2018
04.21

魂の詩人Hazlett、アンビエント系フォーク&ポップ界に登場

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ウェーブのかかったダークブラウンの長髪、どこか遠くを見ているような青碧がかった眼、そして髭に囲まれた口元から流れ出すハスキーで儚げな声は静かな神々しさをたたえている。シンガーソングライター・ヘイズレット(Hazlett)はオーストラリア第3の都市ブリスベンを中心に活動中で、ラジオ局やウェブメディアを中心にじわりと注目度が上昇中だ。

ヘイズレットの音楽は静謐でアンビエントな響きに溢れながら、過去や現在の恋人、電車に乗り合わせた見知らぬ人、ニューヨークの酔っ払いなど、彼の目に映る世界を一編の詩のように伝える。

 

 

インディーミュージックをフィーチャーしたラジオ局「トリプルJ」は、番組に出演し演奏を披露したヘイズレットの音楽性を、アメリカのボン・イヴェール、SSWのジェイムス・ヴィンセント・マクモローやチェット・フェイカー、あるいはレナード・コーエンやエリオット・スミスといった本格派ミュージシャンの個性に通じるものと表現している。

当のヘイズレット自身は影響を受けた音楽として、ブルース・スプリングスティーンやビリー・ジョエルといった大御所の名前を挙げる。彼のInstagramアカウントを覗いてみると、写真や映像を通して彼の詩的でアーティスティックなセンスが浮かび上がってくるのと同時に、ビートルズやローリング・ストーンズ、ボブ・ディランなどの世界観も、彼の日常の中に組み込まれていることが分かるはずだ。

 

 

彼が地元メディアのインタビューで語ったところによると、ヘイズレットが音楽を始めたのは15歳の頃。18歳の時、彼の所属していたバンドはすでにプロとしてドイツで演奏活動をしており、その後、バンドの解散とともにヘイズレットは故郷のオーストラリアに舞い戻った。

ヘイズレットはパブでの演奏を続けながら、当時のガールフレンドの「きちんとした職に就いてほしい」という切なる願いもあって、できるだけクリエイティブな仕事をしようと広告代理店で働き始めた。彼は自分自身を「誰かを幸せにするのが好きなんだ」と説明する。その間、彼はバンド時代に契約のあったスウェーデンのレコード会社から連絡を受けた。レコード会社は彼がYouTubeにアップロードした音楽ビデオを観てその才能に再び惚れ込み、スウェーデンに来てプロデューサーと共に曲を書きレコーディングをするよう説得を試みたという。しかしヘイズレットは「僕はもう大人になったんだよ」と広告業界の仕事を理由にそのオファーを断った。

しかしガールフレンドとの別れを経て、自分が真に何をするべきか悩んでいたヘイズレットに対し彼の母親は、一度でいいから自分のために行動することを勧め「機会があるのなら、やるべきよ」と彼を勇気付けた。母親の言葉をきっかけに彼は最初のアルバム制作をスタートさせ、「誰かを幸せにする」という彼の願いはこうして彼自身の魂を表現することに向き合い始めたのだった。

 

 

ヘイズレットは現在、2018年中に2枚目のEPを準備中で、収録予定のトラックにはそれぞれの「物語」があるという。それは命ある全てのもの、希望、失望、受容すること、別れの苦しみとビタースウィートな再出発の物語だ。レナード・コーエンやエリオット・スミス、ボブ・ディランといった偉大な音楽家たちのように魂そのものを表現する詩人の新作を、心して待ちたい。

 

文=水田真梨

 

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