2018
02.07

【INTERVIEW】Luby Sparks「90年代から活躍する人に『当時を思い出す』みたいに言っていただけるのは一番嬉しいですね。」

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今 最もプレイリスト入りするバンドだと言っても良いだろうLuby Sparksが遂にフルアルバム「Luby Sparks」を届けてくれました。

Yuckとの共作やいきなりの海外フェス出演など、若手バンドの王道に一切乗らない、彼らのフリーライディングぶりはリリースしたばかりの1stフルアルバム「Luby Sparks」でも惜しみなく発揮されていて、世紀末に鳴り響いたスーパーカーやAIRのフューチャー感をジャックすることから始まり、北欧ギターポップにはマイブラ以降に育まれた爽やかなノイズがシーンを自由化へ加速させるようでなんとも気持ちが良いのです。

一体このバンドの何処にそんなエネルギーが湧き出ているんだろうか…まずは彼らのハイセンスなCD「Luby Sparks」の封を開けるところから始めてみましょうか。

 

取材・写真・文=田中サユカ

 

——今回の作品の収録のために夏休みを丸々犠牲にされたとか。

 

Natsuki でも大学生は夏休み長いので実際にはその半分くらいで、テストが終わってその日に(ロンドンへ)飛びました。

 

——それは今作のテーマと捉えても間違いないですか?

 

Natsuki  結成した時から絶対にアルバムを出そうって決めていて、やるならYuckがとても好きだから、彼等の作品がつくられている環境と同じ感じできたらいいよねって話してたら、本当にそうなりました。

 

——2017年の10月にはYuckとカセットリリースをしています。

 

Natsuki Yuckとのスプリット(カセット)は、2017年の10月に限定でリリースできました。Yuckは、以前から好きで、このバンドに影響を強く与えていたんです。

 

——結成時の目標が?

 

Sunao (結成時の)目標は「Yuckとライブする」「(Yuckに)プロデュースをしてもらう」とか。

 

——結成してから結構序盤で叶っちゃいましたね。

 

一同笑

 

——そうなると次にどうするか?ってなりますよね。

 

Natsuki  違った音をやりたいですね。これはこれで、ね。

 

——音楽的な方向性を変えるってことですか?

 

Natsuki うーん…変える、かもですね(笑)。

 

 

 

——おそらく色々なところで言われていると思うんですけど、日本のシーンって狭いから、無意識に聞こえて来る音楽って割と限られがちだと思うんです。そんな中でLuby Sparksのサウンドっていうのはすごく新鮮な印象を与えていると思うんですよね。で、現代をリードするルックスと音を持ちながら、なぜそのサウンドスタイルを選んだのか、というところが今日一番聞訊きたかったことなんです。

 

Natuski 単純に好きだからっていうのはある。

 

Sunao 好きだからだね。

 

Natsuki 目標とする音が最初にあって、それに伴ってメンバーを集めたっていうのが正しいのかもしれません。もちろんYuckとかを例にあげて。

 

——なるほど。でも5人もいれば「実はこんな音楽も好きなんだ」っていうのもあるんじゃあないですか?

 

Tamio いや、今(演っている音楽)と変わらないですね。

 

Natsuki 彼が一番こういう感じが好き。ゴリゴリの90年代のオルタナとかシューゲイザーとかを聴いてる。(違う趣味があると言えば)この3人かな?

 

Sunao 僕は黒人の音楽が大好きで(笑)。ファンク、R&B、ネオソウル、ジャズ…まあ色々!

 

Shin 昔からYMOとかが好きです。日本に限らず、生音よりは電子音を好みますね。

 

Emily 私は父からの影響で、デヴィッド・ボウイとかクイーンとかの昔のロックが好きで、新しいバンドはだいたい兄から教えてもらっていましたね。でも大学のサークルに入るようになってからシューゲイザーとかを知るようになって、一気に音楽の幅が広がりました。

だから、好きなのは昔のロックです。昔のものでなければ、ロックンロールリバイバルとかが好きですね、本当は(笑)。

 

——「聴く」のと「演る」のでは全く別物ですよね。

 

Emily うん。ヴォーカルとしての私は、しゃがれてるタイプとか声を張るスタイルとかは向いてないと思っています。歌う側だったらインディーロックとかシューゲイザーかなって思っています。

 

 

——やっぱり日本のシーンよりもUK方面のシーンに興味があるんじゃないですか?

 

Natsuki そうですね。逆に日本のシーンは最初から全然意識してないけど、メロディラインやギターのリフとかが日本人が好きそうって言われることはあるんです。多分それはスーパーカーのせいだと思います(笑)。

 

一同笑

 

——スーパーカーの存在は、あの時代を象徴する“音”でもありますよね。また、その時代(90年代)を代表する存在の一人としてカジヒデキさんと共演する機会も多いですよね。

 

Natsuki カジさんは最初の方から気に入っていただきました。そうやって当時から活躍する人に「当時を思い出す」みたいなことを言っていただけるのは一番嬉しいですね。

 

——カジヒデキさん自身も当時スウェーデンで録音するという、現地制作のキャリアを持つアーティストですが、そういう作り手の美学も通じるところがありますね。話は戻りますが、今作「Luby Sparks」はイギリスで録音されたということで、スタジオも狙っての決行でしたか?

 

Natsuki ドラムだけロンドンのスタジオで録って、あとはYuckのMax Bloomの実家で録ったんです。Yuckの1st「Yuck」や3rd「STRANGER THINGS」もそこで録られているんです。僕らはそれらと同じ場所を使わせてもらった。そこは普通の一軒家で、スタジオみたいなところではないんですけど、アンプとかマイクとかが全部揃っているんです。

 

——もしや寝泊まりも?

 

Natsuki   寝泊まりしたこともありましたね。でも別でアパートを借りていて、3週間くらいそこで寝泊まりしました。とにかくMaxがすごく良い人で!Maxの実家から駅までが少し遠いからって、車で毎日送り迎えまでしてくれた。

 

 

——アルバム「Luby Sparks」のブックレット中央でアイスクリームを食べている写真がMaxですね?めっちゃ良い人じゃあないですか!

 

Sunao   そうそう!

 

——実際にYuckの音が生まれた現場で仕事をして、初めて得たものも多かったのではありませんか?

 

Natsuki   あの音がどうやって作られていたとかっていうのがわかりました。そういうものを吸収しつつ自分達の曲に合うように音をいじったり、レコーディングしていくうちにメンバーから出たアイディアや、それこそ彼(Max)からでたアイディアを採用したりした。

 

——Luby SparksはUKのフェス「Indietracks Fesival 2017」の出演も果たしています。レコーディングだけでなくライブなども国によって作法を感じたりしませんか?

 

Shin ある!シンバルがない。

 

一同笑

 

Natsuki どこのライブハウスやフェスに行ってもシンバルが用意されていない。あと海外に行って感じたのは、日本のライブハウスの機材がどれだけ高性能だっていうことがわかりました。UKのスタジオにも練習しに入ったんですけど「これだけ環境が整っていないライブハウスやスタジオで練習していたら、そりゃあうまくなるなあ!」って逆に思ったくらい整っていない。Yuckとかも家で全部レコーディングしたりする。そういうDIYな精神が向こうは強いなって思いました。

 

Tamio   そもそも(UKは)DIYな国だという印象もあるしね。

 

 

——次のことは全く考えていないと言うことですが、あえて次に録るとしたら、どこで録りたいですか?

 

Natsuki うーん…アメリカかなぁ。

 

Tamio 日本がいいよ!やりやすいもん、やりとりとか。

 

Sunao   言葉とかね。

 

Natsuki (僕は)そんなに苦ではなかったからね。でもね、100%自分の言いたいことを伝えきれなかったって言う悶々としたものはあるけど(笑)。

 

Emily Maxだったから良かった。Yuckのもう一人のギター・Edはすごいフレンドリーなんだけど、すごく早口だから、たまにみんなで固まって愛想笑いするしかなかった。Edみたいな人だったら結構難しかったかも。

 

——さっきのアメリカで録りたいって言う発言も気になりますね。それはどうして?

 

Natsuki Maxと話していて思ったんです。Yuckは2nd「Glow & Behold」を制作するのにニューヨークに行って、現地の有名プロデューサーをつけて録ったんですけど、普段家で録ってたからメチャメチャ辛かったって言ってました。でもすごく良い経験になったって話してくれたんですよ。それでチャレンジしてみたくなりましたね。

 

——特にどんなところが辛かったと?

 

Natsuki まずは滞在の期間内で録らなくちゃいけない。それからプロデューサーの“第三者のこだわり”が出てくるから、そこの詰め方とか。そう言う面では今回僕らはMaxにプロデュースしてもらったけど、彼は友達として知り合った人だし、本職はプロデューサーではないからバンド目線になってくれるし、自分を前面に出すような人じゃなくて寄り添ってくれる人だったからすごくやりやすかった。

 

——Maxは兄貴分というような存在?

 

Tamio   年も近いしね。

 

Natsuki   あの見た目でまだ30(歳)いってない(笑)。

 

一同笑

 

——人生序盤で望んだ経験を積めるだけでなく、同時に生涯の友を得るという…これは羨ましい!

 

Natsuki もう一回彼(Max)と仕事がしたいって思います。

 

 

——ところで、次は違った音がやりたいって言っていましたよね。

 

Natsuki そうですね。これまでは若さとか疾走感っていうのをわざと出したんですけど、僕らもそろそろ22歳とか23歳とかになるんで、大人っぽいことをしてみたいですね。

 

——今作を聴いて強く思ったのは、みなさんはデジタル世代にもかかわらず、つなげ方ひとつとってもCD世代、つまりアルバムとしての作品を強く意識された作風で好感が持てました。それでいてカセットやアナログにも理解が深いから、今後も引き出しが無限大にある気がするんですよね。それで今、次作は違う感じと聞いて、これまでのアーカイブの中からまた何かを新しく聞かせてくれるのか、それとも逆にアンビエントやエレクトロニカの最先端がLuby Sparksの表現手段として存在感を出していくのか…想像するだけでも楽しいんですけども。

 

Tamio  シンセサイザーの音を入れるとかね。実際に買ったし。

 

Sunao (シンセサイザーの)ノウハウも、もっと色々身につけたいし。

 

Natsuki  今回のアルバムもよく聴くとシンセがたくさん入ってるし、ちょっとした打ち込みとかもあるしね。(僕らの中では)色々想像は出来てますね!

 

 

【リリース情報】

アーティスト:Luby Sparks

アルバム:Luby Sparks

リリース日:2018/01/24

価格:¥2,200 +tax

レーベル:AWDR/LR2

Luby Sparks Web