2018
07.29

模造ギブソンのセールスマンが見た夢。Gitkin『5 Star Motel』は移民のアメリカーナ

ARTIST, BLOG

カンヌ映画祭のパルム・ドールを受賞した是枝裕和監督の次回作は、カトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュが演じる母娘の物語らしい。フランス映画界のスター女優と、女優になれなかった娘の話だという。Pimps of Joytimeのフロントマン、Brian J. Gitkin (aka Brian Jay) が、Gitkin名義でリリースしたファースト・ソロ・アルバム『5 Star Motel』は、ミュージシャンになれなかったセールスマンの人生からインスパイアされた音楽。会うことのなかった叔父のGitkinにまつわる逸話と、カセットテープに録音された音楽を聞いて、もう一人のGitkinの人生をアルバムの形で再構築した作品だ。

 

 

Jayの叔父Gitkinは、アメリカの地方都市を廻って模造のギブソンを売り歩いていたセールスマンだった。安酒場で新しくやって来た移民たちに目をつけて、ギターを演奏しては売りさばくハスラーのような生活。アルバムジャケットの、怪しげなモーテルのベッドに横たわって、スターミュージシャンになる夢を見ているような男のイメージだ。Jayは、Gitkinとして叔父になり代わって本作をレコーディングしたというわけ。

 

『5 Star Motel』は、チーチャやクンビア、アラブ、アフリカといったワールドミュージックの要素が、ギター・サーフロックと混じり合って展開されていく。クロスジャンルなインストゥルメンタル・サウンドは、仮想映画のサウンドトラックのような趣き。テキサスのエキゾチック・ギターバンド、 クルアンビン (Khruangbin) が好きな人は、きっと気に入るはず。

 

 

正体不明の模造ギターのセールスマンの奏でる音は、移民がつくる新しいアメリカーナのようにも聞こえる。トランプ政権の移民政策が是非を問われている時代に、ナイスなタイミングでリリースされたと思う。SoundCloudには、叔父の方のGitkinの1978年のカセット音源もアップされている。ソウルのあるいい音。[・・・] アイコンから無料ダウンロードできます。

 

 

 

そういやギブソン破産したんだよな〜あ。

 

文=nanchatic