2018
03.04

【INTETVIEW】最初にして最強!しののめ「ロウライト」リリースインタビュー

ARTIST, BLOG, INTERVIEW, RELEASE

SNS上で若者の自殺志願者が急増しているそうですが、恐らくどの時代にも森田童子の「例えば僕が死んだら」的なことに陥る若者は一定数いたのではないのでしょうか。だから余計に「この世は金の奪い合いか姉ちゃんのパンツの脱がしあい〜」と、ボヤキ歩く小岩の酔っ払い爺さんが真っ当に映る今日この頃です。

さて、この作品は Syrup 16gにお墨付きをいただきたいレベルの悲壮感で構成されていると言えましょう。言い換えれば「TOO YOUNG TO DIE(若くして死ぬ)」なアルバム。同名のエンタメ映画では地獄でロックを鳴らす場面が多々見受けられますが、このアルバム曲の方がよほど相応しいとさえ感じます。

ナンバーガールを経由したようなヴォーカルの音響的立ち位置、さらに鈍い音の噛み合わせと無骨かつ穏やかな歪みなどから、美しい終焉を望むとばかりに冷気を放出しているのです。グロもホラーも使わずにここまで追い込めるのも流石の一言。私には荷が重すぎたと一瞬後悔したほどです。

しかし今、このタイミングで「ロウライト」を「作品」として同じ棚に並べる意義が十分にあるのは確かなこと。何故今、しののめはこの作品を生み出し、わざわざ世に発表しただろうか…!それを伺わなくてはなりません。

実際に会いに行ってみると、おっとりとした三人組が笑顔でお出迎え!その後も笑いが尽きることなく、次作とライブに期待を膨らませて現場を後にするという…どうぞご覧ください。

 

写真・取材・文=田中 サユカ

撮影協力=LIVE HOLIC

 

——今夜は初のフルアルバム「ロウライト」リリース前の企画イベント当日ですね。

 

真下 そうです。実は今日、文明堂のキャラクターがプリントしてあるカステラを沢山買ってきていて、出演者の皆さんにお土産を持ってきているんです。

 

——作品からは全く想像できない!…しののめは、爽やかな気配りもできるバンドです(笑)。

 

真下 やったー!

 

眞保 俺はあぶさんを持って来ているからね。大好きなんですよ、気づいたら倒れているという…

 

一同笑

 

真下 実際「ロウライト」をリリースするのは3月14日のホワイトデーですね。めっちゃ怖いよね、ホワイトデーにこのCDをもらったら!

 

久間 (私のこと)嫌い?て、なるよね(笑)。

 

真下 俺と一緒に死んでくれっていうような…めっちゃ重い感じ(笑)。

 

——何故そのような作風になったのでしょう。

 

真下 この人(眞保)が暗いから!

 

一同笑

 

 

——そもそもバンド「しののめ」は2017年に結成されたそうですね?

 

眞保 2016年からやっていて、このメンバーになったのが2017年からなんです。前のメンバーはドラムが男だったんです。彼は…何だろうね。異端児みたいな。“穏やかな荒くれ者”みたいな感じ。…あいつ今、ちゃんとやっているのかなあ。

 

久間 酒を飲んだら全てを失う男!

 

久間 カバンごと失くしたりするので、連絡がつかないからバイト先まで押しかけたこともあるよね。でもその子が就職することになって、バンドを脱退したんです。

 

眞保 今のメンバーはもともと三人とも同じ軽音サークルで、僕と久間は大学は違うけど同級生。

 

久間 真下さんは私と同じ美大の先輩です。

 

真下 サークルにいる頃は三人ともそんなに仲が良いわけでもなくて、挨拶をするくらい…

 

眞保 今は穏やかになったけど当時の俺は怖かった(笑)!

 

久間 一人で酒を抱えて飲む怖い人。

 

——…ちょっと今の感じでは想像できないんですけども…では、そんな「眞保少年」は一体どんな青春を送っていたのですか!?例えば、今ちょっとした話題になっているのが「14歳で聴いていた音楽がその人の音楽性を作る問題」で言うと?

 

眞保 14歳の時はナンバーガールを死ぬほど聴いていましたね。YouTubeを知り始めた頃で、たまたまナンバーガールを見つけたんです。ギターがかっこいい!と思った衝動で、そのままCDを買いに行きました。そしたら…独りで聴いて興奮している少年になっちゃいましたね。

 

一同笑

 

久間 私が14歳の時は…引っ越しして周りの環境が変わりすぎて、根暗になりきっちゃいましたね。最近まで荒れていた学校だったから先生たちもめっちゃ威圧的で怖かった。それまで元気キャラだったのが、根暗な子になって、そのまま高校に上がって、密かにスピッツとかを聴いていましたね。他には中学の頃薦められたエルレガーデンとかの邦楽ロックですね。

 

真下 リップスライムとかオレンジレンジを聴いていましたね。所謂カウントダウンTVランキングに出るような音楽を聴いていて、バンドサウンドは高校に入ってからかな。先輩から教えてもらったゆら帝(ゆらゆら帝国)とかモーサム(トーンベンダー)とかSyrup16gとか…今は割と嫌なジャンルはないですね。

 

眞保 確かに真下さんはなんでも聴きますよね。

 

真下 ヒップホップも聴くし!

 

眞保 それで、2014年くらいの頃から僕が宅録とかにはまっていたんですけど、バンドがやりたくなった。女性ボーカルを入れたくて…

 

久間 全然話したこともなかったのに急にツィッターのリプで「バンドをやりませんか?」って送ってきたんだもん!

急にオリジナルに誘われるなんて思ってもいなかったので、とりあえず飲みに行きましょうって、新宿の立ち飲み屋に行った。そのときに「きのこ帝国」みたいなのをやりましょうって強引に誘われた気がする。

 

眞保 懐かしいなー(笑)。そうだ、その頃はきのこ帝国をよく聴いていたな。でも、いまもそんな感じか。暗くてシューゲっぽい感じ。

 

久間 正直、後半は歌しか歌っていなかったのにベースで誘われるのが衝撃で、正直どうしていいかわからなかった。そしたら「技術なんて後からついてくるんだ、だから来い!」みたいな。

 

眞保 イケイケだったよね。異常に強気だった。

 

久間 そう、勢いに押された感じがありましたね。会うと彼はすっごいイライラしていたし。

 

眞保 何かに駆り立てたれているような、ね。最初は遊びみたいな感覚でスタジオに入り始めたけど、大学最後の1年からちゃんとやり始めた。

 

久間 卒業して私が栃木の宇都宮に就職になったから、たまにしか東京に来られなくなった。

 

眞保 それに悶々としていたのもあったね。2016年にようやく音源ができて、人前にで始めたのが2017年。

 

——ちなみに久間さんで行こうと思ったキメ手は?

 

眞保 まず、声がいいなあって思いましたね。ベースは確かに聴いてなかったけど、何と無く“男女で三人”っていう構想があったので「ベースも弾きなよ!」って言っちゃった(笑)。

 

久間 「弾きなよ」って言った(笑)!(ドラムがいなくなる頃に)真下さんを誘うときも結構強引だったよね。

 

真下 (眞保くんとは)学年が一個違うので、挨拶する程度だったんですよ。もちろんライブも行ったことないし。大学の卒業ライブをやることになった時、眞保くんから「ライブを見に行きます。その時に話したいことがあります。」って連絡が来て…怖かったですね(笑)。

 

一同笑

 

真下 避けていたんですけど、結局捕まって、いきなり「バンドをやりませんか?」って言われたんですよね。曲も渡されて、思い切って聴いてみたら、作品としてはいいと思った。

でも、美大で絵を書いていた私にとって、絵と音楽は同じ自己表現の一つにすぎない。バンドは好きだけど、特に音楽にこだわっているわけでもなかったので、その温度差はすごく確認しましたね。

 

 

真下 それに、「絵が浮かんでくる音楽って良いことだよ」って、先輩に言われたんですよね。しののめの音楽を聴いていると絵が浮かんでくる。それに二人の歌声も好き。私が叩かないとバンドができないと思うと、すごく勿体無いから、叩いちゃう(笑)。バンド加入当時は特にそのせめぎ合いでしたね。

今回は「ロウライト」のイメージをMVの監督に伝えるために絵を描いたんですけど、それがまた自分の表現の一つとして成り立ったことにバンド活動の可能性を感じました。

 

眞保 でも今回リリースする作品は入れ替わりの時期だったので、ドラムは先任のバージョンなんですよね。

 

久間 この作品自体をリリースするか迷っていたんだよね。後2曲は入れるはずだったけど、その直前に前のドラマーが失踪しちゃった。

 

眞保 それで何ヶ月も悩んだ末、出そうと決めた作品。

 

——ドラムが変わるだけでもだいぶ印象が変わるんじゃないですか?

 

眞保 結構違いますね。

 

久間 “荒くれ者(前ドラム)”は、タンクトップでドカドカ叩くもんね。

 

眞保 まさにナンバーガールのアヒト・イナザワ。

 

久間 真下さんのドラムは母なる大地のように包み込む感じのドラム。

 

眞保 スタジオの感じも全然違う。前ドラマーの頃は、曲を一回聴いただけで各々で適当に叩くスタイルだったけど、今は作品のイメージを映像的な視点を混ぜながら丁寧にすり合わせる感じ。

 

久間 「ここは雪やコンコン、だ!」みたいなね。

 

真下 最初にスタジオに入った時のことを思い出したんですけど…めっちゃ暗かったんですよ!それで「え?いつもこうなの?バンドって楽しい?…楽しいものだよ…ね?」って、バンドの根元について尋ねてしまった(笑)。

 

一同笑

 

真下 二人とも「ああ…楽しいって…」っていう、微妙な反応だったよね。

 

眞保 ああ…ちょっと必死すぎてピリピリしていたかもね。

 

久間 前はスタジオ入る前はいつもお腹が痛かった。今は、楽しい!真下さんが入ってから、超穏やかです。

 

眞保 いやね、ドラムが辞めた時に反省したんですよ。多分、彼は楽しくなかったから辞めたのがあると思う。

 

——眞保さんは、いまの自分のスタンスをどう感じていますか?無理をしているのではなく?

 

眞保 全然無理をしている感じじゃないです。もともとバンドやサウンドをすごくコントロールしようとしていたんですよ。それが形にならないと「なんで違うんだよ!」と。でも「そういうことをしないほうが面白い」と、素直に思えるようになったんです。

 

——今作は前のドラマーと収録した作品ということですが、眞保さん自身が切り替わる前の作品ですか?

 

眞保 ちょうど切り替わっている時の作品です。

 

——まず印象的だったのは、ヴォーカルも歌詞も全て溶け込むようにかけられたリバーヴです。

 

眞保 そうですね。制作時は特に酷いうつ状態だったこともあって、混沌とした感じをリバーヴで表現したんですよね。そういう状態の時は歌詞も聞きたくないから、歌詞もよくわからないようにしました。

 

——表現としての不揃いな音やリズム、サウンドバランスも印象的ですし、突如現れる歌物ロックサウンドにも驚かされたり。

 

眞保 多分、僕が飽き性なのもあって、似たような曲が並ぶと飽きてしまうし、曲の優劣がついてしまうのが嫌なんです。それに、ストーリーがあるアルバムが好きなので、意識していると思います。アルバム一枚を一つの作品にしたかった。

 

——なるほど。例えばナンバーガールが出現した時代って、希望だと思っていたものが幻想だったことを知ってしまった、廃墟感が蔓延していた時代でもあったと思うんです。そういう頃に生まれた音楽っていうのは、確かに一種の「終末」に根を張っている作品が多い。2018年を迎えた今、しののめが何に触れて、この俯いた作品を世に送るのか。それを知ることが重要だと感じました。

アルバム「ロウライト」では、社会を描写してみたり、投げかける一幕がありながらも、孤独さをただ音として作品に転換されているものもある。

 

眞保 個人的には本当に生きづらい。いろいろなことに違和感を覚えますけど、その一つとしては消費社会と情報社会。大量生産・大量消費っていう(作られた)正義にものすごい違和感を感じますね。それは人間関係もそうだと思うし、音楽自体にもイライラしている。メンバーにもよく「作為を捨てろ!」と言うんですけど、市場には作為的な音楽が多すぎる。

 

 

眞保  流行りをすること事態を指しているわけではないんですけど、バズらせる目的のためだけに作られたものって、違うと思うんですよね。本来「音楽」って芸術的な部類に入っていて、自己表現をするから面白いと思うんです。だから、それを無視するのは違うと思う。とは言っても「じゃあどうすればいいんだ?」と言うイラつきがこのアルバムなんです。自嘲している感じ。

 

 

 

——なるほど、そうだったのですね。しかし…「生きてるだけじゃダメだ」って言われたときは、作品とはいえ、相当ショッキングでした(笑)。

 

久間 「ビニール傘」のdemoが来た時には、辛すぎて練習するのに相当時間がかかったのを覚えてる(笑)。

 

眞保 確かに!「ビニール傘」は、底の極地にいた時に作った曲かもしれない(笑)。焦燥感とか苛立ちをそのままパッケージングしようって言う意識が強かった。でも、暗くてもちゃんとバンドをやっているじゃあないですか。それは希望だなって思うんですよね。

 

久間 そうですね。確かにこのアルバムは本当に重くてしんどいんだけど、一緒にどん底まで落ちて、それでも朝まで一緒に生き延びるような音楽だとも思っているんです。だから個人的にも助かってる。

 

——ところで真下さんからはお二人のようなヘヴィーさが全く感じられませんね。

 

真下 この二人はお互いに巻き込みあっている感じがあって、私は全く同調しないんです。でも二人のファンでもあるし、二人の全部を愛すって決めたんですよね。だから二人の歌が届け!って言う気持ちでいます。

 

——バンド名「しののめ」は、夜明け寸前の状態を指しますから、希望が隠れていますしね。今後は真下さんが加わったこともあり、今後の作品もケミストリー的な変化が期待できそうではありませんか?

 

真下 ライブから結構変わっていますよ!

 

眞保 アレンジも。

 

久間 裏切りといえば、作品のリリースライブで収録曲を一曲もやらなかったりするよね。

 

眞保 俺ね、そう言うところはスッゲー反省してるから!歩み寄らないとダメだ(笑)。

 

一同笑

 

【リリース情報】

アルバム:ロウライト

アーティスト:しののめ

価格:¥2,000(tax)

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