2018
01.08

ブルックリンから登場した隠れ実力派ラッパー Flipp Dinero

ARTIST, BLOG, VIDEO

今、我々日本のファンから見て、本場アメリカでヒップホップが面白い地域はどこか?筆者なら迷わずニューヨークはブルックリンと答える。ここ数年シーンの中心はアトランタであったが、その間も活発な動きを見せるラッパーが多く、ベテランから若手まで、流行のサウンドを取り入れる者から伝統的なニューヨークサウンドを貫く者まで、とにかく役者が揃っているエリアである。

そんなブルックリンの中で、若手ラッパーFlipp Dineroは今後が楽しみな存在の一人だ。

 

 

 

 

現在21歳で、ハイチ系のラッパーであるFlipp Dinero。彼の存在はすでに現地メディアで取り上げられ始めているが、そのきっかけとなったのが昨年初頭にリリースされたこの”I DO”という曲だ。メロディアスなフックなど現行スタイルを取り入れつつも、抜群なローカル臭さとダークさは、洗練されすぎたメジャー勢のヒップホップが物足りない層にはたまらないはずだ。

 

 

 

このTrapベースのダークなサウンドと中毒性の高いフックは他の曲でも聴くことができ、すでに完成されたスタイルと言える。独特のしゃがれ声と相まって、一度聴いたら耳から離れなくなるフロウは彼の最大の持ち味だろう。声やフロウが同じようなラッパーばかりの昨今のシーンにおいて、現行サウンドから”ズレ過ぎずにキャラが立つ”絶妙なタイプだ。

 

 

 

 

彼は現在、同じブルックリンのラッパーJoey Bada$$らが所属するレーベルCinematic Music Groupと契約中で、今後全国的に知名度のあるラッパーとの絡みも増えてくるものと思われる。最新シングルである”Time Goes Down Remix”では、レーベルメイトのG Herboを招き、キャリアの差を感じさせない健闘ぶりを聴かせる。G Herboのようなシカゴ勢とはサウンドのタイプが似ているせいか、どちらが客演なのか分からない状態となっているのも面白い。

 

 

 

決して耳触りの良い声やメロディーではない。代わりに鼓膜から感じるのは、ストリートの埃っぽさ、緊張感、どこか冷たさが混じった現実的なサウンド・・・大衆受けとは真逆のサウンドでありながら、聴く度に癖になる。

今、コアなヒップホップファンが求めるのはまさにFlipp Dineroのようなタイプのラッパーではないか。

しかし残念なことに、水面下に存在する彼のようなラッパーを日本のメディアが取り上げる機会はそう多くはない。この機に是非彼の楽曲をチェックしてみて欲しい。

 

                              文/ Kaytee Da Shade