2017
11.11
Rap or Hip-Hop Musicians performing on stage in a club in front of a cheering crowd

YBS Skola ~父親譲りのボルチモアの”希望”~

ARTIST, BLOG

アメリカの東海岸、メリーランド州ボルチモア。我々日本人にとっての”ヒップホップ地図”上では未だ未開とも言えるエリアだ。全国的に人気を獲得したメジャークラスのラッパーは過去を遡ってもほぼいない地域だが、この都市にも当然のようにヒップホップシーンは存在する。

 

そんなボルチモアで若者を中心に人気を集めている現地クルー「YBS(Young Ballers Shining)Crew」の中心的存在でもあるラッパーYBS Skolaは、今注目しておくべき人物の一人だ。

 

 

昨年リリースされた「Whole Lotta Money」のミュージックビデオからも現地コミュニティでのローカルヒーロー振りが垣間見れるが、Trapを下地にキャッチーさを詰め込んだサウンドは全国区でも十分通じる内容だろう。地元の若手プロデューサーElijah808による旬なサウンドも素晴らしいが、それを器用に乗りこなすSkolaのフロウもシーンの流行を的確に捉えている印象だ。

この曲がメジャー勢ではなく、ボルチモアのようなローカルな土地からポンと出てくる辺りが本場アメリカのシーンの恐ろしさ(面白さ)でもある。

 

 

また彼のように”下手ウマで歌うようなフロウ”も聴かせるラッパーは、やはりシンガーとの相性も良く、同郷Sonne Rileyとの「I Just Wanna」ではメロウな曲も難なくやってのける。しっとりとしたビートとフックに包まれながら、異物感スレスレで聴かせる主役のしゃがれ声。何とも言えない哀愁が漂い、この気だるさも癖になる。

 

 

そして10月17日には、今年1月にリリースされたアルバム「Only Hope」の続編となる新作ミックステープ「Only Hope 2」をリリース。

同作からミュージックビデオが公開されたばかりの「Legacies」では、これまでの哀愁に加えて早くも貫禄ささえ感じられる。これは、昨年ボルチモアのシーンを共に牽引していたラッパーLor Scooterが凶弾に倒れたことで、コミュニティのリーダーとしての自覚が一層芽生えている証拠なのかも知れない。

 

 

更にもう一つ、彼に大きな影響を与えたと推測出来る人物がSkolaの父Stokey Cannadyだ。

2015年、ボルチモアにて黒人男性が警察に逮捕された際脊髄を損傷し死亡する事件があった。これに対し現地住民らが抗議、その後暴動にまで発展し、非常事態宣言まで出されることとなった。日本でも報じられたニュースだが、この抗議運動の主催・主導者であった人物がなんとこのStokey Cannadyなのだ。

現地でのSkolaの人気はこういった背景も関係しているのだろう。

 

 

 

今年前半にはMeek Mill主宰のレーベル、Dream Chasers Recordsとのサインを果たしたYBS Skola。

父親譲りのコミュニティを率いるカリスマ性と、流行のスタイルを巧みに操る音楽性。スターになる要素を十分に備えているこの男だが、恐らく日本ではまだどこのメディアにも取り上げられていないようだ。是非今のうちにチェックしておいて欲しい。

 

                             文 =Kaytee Da Shade