2018
07.04

シカゴR&B界の新星歌姫 Ann Marieーこの夏は癖になる甘ヴォイスを。

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昨今の本場アメリカのR&B/HIPHOPシーンは、あまりにも同じタイプの楽曲・アーティストが多い。メジャートップ勢はともかく、その他のアーティスト~インディーズ勢に対しては筆者と同じような感想を抱いている方も少なくないはずだ。既存のシーンに無いタイプのアーティストやサウンドが生まれれば、あっという間にコピーされ、現行のスタイルとして定着する。音楽性だけでなく髪色に至るまで、だ。

そんな時代だからこそ、持って生まれた個性=声質は強力な武器となる。Ann MarieというR&Bシンガー(同名だが、イギリスの人気女性シンガーとは別人)も、決して”量産型”の枠には嵌らない歌声を持つアーティストの一人だ。

 

 

 

イントロを経て、第一声から繰り出されるキュートな歌声。一見ラッパーかと思うようなその外見からは拍子抜けしてしまう程の甘いサウンドは、日本のJポップ層にもウケそうな気配すら感じる。強いて言うならかつてのChristina MilianやJhené Aiko辺りを思わせる、コッテリ系R&Bとは対極の歌声が彼女の最大の持ち味だ。

 

 

 

イリノイ州はシカゴ出身の彼女。2016年には、この地出身の新世代スターであるラッパーLil Durkが主宰するレーベル”OTF”と契約を果たし、同レーベル初の女性アーティストとして迎え入れられた。近年シカゴと言えば、シカゴ流Trapとも言えるDrill Musicからハードなサウンドのイメージが強かったが、そんな中でラッパーが求める”メロウ要員”としてはこの上ない存在と言えるだろう。ボスとの共演曲” Nobody”も、治安の悪いストリートに束の間の晴れ間が訪れたような雰囲気に包まれる。これぞ”Drill&B”と呼ぶべき一曲だろう。

 

 

先日ミュージックビデオが公開されたばかりの” Handle It”では、良くも悪くも時より頼りなさを感じた歌声も、安定感を増した印象を受ける。OTFから本格的に動き出した証拠だろうか、サウンド面ビジュアル面共に格段にクオリティが上がっているようだが、彼女の甘くメロウな歌声と世界観は全くブレていない。ここまでサウンドの方向性がはっきりしていれば、シーンの中での自身の立ち位置も確立しやすいはずだ。

 

Lil Durkのレーベルに所属していながら、日本はおろか本国の主要メディアにすらまだほとんど取り上げられていない存在のAnn Marie。次なるR&Bスターを早めにチェックしておきたい方には、是非おすすめしたいアーティストだ。

     文= Kaytee Da Shade