2018
03.25

【INTERVIEW】鳥クルッテル.inc、一日限りのプラネタリウム「~columba~」レポート&インタビュー

ARTIST, EVENT, INTERVIEW

クリエイティヴユニット“鳥クルッテル.inc”が、2月12日(月・祝)に日本アニメーションの自然表現にインスパイアされた一日限りのプラネタリウム「~columba~」を開設。貸し切りでパフォーマンスされる15分間のプライベート天体ショーは途切れることなく行われていた。その都度 演者と観客で交わされる感動体験の半ばテレパシー的な対話が特に印象的で、これこそが“無二の仕事”だと熱くなったのを覚えています。Jimiさんとインドウさんご両人に、お忙しいながら交代でインタビューもさせていただきましたので、どうぞご一読ください。

 

取材・写真・文=田中サユカ

 

 

——前回、フジロックでインスピレーションを得たアイディアを話していただいたんですが、今回の試みはその延長線にあるプロジェクトととって良いですか?

 

Jimi もちろんそうです。前回からスタートしたKachōfūgetsuというインスタレーションシリーズのうちの1つとしてのcolumbaですからね。あと、キャンプ場で知り合いが主催するDJイベントに参加した時、天然のプラネタリウムに居るみたいですごく感動したので、今回はその感動を再現したいっていうのもありましたね。

 

まず展示の特徴としては清水寺とかで使われている(特殊な)スピーカーを使ったことです。音がこのスピーカー自体から鳴るんじゃなくて、このスピーカーの先にある“物”から音が鳴るんですよ。今回の「プラネタリウム」では、その特徴を活かして鳥の鳴き声とか星が音になって降ってくる演出をしました。

 

——なるほど!だから鳥自体が飛び回っているように聞こえるんですね。

 

Jimi これは超・指向性スピーカーの中でも特殊なもので、本来特定の人にナレーションを聞かせるために使われるんですよね。なのでそのまま使うと音を大きくすると割れてしまったり低音も弱かったりするんです。ですから今回はこのスピーカーでもしっかり聞こえるように鳥の鳴き声などの音をシンセで作ってみました。

 

——このスピーカーの活かし方が大きなポイントでもあったのですね。

 

Jimi 前回色々な事情があって使えなかったんですけどフジロックで得たイメージっていうのも、この機材でなら立体的な表現として形になると思ってたので今回はどうしても使いたかったんですよ。四隅に置かれた四台のスピーカーからも音を流しているんだけど、このスピーカーを使うことで更に音を明確に動かすことができました。

 

——クラウドファンディングで資金を募ったのも初めての試みですね。それに今日行われているプラネタリウムは、1組ずつ貸切で楽しんでもらう、贅沢なリターンも兼ねています。

 

Jimi そうです。値段も決して安い設定ではなくて申し訳なかったとも思うんですけど、とにかくいつもとは違う空間を楽しんでもらいたかったし、大勢いるとわかりにくいところもあると思うので、あえて独占できるカタチにしました。プラネタリウムを貸し切るって、なかなかできないですしね。

 

 

Jimi それに、完成されたエンターテインメントコンテンツである「プラネタリウム」に、あえて不完全さを残したところも特徴ですね。さっき、木の影は奥行きに見えるって言ってくれましたけど、そういう観る人それぞれの感性があって初めて作品が成立する。そういう所が アートの範疇なんじゃないかって思うんですよね。本当にいろんな感想をもらえて、今回はそれが一番「やってよかったな!」と思いました。

 

——鳥クルッテル.incと言えば、チャージフリーのイベントが定番化しつつある印象でもありましたが、こうして有料イベントを開催されて主催者としての心境に変化はありましたか?

 

Jimi クラウドファンディングで実現した展示ですからお金っていうのは目につく所だとは思うんですよ。特に自分達はフリーのイベントをたくさんやってきたので余計目立ちますよね。実際それで自分達から離れた人も今回いましたよ。

ただ、「フリーでやるのがこだわりだ」とは今まで一度も言ったことは無いんですよ。まず自分達が本気なのを見てもらわないと一緒に真剣に遊んでくれる仲間は見つからないよね、ということで無料で発信してきたんです。

 

 

Jimi そういう流れで今回の経験をしてみて「やっぱり何でもかんでも無料だから広まるっていうことでもないな」と感じましたね。前回の展示をジャケットにした有料配信シングルはOTOTOYでチャート1位を取りましたしね。今回は支援していただいたこともあって、贅沢に生花を使うこともできました。下の木は流木ですけど、木も生モノです。スピーカー使えたのもご支援のおかげです。皆さんのご支援が作品のクオリティーを上げてくれたんです。

 

——わざわざ自然の中で行わずにプライベートな空間内で“自然的な空間”を創造する…虚構とリアリティの塩梅も見所ですね。

 

Jimi アニメーションの綺麗で不思議な世界の中に自分が入ってみたいっていう想いってみんなあったりすると思うんですよね。本物の自然の中では体験出来ない面白さっていうのは意識しました。仮に外、つまり自然でやるとなると音はさらに難しい調整が必要になってきます。今回やってみてなおさらそう感じました。作ってみないとそういうのもわからないんですよね。

 

——前にも仰っていましたが、野外でやると音がそのまま流れていく課題も。

 

Jimi そうですね、それに野外は雨が降ったりもするし、星空も見えない可能性がありますよね。その点プラネタリウムなら天候に左右されないから大丈夫。でも、実は野外での開催は考えていますよ!でもその前に一回屋内で試してみたかった。

 

——音をデザインするパフォーマンスは 鳥クルッテル.inc のライフワークのようになっていますが、これは見た目以上に高度な技術ですよね。

 

Jimi そうですね。特殊なスピーカーが使えたから出来たんですけど、従来のサラウンドソフトでこれをやろうとすると結構大変!今回はそれをわかりやすくできないか?っていう試みでもあったんですけど…うまくいったとは思ってますが、どうかな(笑)世の中はどうしてもまだビジュアルメインですけど、空間を音で感じる楽しさっていうのが少しでもわかってもらえたら嬉しいですね。

 

——今回もイラストやフラワーアレンジメントで素晴らしいクリエイターが参加されています。鳥クルッテル.inc はあくまでもインドウさんとJimiさんのお二人を指しますが、今後は新メンバー加入やコラボレートなどの期待もできそうですか?

 

Jimi そうですね。新メンバー加入は絶対に無いですけどその都度他の人達とコラボする機会はこれから増えると思います。あとは参加してくれる人自体が作品の一部であり1つのチームだというのは強調したいです。今回は特に クラウドファンディングで資金をいただいて作っているので、尚更これはみんなの“作品”ですよね。だから作品のエンドロールにお名前を入れるっていうのは最初から決めている…って、その話になると涙腺がちょっとやばいんで(笑)!

 

——100名近い人が支援しましたね。

 

Jimi そうですね、そういう意味では自分たちが勇気づけられたというか…なおさら辞められなくなっちゃった(笑)!インタビューをお願いした田中さんも、前回も使わせていただいたこの会場もそうだし、やっぱり人との関わりが大事だって、やればやるほど実感しますね。

 

 

——そして相棒のインドウさん。個人ブログも何でも超オシャレ。

 

Jimi そうなんだよねー!写真とかもそうなんだけどさ、センスもいいんだよねえ。現場の経験がたくさんあるし、いつも俺が諦めかけた状況で 一踏ん張りを見せて形にしてくれるんだよね。だからやっぱりインドウがいないと、できないんだよなあ。

 

インドウ 今回も映像の出し方、照明の使い方、特殊効果の位置などをデザインするのに随分悩みましたね。機材を置いただけではやっぱり魂がない。ギリギリまで悩んで、開催直前に音を実際に流して見たときに、ものすごいしっくりとはまった感覚があったんです。花にしても、これだけで十分価値のある造形物だと思うんですけど、それを更に前面に出していってくれる。“音楽”ってすげえなって、改めて思いましたね。

 

 

——インドウさんは、今回のプロジェクトの手応えを改めてどう感じましたか?

 

インドウ 前回の「トキドリ」と今回のプラネタリウムの一番の違いは、支援をしてくれた人が、同じ趣味趣向を持ったお友達を連れて来てくれるっていう動きが多かったことですね。そういう出会いが生まれている事が、今回のクラウドファンディングの結果だと思いますね。これが良い意味で広がっていくなら、この広がり方はすごくいいなって思いますね。

 

——今回参加された方々はこのプロジェクトのどの部分に惹かれたと思いますか?

 

インドウ 大部分の方は「渡り鳥」というDJイベントや「オトミセ」での活動など、我々のこれまでの活動を応援してくださった方。それに加えて、リターンや演出に興味がある方が来てくださっています。それから今回はプラネタリウム自体が好きな方ですね。

 

——立体的な音響に興味がある方にとっても興味深いイベントでもあると思うんですが、あくまでもそういった専門的な売り文句はありませんでしたね。アトラクションの一つとして間口を広く構えていた印象です。

 

インドウ そうですね、いわゆる「コト消費」という部分のアプローチでしたね。お互い知らない人同士で誤解なく意図を伝えようとする時に、いきなり「立体音響だ!」とかいう風に入ってしまうと、実際に自分が支援をする側だったら、とっつきにくい印象がありますからね。

僕はとにかく来てもらって体験してもらわないと始まらないと思っているので、来ていただいて初めて特殊なスピーカーやサラウンド処理した音源を新鮮な感動として感じてもらえれば良いじゃないかなって思うんですよね。

 

——2017年末にサカナクションがドルビー社のサラウンドシステムとコラボレートしてかなり大掛かりなワンマンライブを体験させてくれたことは、まだ記憶に新しいですね。大規模だから手に入るテクノロジーや感動もありながら、一方でこの至近距離距だから得られる感触や温度が「鳥クルッテル.inc」にはあります。

 

インドウ そうですね。ここは個人的な経験として提供できる。我々は瞬間を濃厚に楽しんでもらいたいんです。規模の大小が結果の既成に関わらないと思いますし、発信力のある人によって浸透していくことはとても良いと思いますね。我々も我々にできる力の限りを尽くす。今回は自信を持ってお客さんに提供できるものは準備できたんじゃないかなと思いますね。とても面白いです、今!

 

——今後のビジョンとしてはやはり野外での開催ですか?

 

インドウ そうですね、今度は自然の中でもやりたいですよね。お客さんもそうですけど、やっている自分たちが感動できると思うんで。楽しいと思いますよ!

 

 

【鳥クルッテル,inc 関連ページ】

~columba~

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