2018
05.16

豪「パラダイスクラブ」が描き出すリリカルな風景

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2017年に活動をスタートした「パラダイスクラブ(Paradise Club)」は、美しく程良くポップなギターサウンドをフィーチャーした叙情的なソングライティングを特徴とするオーストラリアの4ピースバンドだ。結成からわずか数カ月でラジオ局「トリプルJ」の月間パワープレイ・アーティストに選ばれ、若手ミュージシャンのための音楽フェスへの出演権を掴み取るなど、その確かな実力で着実にファンを獲得している。彼らが既に引く手数多であるその理由は、ぜひ自身の耳で聴いて確かめてみてほしい。

 

 

 

彼らのオルタナティブな音楽には、80年代のニューウェーブや2000年代のインディーポップを想起させる要素が感じられる。バンドが影響を受けた音楽としては、ブロックパーティーやシガーロスの他、名門ラフトレードやポストカードといったレーベルからも音源を出した80年代オーストラリアのギターポップバンド、ゴー・ビトウィーンズ(The Go-Betweens)などを挙げている。

パラダイスクラブのメンバーはギア(Gere)、ヒューオン(Huon)、トム(Tom)、ジャック(Jack)の男性4人。彼らの公式ウェブサイトはきわめてシンプルで、どのメンバーがどのパートを担当しているか、またバンド結成の経緯などは一切明記されていない。

Facebookページではライブ出演とメディア露出の告知、そして新音源の公開といった必要情報だけが淡々と綴られ、語るべきことの全てをきちんと音楽に託す彼らのミュージシャンとしての自信のようにも見てとれる。その姿勢は情報過多な現代において、逆に目を引く存在であろうとする彼らの戦略なのか、それとも稀代の天然の策略家なのか、そのあたりも気になるバンドだ。

 

 

パラダイスクラブは、オーストラリアの文化と芸術の都といわれるアデレード出身。アデレードを州都とする南オーストラリア州は郊外に赤茶けた乾燥した大地が広がる一方、海岸沿いや大きな河川沿いの肥沃な地域は農作物やワインの産地としても名高い。オーストラリアの多くの州は昔、イギリスからの流刑地であったことが知られているが、南オーストラリア州は流刑地ではなく新天地を求める人々のための自由入植地だった歴史を持つ。

パラダイスクラブの最新シングル「アウェイ(Away)」のMVは、 そんなオーストラリア郊外の風景や自由な気風を感じさせる仕上がりになっている。メロディーはカラッと乾いた明るさとどこか物憂げな空気を併せ持ち、リフレインする軽やかなギターのフレーズがリスナーをあてのないロードトリップへと誘う。

 

 

パラダイスクラブの温かみのあるギターと厳粛さのあるボーカルは、現代の社会や人間関係の矛盾に触れ、その全てを描き出すリリカルなサウンドスケープのように響く。現在のところアルバムの発表予定などは公開されていないが、彼らの音楽が作る「風景」がどのように物語を紡いでいくか、大きなポテンシャルを感じさせる彼らの新譜を楽しみに待つファンは今も増え続けているはずだ。

 

文=水田真梨

 

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