2018
06.17

ビーチタウン発「ベティ&オズワルド」ー都会派レトロポップの魅力

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男女のリードボーカルを擁するバンドというと、古くはイギリスのフリートウッド・マックや、2010年代ならアイスランド出身のオブ・モンスターズ・アンド・メンあたりが浮かんでくるが、いずれもボーカリスト2人の声質のマッチングが非常に特徴的だ。ただ男声と女声でキーが違うというだけでなく、個々の声が持つ異なる魅力に加えて、ボーカルという楽器同士が絡み合って生み出されるハーモニーや空間的な広がりといった相互作用が、音楽に景色を与えてくれる。

オーストラリアの海沿いの街で結成されたレトロポップなオルタナバンド、ベティ&オズワルド(Betty & Oswald)はまさに、男女ツインボーカルの化学反応の音楽的な楽しさを体感させるミュージシャン。どこか爽やかで儚げなムードも漂い、暑い日に疲れた体を投げ出して聴くのも良さそうだ。

 

 

ボーカルは、アーティスティックな雰囲気のピート(Pete)とキュートだがスモーキーな声質のクラウディア(Claudia)の2人(ベティとオズワルド、ではない)。彼らはかつて暮らしていたというシドニー南部の海辺の小さなアパートメントで曲を作り始め、ベースのサミー(Sammy)ドラムのハリー(Harry)の加入によりベティ&オズワルドは海のある街を離れ、バンドとして動き始めた。

共にレンジの広さを感じさせるピートとクラウディアのボーカルは、溶け合うように耳に心地良く、楽曲が持つ気だるくも明るい世界観を分かりやすく届けてくれる。ピートはギターを、クラウディア(レフティのようだ)はギターやアコーディオンを曲により演奏する。

 

 

 

ベティ&オズワルドのFacebookページで、彼らは自身の音楽ジャンルを「Stuck in the city and dreaming of the beach.」と形容する。都会でビーチを夢見ている、そんな自虐とも取れるどこか気だるい表現の一部は、そのまま彼らの曲のタイトルにもなっている。

一昔前のポップスを気取りながら、ニューウェーブパンクやオルタナティブロックの香りを感じさせる、彼ららしい楽曲だ。

 

 

カセットテープ、ローラースケート、旧式の電話機やコンピューター、シャツやトップスの裾はボトムにイン。ベティ&オズワルドのアーティスト写真やミュージックビデオを見ると、まるで70年代のような衣装やセットが特徴的だ。レトロな色使いやローファイな演出は、彼らの出身地とされているシドニーのニュータウン(Newtown)をイメージしたものかもしれない。ニュータウンは60〜70年代からボヘミアンなエリアとして若者に人気を博した小さな街で、今もレトロでアーティスティックな雰囲気の残る街並みが印象的(コールドプレイが街頭で「A Sky Full Of Stars」のMV撮影をしたことでも知られる)。

古き良きカルチャーを呼吸しながら、現代的なシンセ使いやコーラスワークなどを使いこなすベティ&オズワルドは、時代にとらわれないその音楽性が一番の魅力だ。現在はオーストラリア国内を中心にライブ活動を展開中の彼らだが、音楽フェスやメディアへの出演、海外公演もこなし着実にキャリアと人気を育んでいる。今年リリース予定という彼らの新作アルバムに、その様子がどのように反映されるのか今から楽しみだ。

 

文=水田真梨

 

ベティ&オズワルド(Betty & Oswald)

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