2018
01.17

エレクトロ界の新星スイークス – ダークな甘さのドリームポップ

ARTIST, BLOG, VIDEO

再生ボタンを押して最初の1秒から、音が景色を映し出すように、空間そのものを作り変えてしまう音楽に出逢うことがある。オーストラリア・シドニー発のエレクトロポップの「スイークス(Suiix)」はまさにそんなバンドで、ボーカルのサラ・ジュリエンヌを中心としたメンバーの生み出すサウンドスケープは一般的なライブ会場からアート系のイベントまで、今オーストラリアで引っ張りだことなっている。

 

 

ビョークやブライアン・イーノのような浮遊感と、ゆったりとしたタイム感を持つスイークス。エレクトロニカを分解し、精巧なひねりを効かせたインテリジェントなそのサウンドに対し、音楽メディアからは「ダークポップで作られたリッチなケーキのよう」という評価も上がっており、仄暗い地下世界で淡くきらめく小さな銀河のごとき存在感を放っている。

ボーカルのサラはサウンドメイキングの研究にも熱心で、シングル曲「パシフィック・ドリーマー」では、低音部分に発電機のモーターの旋回音を取り入れるなど実験的でユニークな取り組みをしたという。同曲の制作にあたっては「たくさんのアンビエントミュージックを聴いたし、ロシアの人魚の映画を観たりして、自分の思いをまとめあげた」と音楽メディアのインタビューでコメントしている。

 

 

スイークスは音源のジャケットなどに対するこだわりも覗かせており、「パシフィック・ドリーマー」のやビジュアルイメージはアイスランドのクリエイターによるアートワークをサラ自身がデジタル加工したもの。音楽を作る時にいつもビジュアルを想像しているというサラは、そのイメージを「minous and hopeful(不吉で、かつ希望のある)」と説明する。この曲に限らず、スイークスの音楽を象徴する言葉のようにも感じられる。

 

 

 

音楽で感情や経験を表現し、その中に普遍的な真理を探りながら、世界観や風景を構築するというそのスタイルは、人間が音を奏で始めた太鼓の昔から続いてきたプリミティブな表現方法だ。モダンでポップな夢の世界のような、トレンド感のある音楽的表現を選びながら、スイークスの核となる部分にはクリエイターとして真摯に作品に向き合う純粋さが隠されている。こうした要素が、アート界隈でもスイークスの認知度が高まっている所以かもしれない。

まもなくデビューアルバムを発表する予定だというスイークス。音楽、そして作品という枠を超え、スイークスがどんな表現の広がりを見せてくれるか今後も要注目だ。

文/ 水田真梨

 

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