2018
08.20

【INTERVIEW】路地「帰ってくる場所が“路地”だったらいいな」

ARTIST, INTERVIEW, RELEASE

路地の2cndアルバムが完成しました。どれだけ楽しみにしていたことか。

一曲ごとに方向性を裏付けるナイスなギターリフにR&B仕込みで浮遊感漂う優しいヴォーカルが丁寧に重ねられたポップネス。路地というバンドは無意識ながらにして「口ずさむ」までにリードする潜在能力を発揮する、本当に不思議なバンドたという認識でしたが、ここへ来て より意識的に真のポップ性を発揮してくれたようで、興奮が暫く冷め止むことはありませんでした。メンバー編成も含めて、これは是が非でもバンドに何が起きたのか聞いておきたい。今回はそんな衝動が叶えてくれたインタビューです。

 

取材・文・撮影=田中サユカ

 

 

——今作はサウンド面においても構造においてもブラッシュアップされていると思うんですが、まずは前作『窓におきてがみ』を振り返ってどうですか?

 

のすけ 路地の音楽性があんまり伝わらなかったっていうのが正直なところですね。例えば“シティポップ”とか言われて意外に思いました。そう思われるってことは、「俺から“シティ”が滲み出ているっていうことか?」と。

 

——意外なところを突かれましたね(笑)。

 

雄三 ”シティポップ”っていう言葉は形容しやすいのかもしれないですね。今回の作品に関しては、前作以上に各々がもっと自分のルーツに向き合うことができたと思っています。例えば、のすけさんが「シティポップと形容されたいわけじゃないんだ」とか、俺は俺で「いや、もっとこういうポップなことがしたいんだ」っていうように、今回の作曲者3人が、自分の中の核にあるものを抜き出したと思うんです。なので、田中さんに「前作よりもやりたいことが絞れてきた」と感じてもらえたのは、作品作りに対する思想の違いを感じ取って頂けたからなのかもしれませんね。

 

——特に梢ちゃんは 前回「こんな感じでいいのかな、と探り探り歌った」って言っていましたね。でも今作は梢ちゃんのヴォーカルがすごく際立っている。どんな気持ちの変化がありましたか?

 

梢 まさにその通りで、前作は自分としても「これでいいのかな」っていう迷いがありました。そもそも路地の方向性が定まっていなかったから、自分らしさも出して行きたいんだけど、その中で出し方もわからなかったんです。でも今作は結果的に迷いなく歌うことができたと思っています。

 

 

梢 というのも、例えば、雄三くんが作った曲でも「メロディがこうだったら良い(歌いやすい)んだけども…」って、私らしさを出せるように、少し口を出させてもらった。だから、今作では歌いかたも違うんじゃないかっていうくらいに自分の中では向き合っている曲ばっかりでした。

 

——前回お会いしたときに梢ちゃんが作ったデモトラックを聞かせてもらいましたよね。それはすごくR&B色が強かった。今作はそっちに寄ったわけじゃないですよね?

 

梢 今回、アルバムを作れたことが奇跡だと思っていて、私の色だけじゃなく、一人一人の核となる部分が私の中で混ざり合って生み出したっていうような感じがありました。

 

 

——今作のもう一つのキーワードとして“ハーモニー”をあげたいと思いました。

 

雄三 今回の作品で一番わかりやすいハーモニーは梢さんの作った「深呼吸」だけど、実はいろんなところで梢さんの声を重ねている曲って複数あって、そういった意味で田中さんのおっしゃる声の厚みが出ているんだと思いますね。

 

のすけ 結構デモを録る時に自分の声を重ねて録って渡すので、それを本チャンでも自然に求めてやっているところはありますよね。

 

——そうですね、ポップだからと言って、例えば大貫妙子さんの作品のようなメロディとハーモニーのシンプルな関係性を模範しているわけじゃないんですよね。

 

のすけ 僕らもコーラスめちゃくちゃ練習して頑張ったんですけど、下手くそすぎてダメ出しされるっていう(笑)。結局想くんがいい感じにやってくれる。

 

——想くんは今作からの参加ですが、バンドに加わったきっかけは?

 

想 一年半くらい前ですかね。関西から上京して来た時に、共通の知り合いを通して知り合ったんです。ちょうどその頃路地がドラマーを探していて、それで最初は雄三さんとスタジオに入りました。

 

のすけ 結構いろんなドラマーさんと試したけど、その中でダントツによかった。

 

——想くんはどんな音楽を経由して来たんですか?

 

想 リバティーンズとかストロークスなどの60’sロックのバンドをやっていました。そのあとはUSインディーみたいなソフトロックのバンドをやりました。東京来てからはこの“路地”ですね。

 

——実際加わってみてどうですか?

 

想 めちゃくちゃ面白いです。人的にも面白いし、季節感や自然のある音楽をやったことがなかったので、感情移入しやすくて新鮮ですね。

 

 

のすけ 歌詞については、前作の方が季節感とかにフォーカスしていて、今作はどちらかというと結構パーソナリティーの部分が出たような気がする。借り物の言葉じゃなくて自分の言葉で書きたいっていう気持ちがある。ジョン・レノンとかもそうだし。ポップ職人的にはポール・マッカートニーの方がすごいじゃないですか。でもジョン・レノンの魅力があるのは、そういうところだと思うんですよね。

 

——タイトルが『これからもここから』。これが熱い!

 

雄三 これは梢さんがつけたんですよ。

 

梢 今回はドラマーの想くんとベースの高橋くんも加わって5人で再出発したアルバムなんですけど、5人にとって「路地」ってどういうあり方なんだろうって、みんなで考えたんです。

その時「やっぱり再出発だし、これをきっかけに路地のメンバーとして羽ばたいて欲しい。そして帰ってくる場所が“路地”だったらいいな」っていう思いでこのタイトルにしました。原点であって欲しい。

 

 

雄三 僕らは今、ドカンと売れたいっていう気持ちがないわけじゃないけど、それが全てではないなって思っています。

僕たちにとっての音楽ってこれから先もずっと続くから、そう長い目で見た時に、1プレイヤーとして迷うこともあるし、変な音楽にうつつを抜かすこともあるかもしれないけど、結果的に今回作ったこのアルバムが自分の居場所を確認できる羅針盤みたいなものになっていて欲しいなって思います。

 

——正直なところ、メンバーが抜けるときはナーバスになるものですか?

 

のすけ 本気でやるためには別れも必要だという気持ちがあります。年をとってからこのアルバムを聴くのが楽しみです。

 

——実際にアルバムがいろんな人の手に渡っていると思いますが、どういった手応えを感じますか?

 

のすけ 前より広がってる感じはありますね。

 

雄三 前作と明らかに違うのは「もっと聴いてくれ!」って言う気持ちかな。心もちが違う。

 

想 もっといけるだろ!って思いますね。「10が100にならないと!」って思います。

 

 

のすけ 届いている人には届いてるから、フェスにも呼んでもらえているんだと思う。そういう意味では前進している気がしますね。でも、ツイッターとかで“路地”って検索しても全然出てこないんですよね。結構リツイートしてくれているけど、あれってみんなどんな風に検索してるの?

 

雄三 「路地 バンド」だと路上ライブしているバンドが出てきちゃうんですよ。

 

——今後の課題ですかね(笑)。他に、今後の課題を聞かせてください。

 

のすけ もっと自分をさらけ出したい。

 

雄三 ほんと、そう!のすけさん。

 

のすけ この前、とある有名な音楽家さんがよく人に自分の股間を見せるっていう話をしていて、そこまでさらけ出せるからあんだけスラスラと言葉や歌詞が出てくるのかと思うと、自分をさらけ出すっていうのは大事なんだなって思いました。

 

雄三 なるほどね〜、のすけさんが●●●をさらけ出したらみんなどうする(笑)?その時はみんなで受け止めようか。

 

一同笑

 

梢 特にライブなんですよ。もっとのすけさんの良さが出ると思うんです。

 

のすけ 良いライブが出来た日って大体飲酒した日なんですよ。だから、酒を飲まないでどうやってそこに持っていけるのかっていうのが目標ですね(笑)。

 

一同笑

 

【リリース情報】

アーティスト:路地

アルバム:これからもここから

リリース日:2018/08/08

価格:¥2,000+税

 

路地

web

Twitter