2018
05.30

【REVIEW】2018年・春のポップミュージックと社会学

ARTIST, BLOG, NEWS, RELEASE

2018年もあと1ヶ月もすれば上半期も終わりですね。ストリーミングが開始してからは特に、たくさんの作品に出会える喜びと興奮、それから1週間もすると目の前から消えていく儚さを感じながら音楽とお付き合いをしています。

2018年前半は特にブラックからブルーアイドへ、フュージョンからAORヘと色味が少しずつ変化していく様子が印象的でした。依然根強いビリージョエルなどの作品も若返り、メロディーの枠割を再検討する動きもあったように思います。

今回ご紹介したい2つのアーティストは、対照的とも取れる2組の作品にしました。

まずは長年愛されてきたメロディーのセオリーを壊してイノベートするのが上手なCHAIをご紹介したいと思います。CHAIはコードだけでなく目の前に映る世界そのものを壊してイノベートすることに成功しようとしています。私はCHAIが作る世界の先が見たい。

もうひと組は空気公団。同じ地球にいながらにして、今まさに生まれアイディンティティを築こうというCHAIとは全く呼吸をするお兄さん&お姉さん達です。世界を変えようとはせずに、出来上がった音楽を私たちのそれぞれの解釈で生活に溶け込むことを喜んでくれます。

「都会に出かけた時のような刺激と、最寄駅を降りた安らぎ」というような対照的な作品ですが、根底では自分らしくあることを肯定するメッセージを受け取ることができます。2018年はこれをテーマにして、音楽を味わうこととしましょうか。

 

文=田中サユカ

 


CHAI 「わがまマニア」


 

 

テン年代後半の怪物「NEOかわいい」を提唱する4人組オンナバンド・CHAIの3枚目のEP「わがまマニア」が5月9日にリリースされました。

CHAIのEPシリーズは統一感のあるアートワークとネーミング。

ほったらかし(自分らしさをそのまんま出し)てみたら、シーンから誉めごろしを受けたので、こうなったらマニアックなまでに(音楽的にも)わがままで行こう!なる、ポジティヴがさらに突き抜けた5曲入りです。

また、いよいよ「NEOかわいい」がカルチャーとしてスタンダード入りするためにさらなるポップ化の進んだ勝負盤とも言えるでしょう。

さらに世界共通の上物サウンドでエッジの効いたアクセントもCHAIならでは。2017年はまさにCHAIの年でしたが、今年はさらに肥大するかわいい“怪物”の注目作として皆さんにご紹介したいと思います。

 

 

【リリース情報】

アーティスト:CHAI

FP:わがまマニア

リリース日:2018/05/09

レーベル:OTEMOYAN record

CHAI Web

 


空気公団「僕の心に街ができて」


 

 

クリックひとつで宇宙が作れるような音楽で溢れる中、この作品に出会うと一瞬ドキリとさせてくれます。この作品は20周年を迎えた音楽集団「空気公団」が、オリジナルメンバーの3人だけで制作した、バンドにとっても特別なフルアルバム。空気公団の音楽は常に映像が広がるような美しさが魅力的ですが、そんな音楽を様々な視点から増幅させていく試みをしてくうちに3人が見出した「答え」なのだろうと信じたい気持ちになる、ハートフルな作品です。

「もしこうであったらという自分が逆に自分を苦しめているのだ。ならば、今の自分を味わい、喜ぶことから始めてみよう。」という一節をいつかの演劇のセリフを大切に胸の奥にしまってありましたが、「始めてみる」ではなくて、それ自体、つまり“今”が到達点だったのかもしれませんね。

 

 

【リリース情報】

アーティスト:空気公団

アルバム:僕の心に街ができて

リリース日:2018/05/23

レーベル:fuwari studio

空気公団 Web