2018
08.13

【INTERVIEW】Alter Ego「ベネロープに吹く風」は 何処まで吹き抜けるのか。

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2011年、広島県のとある楽器屋で結ばれたトリオが2017年3月にリリースしたアルバム「YOU’RE MY ALTER EGO」に新たな2曲を吹き込んだ“完全盤”をリリースしました。

一曲目に新曲をドロップしているというので余計に期待を膨らませて拝聴すれば“メロウ×ダンサブル”のキャッチとは意外とも受け取れるピアノ室内楽「you always say “yes“」の調べから始まり、突如表情を一変させた「いのり」が徐々にバンドAlter Egoの正体を露わにさせていきます。まず、このふてぶてしいとも取れる”勝負強さ“がクール!広くはない部屋の一室で、決して奇をてらわずに、晴れのひも雨の日も 一貫してセッションを行うような空気感は、ビル・エヴァンス・トリオの”Waltz For Debbyの頃“にアクセスしているようなロマンティシズムを感じませんか。インタビューでは名曲「ベネロープに吹く風」についても伺いましたので、どうぞお読みください。

 

取材・文=田中サユカ

 

 

——結成のきっかけは?

 

小川:3人とも福山駅前にある楽器店のレッスンに通っていたのですが、緒方さんから良いベーシストがいるから3人でスタジオに入ってみようと誘われたことがきっかけです。

 

緒方:私がオリジナルのジャズバンドを組みたいと思い、ベースとドラムの教室に通っていたのです。地方なので、なかなかメンバーに出会うのは難しいので。それぞれの教室に、安田さん(ベース)、高校生の小川君(ドラム)がいて、本当に運よく意気投合しバンドを組むことになりました。

 

——現代の国内ジャズシーンをリードするバンドのOAを務めるにあたり、刺激を受けたことは?

 

小川:リスナーの反応が直に見られるので、自分たちに足りないものは何だろうと考えるようになりました。

 

緒方:最初にfox capture planのOAを務めさせて頂いたのですが、リハーサル1発目の出音に、完全に心を折られました。freecubeも、出音に徹底的にこだわっていたので、そこは勉強させられました。Primitive Art Orchestraにはアンサンブルの美しさ、TRI4THには観客を盛り上げることの大切さを学びました。

 

——音源「YOU’RE MY ALTER EGO」をリリースするのに、何故これだけの年月がかかったのか。

 

小川:ペネロープに吹く風レコーディング時にはMVを作ることも決まっていなかった状態でした。レコーディングを終えた後で物事が進んでいったので、時間がかかったと思います。

 

 

 

——「ペネロープに吹く風」とはどのように誕生しましたか?

 

緒方:「ペネロープ」とは、大阪駅前に実在した喫茶店の名前で、私がピアノを多く弾きたいがためにフリーターをしていた時にお世話になった場所です。広島に帰郷した数年後に閉店することを聞き、その時に曲のスケッチを書き残していました。更に数年後に、ペネロープで一緒に働いていた同僚が結婚することになり、披露宴でピアノを弾いて欲しいとの依頼を受けて、現在の曲へと作り直しました。

 

——「ペネロープに吹く風」はバンドの代表曲と捉えてられている人も多いと思います。バンド自身が他にも大切にしている曲や思い出深い曲、ターニングポイントになった曲があれば教えてください。

 

安田:「四月の落葉」は、緒方さんと初めてセッションした曲で、思い出深い曲です。

 

小川:「Blow」は初期から演奏している曲で、3人で試行錯誤したので思い出深く大切な曲です。

 

 

緒方:「いのり」は、ライブの冒頭にほぼ必ず弾く曲です。この曲は、亡くなった方に対する曲で、普段はなかなか思いが及ばない事を想起する、という意味でも演奏しています。日常とは違う思いに至る、ということは「芸術」の1つの役割だと思っていますので。

 

——作品が出来上がって、バンドの活動スタンスに変化はありましたか?

 

緒方:リリースされてからは、ライブをする場所が中国地方の外にも広がりました。特に今年は、東京、大阪で演奏する機会があり、年末には福岡でのライブも予定しています。バンド結成時には、考えてもみなかったことです。

 

小川:以前は自由にやっていければ良いかなと考えていましたが、どうすれば音楽がより多くの人の耳に届くかな、と聴いてくれる方のことをより考えるようになりました。

 

——今回あえて地方限定盤を作り変えて全国リリースをしたのですか?

 

小川:地方限定盤を全国流通させようという話は以前からあったのですが、谷口ディレクターのアイデアで新曲を入れることになったため、全曲リマスタリングして、曲順もライブのセットリストに近いものへ変更しました。そのため、地方限定盤をお持ちの方にも楽しんでいただけると思います。

 

緒方:私も全く同じ音源を出すよりも面白いと思い、曲を追加しました。マスタリングが地方盤と全国盤で違いますので、マニアの方にはその辺りも楽しんで頂きたいかと。

 

——ダンサブルなジャズトリオながら冒頭の新曲はあえてプロローグ的なインストをぶつけています。その意図は?

 

小川:緒方さんからはX JAPANのアルバム「BLUE BLOOD」のようにプロローグ(「World Anthem」)を入れたいと言われました。自分はとても気に入っています。

 

緒方:プロローグを入れる事で、その後の曲が凄く映えますし、アルバム全体の方向性を示すことが出来ると考えました。「BLUE BLOOD」は、私の中学時代の大切なアルバムでしたので、オマージュとして入れています。

 

 

——また#5「August Down」も落ち着いたグルーブに仕上がっています。アルバムのバランス上のことですか?それとも?

 

緒方:アルバムのバランスを考えたのではなく、その曲に合うグルーブを追求した結果、落ち着いたグルーブに仕上がった、という方が合うかと思います。その上で、どの順番に並べると、その曲が活きるか、というのを試行錯誤して決めています。

 

——イベントチーム「KuMiAi」とはどんなチームですか?また、バンドにとってどんな存在ですか?

 

緒方:「KuMiAi」は、主に広島で活動するイベントチームで、初期からPlaywrightレーベルのアーティストを広島に呼びライブ等を行い、レーベルと強い関わりを持っています。KuMiAiのイベントでAlter EgoをOAとして招いてくれたので、私達は今の状況に至っています。イベントがない時でも、飲みに誘って頂き、Alter Egoの今後について一緒になって考えてくれ、バンドにとって本当に必要な存在です。

 

小川:細かいところまで気を遣って頂ける素敵な方々です。とても頼りになる存在です。

 

 

——アートワークや撮影もKuMiAiが手がけています。コンセプトはありますか?

 

小川:その辺りは完全にお任せしています。素晴らしいセンスで毎回感動しております。

 

緒方:コンセプトとは違うと思いますが、「海」というのが、彼らが我々に抱くイメージの1つだと思っています。

 

——今後挑戦したいことは?

 

緒方:色々なフェスに出て、Alter Egoを認知してもらえたらな、と思います。単純に、自分達のことを知らない人の前で演奏するのが楽しいのもありますが。

 

小川:管楽器を入れたライブやレコーディングにも挑戦したいです。

 

——あえてトリオにこだわる理由は?

 

小川:この人と演奏したいと思った人で集まったら結果としてピアノトリオになったという感じです。あえてこだわっているわけではないと思います。

 

緒方:私は、昔からピアノトリオの編成が好きでしたので。ただ、今後はライブの2セット目にホーンセクションを入れて、雰囲気の違うサウンドを楽しんでもらう、という計画もしています。

 

——今後の活動方針を聞かせてください。

 

緒方:地道にライブ、曲つくりをしていき、少しずつAlter Egoを知って頂ければ、と思います。その中で、知り合った方との縁を大切にして、活動の幅が広がれば良いと思います。

 

小川:3枚目のアルバムを準備中ですので、それを多くの人の耳へ届けられたら良いなと思います。また東京・大阪や行ったことのない土地で演奏してみたいです。

 

 

【リリース情報】

アーティスト:Alter Ego

アルバム:You’re My Alter Ego

リリース日:2018/07/25

価格:¥2,200+税

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【Alter Egoライヴ情報】

11/25(日)岡山・倉敷
12/01(土)福岡

詳細は後日Alter Ego SNSにて発表

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