2018
09.10

【INTERVIEW】ソフトタッチ『リビルド』リリース!「過去を受け入れて、解放したい」

INTERVIEW, NEWS, RELEASE

フジロックも二十歳を超え「ロックは若者のものだ」だとか「ロックは反骨だ」などと言う人に滅多にお目にかからない現代。な気がします。ソフトタッチが11年ぶりに提示したロックはそんなつまらないことには無縁な、また ありとあらゆる多様性を受け入れ肯定された、大人のためでもあるロック。それがこれまたセオリーに囚われず、あらゆる音楽の可能性を肯定するレーベル“only in dreams”からのリリース、それも井上陽介氏(Turntable Films / Subtle Control)に加えて後藤正文氏(ASIAN KUNG-FU GENERATION)がプロデューサーとして復活を後押し!この上ないリビルドとなりました。

何故バンドが再開し、音楽の解放へと向かうに至ったのか。その全てが作品の隅々にまで詰まっています。是非ともあなたの感性で音を言葉を拾って 味わってみて欲しいと思います。

 

取材・文・撮影=田中サユカ

 

 

——なんとなくですけど、このアートワークを拝見する限り“リビルド”って、ジャケの写真を平たく受け取ったような、ビルド的な意味だけじゃあないと思うんですよ。

 

佐野 活動を再開するにあたって、再構築っていうイメージがあって、それを聴いた人はまた違うイメージがあるかなって思いながら「リビルド」という言葉をチョイスしましたね。

 

——この風景は都内ですが、撮影場所はこだわったのですか?

 

佐野 場所はこだわらなくて、東京っていうより匿名的な場所。居住ビルとオフィスビルが混ざるようなイメージでプライベートとパブリックを表したいと思ったんです。この写真は山川哲矢さんが撮ってくれました。

 

——11年前とは音楽の聴き方も変わってきていますね。でも、あの頃の音を今風にしていないような印象を持ったのですが…

 

佐野 それなりに今風にした場所っていうのはあります。でも芯の部分は昔から変わらないんですよね。4人で鳴らしている音は4人のバックボーンを出すことによって初めて出来上がるものなので、いきなり打ち込みとかにはなかなかならないですね。

 

——今風にしたところは?

 

佐野 音楽に対して憧れを持っていて、それに対して何かを返答するような形で音を鳴らすっていうのが以前に相当するんですね。今は、今の自分自身を素直に出すっていう音の出し方ですね。そこが今風になったと思っていますね。

身の回りでいろんなことがあったし、メンバーの中でもいろんなことがあった。

 

——こうしてバンドを再開するのもエネルギーが要ることだと思うんですけど、辞めるっていうのもエネルギーの必要なことだったと思うんです。どういうことでまず辞めたのですか?

 

渡辺 仲違いしたからバンドを辞めたじゃないし、このメンバーならいつでも(バンドを)作れるから一旦やめようかっていう(軽い)感じでしたね。だから、僕的にはあんまりエネルギーのいることじゃなかったですね。

 

 

——佐野さんが辞めようと思ったのは?

 

佐野 音楽性ですね。このフォーマットにない音楽を表現して見たいと思った。というのも、僕はもう一つバンドをやっていて、そっちをやってみたかったんですよね。でも僕は器用じゃないので「新しいバンドをやらせて欲しい」って言ったんです。

 

 

山田 佐野は別の表現をしたいっていうことで、各々が違うことをしてみてもイイのかなって思いましたね。

 

——こうして集まろうと思ったきっかけは?

 

佐野 飲みたくなったから(笑)。それでお店を予約しました。

 

一同笑

 

渡辺 それまでも個々で会ったりしたんですけど、4人で会ったのは2016年になった時でしたね。

 

——4人が集まると自然に音楽でも繋がるんですね。2018年の今、改めて鳴らされるバンドサウンドにどのような思いを持っていますか?

 

佐野 ソフトタッチは90年代に組まれたバンドで、ベーシックとしてギターロックの影響下の元に成り立っているところがあるんですね。そこが原点となっているので、音楽的な立ち位置が2018年になって色々あるとは思うんですけど、それが個性だと思っているので、当然のこととしてエレキギターを鳴らしていましたね。

 

 

——ソフトタッチの大きな魅力の一つとして、まずは歌詞世界があげられると思うんです。その中に先ほど話したような今風な変化にたどり着いたものが詰まっているのですが、そこにたどり着くまでにきっかけとなった出来事はありましたか?

 

佐野 年を重ねるごとに、自分と社会の境目みたいなものをすごく感じるようになったんですね。要は、幼かったんですよ。自分と他者は同じものだと考えていたんです。そこがだんだん「みんな様々なんだな」って言うのを自覚し始めたんです。それに気づいた時はショックで寂しく感じたんですけど、だんだんと他者との違いを楽しめるようなってきましたね。

 

——佐野さんは、作品に寄せたメッセージにも「過去を受け入れ」とありますね。それは今おっしゃったようなことを指していますか?

 

佐野 そうですね。あとはバンドのことも。それはそれとして受け止めて、次のことをやりたいと思っていますね。

 

——改めて集まって、合わせてみた感触はいかがでしたか?

 

佐野 楽しかったですね!

 

渡辺 あ、ソフトタッチだ!って思いました(笑)。

 

——他のメンバーの皆さんは、佐野さんの歌詞をどのように受け取めながら演奏していますか?

 

渡辺 佐野の詩は当然一番最初に読むんですけど、共感する場面が多くて…メンバー同士でほめ合うのってよくないとは思うんですけど「いい曲書きやがるなあ、こいつ」って…(笑)!

 

星野 気持ちわるっ(笑)!

 

一同笑

 

星野 何ですかね…そんなに違和感がなかったです。これまでの経験がある分、落ち着いてきたし、変わっていない熱い部分もある気がします。

 

——熱い部分?

 

星野 こんな曲にしたいとアレンジをしていく上で、昔聴いていたものを引っ張り出して聴いてみたんですけど、ロックの初期衝動とか、当時の思いが蘇ったりしたことですかね。あの頃の熱い思い。やっぱり、10代から20歳くらいまでに聴いていたものが出ちゃいますよね。

 

山田 個人的には肯定感があるなって思いましたね。そこはプレイしながら熱くなります。全部「イエス!」と言ってくれるようなところが随所にある。あとは“社会”っていうキーワードをそれぞれの経験と照らし合わせると熱くなれますね。

 

——作品をリリースすることに対するスタンス自体も開けているように感じます。

 

佐野 そうですね。“開く”っていうキーワードは大事だと思っていますね。

 

——ということは、ライブ自体も変わってくる?作品を発表する、というよりは共有する、というイメージでしょうか。

 

佐野 そうですね。そういうやり取りがあってお互いに印象が残ることでつながっていくのはあるのかな、と思っています。

 

——プロデュースされた後藤さんと井上さんはどういう形で制作に関わられたんですか?

 

佐野 (特に)後藤さんにはアドバイスをたくさんいただきましたよ。「ここにイントロがあったらいいんじゃない?」とか。すごく刺激が多い現場でしたね。ヴォーカル録りで、ガッツを出したい場所で「“脳天から歌う”っていうニュアンスがあるんだよ」って言われたことは、今でも掴んでいる最中ですね。あと、基本的には「フィーリングを大切にしようね」っていうのを言われますね。

 

渡辺 4人でやると曲が似てきたりして、視野が狭くなっちゃうところをバッと広げてくれますね。

 

星野 僕は楽器のテクニシャンとして三原重夫さんという方に参加してもらったんですけど、ドラムの楽器周りのチューニングやメンテナンスをしてくれるのと同時に、プレイに関してもすごく細かいところまでレクチャーをしてもらいながらレコーディングに臨めたことが、僕にとっては大きかったですね。

ドラムは特に身体の使い方がモロに音に出てしまうんですが、椅子の高さを変えたり楽器の向きを変えるだけで、出る音が全然変わるんです。それが結果として良い音に繋がりましたね。良い経験をしました。

 

山田 ソフトタッチはアレンジを事前に固めてきてやることが多かったんですけど、サウンドプロダクションをその場でやっていく作り方に刺激を受けましたね。特に「リビルド」のフレーズをもう少し作ろうっていうアドバイスを貰って、普段使わないエフェクターを急遽使ったのが印象的でした。

 

佐野 それは「フィーリングを大切にしよう」っていうのを本当に表していて、完成形を録音するんじゃなくて、その時々で完成形を変容させていく。それが今回の作品だと思いますね。

 

 

——個人的な印象ですが、後藤さんは作詞家としての才能もある方だと思っています。歌詞の部分でも影響を受けましたか?

 

佐野 詞の部分でもいくつかアドバイスを受けました。例えば「Liberty」で“手を振り幸せを願う”は、最初“手を振って幸せを願う”だったんですよね。少し変えるだけで詩的だよっていうアドバイスを貰いましたね。

 

——「Liberty」の中にも“解き放て”というワードがありますね。“解放”っていうのはまさに今のソフトタッチのテーマで、控えているワンマンライブも“解放”がテーマです。

 

佐野 ワンマンって、初なんです。楽しみ!ルンルンしてますね。

 

一同笑

 

——どんなライブにしたいですか?

 

佐野 そりゃあ、過去を受け入れて“解放”したいです(笑)!

 

一同笑

 

 

【リリース情報】

アーティスト:リビルド

アルバム:ソフトタッチ

リリース日:2018/09/12

価格:¥2,315+税

レーベル:only in dreams

 

 

 


ソフトタッチ『リビルド』発売記念ワンマン・ライブ

「解放 #3」


日時:2018/11/30 (金)

open 19:30 / start 20:00

会場:下北沢 BASEMENT BAR

チケット:前売 ¥2,500 / 当日\¥3,000 ( 1D別)

O.A:桂田 5

 

ソフトタッチ

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