2018
10.01

【INTERVIEW】ASA-CHANG&巡礼、初のヨーロッパツアーを迎えて

INTERVIEW, LIVE, NEWS, 未分類

今では世界中のアーティストと音楽制作を行い、ライブセッションも簡単に実現してしまう。さらにはライブを生中継することもできるし、インディの海外ツアーなんて聞いてもそれほど珍しくなくなりました。思えばSNSやストリーミングサービスが私たちの生活に完全に定着してからまだほどないというのに、当たり前っていう奴は本当に恐ろしいものだとつくづく感じます。

90年代に結成し2003年には「花」という名曲がヨーロッパで高く評価されましたが、当時は先ほど述べたような動きをするアーティストはまだ稀でした。あの時ASA-CHANG&巡礼がなぜ世界ツアーをしなかったのか。時代と片付けるべきか縁だと踏むべきか。とにかく、2018年にしてようやくASA-CHAN&巡礼らしいとも言えるツアーが始まります。その旅立ちの前にASA-CHANGに改めて言葉をいただきました。

 

取材・文=田中サユカ

写真提供=ph

 

——ミュンヘンから始まって…

 

今のところはドイツが多いんですけど、この先増える可能性がありますね。今回はSNSを通してマネージャーサイドから「我々はヨーロッパに行って公演をしてみたい」と発信してみたらドイツから返答が多かったんです。

実際には返答がものすごい数だったらしいんですけど、海外公演なので、現実的な目線で選ばなければならず、心苦しいところもありました。

 

——ヨーロッパといえば、2003年に巡礼の編集盤『Jun Ray Song Chang』がヨーロッパでリリースされて、中でも「花」がとても高い評価を受けましたね。

 

はい。あれは海外のビッグアーティストを日本に呼ぶような仕事をしている人が友達にいて、その人が「これは海外で出したほうがいいんじゃないの?」って言ってくれたのがきっかけで、当時テクノや実験音楽を出す“THE LEAF ”っていうレーベルから出すことになったんです。“THE LEAF ”って、すごく敷居の高い感じがしましたね。今回はその反響で、国内盤が一人歩きして実現したわけじゃないんです。

当時は音源データが配信される時代ではなかったし、「ユーチューバー」なんていう言葉もなかったし、バンドの海外公演もそんなにやってなかったと思います。

今の若いアーティストは告知を一個もしないでヨーロッパ公演をしたりするけど、僕らはそういう世代にいるから、フットワークの軽いスタンスを作れないで、なかなかジリジリしましたよ。そういうところが僕らの怠慢だったなあ、と思います。だって、僕らの海外公演はフランスで1度きりしかしていないんですよ。

 

——それはかなり意外でしたね!

 

2009年だからU-Zhaanがいた時代ですね。僕らも他に公演をやろうとはしていたんですけど、うまくブッキンっグができなかったんですよね。例えば、英語で「君たちを待っているからライブをやってくれ!」って書かれた文が来るんですけど、機材も多いし、僕らの音楽は機材がかなり特殊だから壊れたら何もできない。だから余計に慎重だったんですよね。

だから、ここからなんです!今回から“ヨーロッパデビュー”のつもりですね。

 

——ブレイクのきっかけとなった「花」は、ASA-CHANGにとってどんな作品ですか?

 

当時反響があった「花」は、聴いた人それぞれにいろんな景色が映っていて、あれを恐怖だと感じる人もいれば、愛だと感じる人もいる。ただの意味不明な実験音楽に聞こえる人もいる。でも、ただはっきり言えるのは、日本人の多くが感じるものより海外の人のほうがずっと評価が高かったんです。なぜか、海外の人たちは僕に近いものさしで聴いてくれている気がしたんですよね。それがとても嬉しかったですね。

 

 

一方で、アメリカでは反応が薄かったですね。偉大なアーティストがラジオでかけてくれたり、評価をくれたことは嬉しかったんですけど、アメリカのチャートはボストンで一つ入っただけで、後はほぼ入らなかったですね。それが面白かった。僕の勝手な解釈ですけど、アメリカではもっとロックバンドの形があったほうが良かったのだと思います。

だから、よく“欧米”って言うけど、“欧”と“米”って全然違うんだなって思いましたね。巡礼の音楽ってそう言う踏み絵っぽい要素があるんじゃないですかね。そう言うのないですか?

 

——そうですね。個人的ではありますが「巡礼が好き」って言う人とは仲良く慣れそうな気がするんですよ。それは「実験音楽」と呼ばれながらもポップミュージックとしてのバックがきちんと存在していて、そこから自然と人間性や人生観みたいなところまで味わえるからかもしれない。

しかしこれは本当に驚きですね。巡礼が海外のツアーを今回初めて行うことが!

 

そうなんですよ!だから相当気合いが入っちゃってる(笑)。

 

——当時は特にリズムのあり方が急速に進化した時代でもあったように思うんですが、その中でも巡礼は誰も見つけることのない発見をポップの中に収めてきたのだと思っています。それでいて追い求めるものが最先端だったから結果的に「実験音楽」と呼ばれた。

 

ポップスは愛する音楽で、いつの時代でも洋楽に近いとは思っているんですけど、世界からみるとどうしても日本語のポップスはいびつなんですよね。

そもそも日本語が導く“ビート感”っていうのがあって、民謡がわかりやすいんだけど、頭打ちの手拍子がハマるんですよね。それは今でもそう。

つまり、日本語というのは、ソウルとかファンクとかR&Bの真反対にいる言葉なんですよね。そこに無理に寄せようとすれば、僕らの言葉(日本語)はウィークポイントになるんですけど、元々アジアの音楽はみんな頭打ちの音楽で、しかもかっこいいんですよ。

それはドラマーじゃなくてパーカッションニストだから感じられることかもしれませんね。

 

——ドラマーではなく、パーカッションニストだから感じること?

 

そうですね。ドラムは8ビートとか、ロックやジャズから発生した音楽が大好きな人が多いから、あまりリズムに対してもがいたりはしないですね。

パーカッションニストは自分でリズムを作る人が日本でもたくさんいます。だから、飛び抜けて僕らが変わっていた訳ではないとは思うんですけど、やっぱり「花」に関しては、自分なりにも大発見を得た作品なので、完成した時は自分でもびっくりしましたね。

 

 

 

——その頃はエレクトロニカとの親和性について、どう考えられていたんですか?

 

そういうことを考えちゃうとインチキくさくなっちゃうので、あまり考えていなかったですね。ただ電子音の粒は実際に鳴っていて、後付けされた音ではないんですよね。これは必要な絵の具の色でもあるんですよね。だから、あとで電子音を散りばめることがないです。

 

——もう一つの巡礼の魅力は「日本語」の使い方だと思うんですけど、それがヨーロッパの人々にはどういう解釈で受けているのだと思いますか?

 

僕らの音楽を訳して聴いている人なんて本当にあまりいないと思うんですよね。でも、サウンドインスタレーションみたいな感覚で聞いてもらって「良い」とか「悪い」とか思ってくれる方が、僕にとってはよっぽど正直かなって思いますね。でも、これからのツアーでは少しでも意味が伝わるようなライブをやりたいと思います。

ただ、あんまり「日本から来た」って言うのを意識しすぎると「サンキュージャパーン!」みたいになっちゃうのも恥ずかしいので、なるべく通常の感じでやらないとな(笑)。

 

一同笑

 

 

——ヨーロッパツアーでは「花」以降の作品も演奏される可能性がありますね。

 

そうですね。そのあと出した「つぎねぷ」っていうコンパイル盤や、2016年の「まほう」まで、新しい作品を発表してきたので、その進化を今回のツアーで聞いて欲しい狙いもありますね。

 

——ヨーロッパの他に公演したい国は?

 

アルゼンチンですね。アルゼンチンと聞くと 僕らはタンゴのイメージが強いんですけど、そんなことはないんですね。実験的な音楽も盛んで、巡礼の音楽もすごく評価が高い。そういう国で巡礼のライブをやってみたいですね。ちなみに、南米といえばスカパラがよくライブをやっていますけどね(笑)。

 

 


ASA-CHANG&巡礼

ヨーロッパツアー


10月3日@ベルリン

KIEZSALON「Tricoli & Leichtmann and Asa-Chang & Junray」

日時:10月3日20時開場/20時30分開演

場所:Musikbrauerei Prenzlauer Berg(Greifswalder Straße 23a, 10407 Berlin)

詳細はこちら

 

10月7日@ハンブルグ

WESTWERK

日時:10月7日 時間未定

場所:WESTWERK(Admiralitätstr. 74, 20459 Hamburg)

詳細はこちら

 

10月9日@ケルン
reiheM “Asa-Chang & Junray / Rie Watanabe”
会場:Stadtgarten
開演︰20:00
http://www.reihe-m.de/?p=3555

 

10月11日@ミュンヘン

「FRAMELESS」

日時:10月11日 時間未定

場所:EINSTEIN(Einsteinstrasse 42, 81675 München )

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