおしてずっとやっていきたいですね。

 

——この展示の前にDJイベントを全国で開催されて、東京でも大成功しましたね。

 

Jimi ありがとうございます。メルマガの登録数が定員を満たした地域から開催することにしたんですけど…まさか北海道が最初とは!でも、北海道にはライジングサンもあるし、サカナクションなど北海道から出てきている優れたミュージシャンも多いので、音楽が好きな土壌はしっかりあるんですよね。

 

 

——日本の音楽をかけているのには、こだわりがあるのですか?

 

Jimi まずはロックって、基本的に前にスピーカーが二つしかないから、サラウンドを体験してもらうのにはわかりやすいかな、と思いますね。

 

インドウ 実際に場を作るとなったときに、我々ができることがロックだった。それに、ロックンロールが鳴っているところは基本的にその場にいる人を全て肯定してくれるしね。個人的な印象としては、日本のロックで海外の人が楽しんでくれたら、それはとても幸せなことだな、と思いますね。

 

——これからもその“縛り”は続いていくんですか?

 

インドウ そういう部分は大事にしていきたいですね。今後はきっと歌詞のない音楽なども扱っていくんでしょうけど、それはまた「渡り鳥」とは別のフィールドでやりたいな。

 

——“邦ロック”とは、今となっては非常に難しい分け方なようにも思えますが、インドウさんにとっての日本のロックとは?

 

インドウ 国境はほとんど溶けていると思うんですよね。グローバルに活動されている方もとても多い。でも、わかりやすく言えば“日本人のアーティストがクリエイトしているもの”。歌詞の言語にはこだわっていないですね。日本のロックをサラウンドに落とし込む体験はとても面白いですよ!

 

——オリジナリティのあるコンセプトですよね。

 

Jimi 実は日本と外国の音の違いって、話し始めたらきりがないくらい僕らには確信めいたものがあるんですけどね(笑)。話を渡り鳥に戻しますがこのイベントには音楽が大好きで気持ちの優しい人たちが好奇心を持って集まってくれる。そこで良好な人間関係が築けて良い空間が生まれる。

自分達が本気でやっていることを受け止めてくれる人達がいっぱいるところの素晴らしさは、感動しましたね。北海道の他にも大阪…

 

インドウ 台北(タイペイ)もね。

 

Jimi 以前台北に行ったときにカフェライブやクラブを回っていたら、現地の人たちがすごくよくしてくれて、それで一気に台湾のファンになっちゃいましたね。その流れで縁があってできた。台湾もすごく人が入りましたね。もう、何人入ったかわからない。でも、サラウンドの音が聞こえたら向こうから「もっとこうやろうよ!」って前のめりになってくれたよね。

 

インドウ 単純に、面白ければオッケーなんですよね。

 

Jimi そういう、行ってみて初めて面白さを知ることが多いのがこの「鳥クルッテル.inc」の醍醐味かな、と思いますね。一回全力投球、だもんね。

 

インドウ 次回のこととか考えられない(笑)!

 

Jimi 今回(「Kachōfūgetsu」)も、シリーズとは言っても、先のことは全然決まってません。

 

——その「Kachōfūgetsu」は、サラウンドDJイベントツアー直後の取り組みですが、どういった流れでここへたどり着いたのですか?

 

Jimi サラウンドDJを野外でやったことがあったんですけど、一つ一つの音が独立して散ってしまって、音楽としてとしての新しいグルーブがなかったんですよ。このままだと外でやる機会があったとしても、大したことはできない。それで色々考えて閃いたんです。それはまずフジロックの“小道亭”っていう、森に囲まれている中に小さなステージがあるスペースでやったらどういう表現ができるかっていうところから発想がスタートしたんですけど、森や植物を活かしてどういうことができるのか。それで、植物をよくみると、複雑に凸凹していますよね。そういう形で音楽を表現したらどうか、と思ったんです。

 

 

Jimi だから、最初はもっと生きた植物を置いていたんですけど、展示の打ち合わせを重ねていく段階で、そうじゃなくてもいろいろなもので表現できることがわかった。それで、ご覧のように今回は華やかに、お客さんにもわかりやすく音をビジュアルで表現することにしたんです。

 

——空間を設計した全体的な音の響きが幻想的ですね。スピーカーも様々な種類のものが見られます。

 

Jimi 大きいスピーカーや小さいスピーカー。音を曇らせてみたり、わざと価格の安いスピーカーを使ったり。そういうことで凸凹した聞こえ方がする。それがやりたかったんです。

 

——タイトルを「Kachōfūgetsu 時鳥 〜トキドリ〜」としたのは?

 

Jimi 僕たちの居る日本のイメージと僕らの“鳥”が絡んでくると“花鳥風月”。今回は序盤として八月の鳥である“時鳥(ホトトギス)”から“トキドリ”というサブタイトルが付いています。今後は海外にも発信していきたいので、そのときにわかりやすいものでもありたい、とは思いますね。

 

——“日本らしさ”と言うテーマにも考えさせられますね。

 

Jimi 音の話をすると、日本の人たちって、音を固まりみたいに出す人が多いんですよね。それが世界に評価されることもあって面白いんですけど、空間の捉え方が違う。今回、日本をテーマにしてよかったと思うのは、音が固まりとして前から来るけど立体的に楽しめるっていう発想は、僕の中ではとても日本的なんですよね。花の装飾も日本は独特らしいです。こういう隙間の使い方っていうのはなかなかやらない。

 

——ミラーボールが下に置いてあるというところも気になります。視覚的にも楽しめそうですね。

 

インドウ そうですね。ブラックライトを使うと楽しいですよ。壁が白いので、影が出たら面白いんじゃないかと思ったんです。それをどう出すか?と考えたときに「ミラーボールにブラックライトを当てみよう」と。でも、ミラーボールをただ吊るすのは面白くないから、この構図で当てるとまた違った表情で見える。今も色々と実験を重ねていますよ。

 

 

Jimi DJイベントでただ音楽を流しても照明が凝っていないとみんな踊らないんですよ。だから照明に関しても力を入れてるんですがそういう経験が展示の照明にも活かされてます。これからレーザーなんかも入れていったらもっと面白いことができそうです。

 

——様々な場所で音の鳴るオブジェとしても映えそうですね。カフェや美術館で鳴っていてもいい。または実験音楽としても活用できそうです。

 

Jimi そうですね。もともと修行時代は実験音楽の分野にいたので、今後はそういった方面でも活動できそうですね。

 

——これまでのDJイベントと今回のインスタレーションは全く別の取り組みですが、あえて共通点を挙げるならば、音に並ならぬこだわりがある、という点が挙げられるのでしょうか。

 

Jimi そうですね。

 

——毎回全力投球されているとのことですが、鳥クルッテル.incとしての長期的展望はありますか?

 

Jimi 僕らは三つの軸を大事にしていて、それは音楽イベント、空間演出、もう一つがワークショップなんです。この三つを軸にしがら活動を発展させていきたいですね。

 

——ワークショップは、一度大阪でもされていましたね。

 

Jimi そうですね。ビバラロックというフェスの“オトミセ”のコーナーでやったりもしています。ワークショップでは、一方的に教えるだけではなく逆に教わったりすることも多いので、そういった取り組みも通して活動をしていきたい。それプラス、僕らに来た企画をどう面白くできるかっていうことを考えていきたいですね。でも、とにかく今回インスタレーションをやったことで「鳥クルッテル.incって、こういうことです」と説明ができるものができたんじゃないかなって思いますね。DJイベントチームって言われると、やっぱりちょっと違うんですよね。色々な活動を通して共感してくれる人や興味を持ってくれる人が少しずつ増えていってくれると嬉しいです。

 

 

【鳥クルッテル.inc 関連ページ】

Kachōfūgetsu 

邦楽ロックDJイベント渡り鳥

ワークショップ